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ホアキン・フェニックス主演『ボーはおそれている』作品レビュー

作品紹介

『ミッドサマー』アリ・アスター監督?『ジョーカー』ホアキン・フェニックス
最狂コンビから貴方の精神に挑戦状。前代未聞の帰省の果ては祝福か、絶望か?

怪死した母の元へ駆けつける帰省が壮大な旅に変貌する。
一度体験したら戻れない、オデッセイ・スリラー

『ヘレディタリー/継承』で映画ファンの注目を集め、『ミッドサマー』が全世界で大ヒットを記録するだけでなく、多くの観客に“消えない傷”を植え付けた天才監督アリ・アスターが、気鋭の映画スタジオA24と三度目のタッグを組んで世に放つ最新作がついに日本解禁。

ストーリー

日常のささいなことでも不安になる怖がりの男ボーはある日、さっきまで電話で話してた母が突然、怪死したことを知る。母のもとへ駆けつけようとアパートの玄関を出ると、そこはもう“いつもの日常”ではなかった。これは現実か? それとも妄想、悪夢なのか? 次々に奇妙で予想外の出来事が起こる里帰りの道のりは、いつしかボーと世界を徹底的にのみこむ壮大な物語へと変貌していく。

主演を務めるのは『ジョーカー』でオスカーに輝いた名優ホアキン・フェニックス。これまで様々な作品で怪演を見せてきた彼が極限の演技と表情を見せる本作は、そのキャリアの到達点になった。

実家にたどり着くのが先か? それともボーの人生が転覆し、永遠に壊れるのが先か? 衝撃や恐怖を遥かに凌駕する“永遠に忘れられないラスト”が待つオデッセイ・スリラー。スクリーンで一度体験したら、もう元には戻れない。

作品レビュー

さすがアリ・アスター監督。噂にたがわぬ内容だった。ホアキン・フェニックスの怪演もさることながら。ストーリーも禍々しく不可解なものである。

ボーは極度の不安症。些細なことにビクビクし、何をするにも不安がつきまとう。そんなボーが見たり感じたりしている世界を、醒めない悪夢のように途切れなくビジュアル化している。

ボーは母親を訪ねようとしているが、まったくたどり着けない。それどころか、遠回りしているようにも感じる。里帰りの道のりには暴力とカオスが氾濫している。それらの事実はボーの幻覚のようであるが、まるで不確実だ。

約10分のアニメーションと実写の合成シークエンスには、ストップモーションアニメ『オオカミの家』の監督コンビが参加しており、幻覚のような美しさに陶酔する。

アリ・アスターの前作と同様に、本作でも問題を抱えた親子関係が描かれる。しかし母親との関係を逆転させることで、違うベクトルを覗かせている。

難解でカオスだが、直感で理解できる作品でもある。

『ボーはおそれている』


出演: ホアキン・フェニックス、ネイサン・レイン、エイミー・ライアン、パーカー・ポージー、パティ・ルポーン
監督・脚本:アリ・アスター
配給: ハピネットファントム・スタジオ
上映時間:179分
公式サイト
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投稿者プロフィール

Hayato Otsuki
1993年5月生まれ、北海道札幌市出身。ライター、編集者。2016年にライター業をスタートし、現在はコラム、映画評などを様々なメディアに寄稿。作り手のメッセージを俯瞰的に読み取ることで、その作品本来の意図を鋭く分析、解説する。執筆媒体は「THE RIVER」「IGN Japan」「映画board」など。得意分野はアクション、ファンタジー。
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