『トップガン マーヴェリック』のジョセフ・コシンスキー監督と主演ブラッド・ピットが再びタッグを組んだ話題作。舞台は空からF1のサーキットへ。常識破りのカリスマドライバーが、最弱チームとともに逆境に挑む、超高速”体感”エンターテイメントが誕生!
時速300kmを超える迫力と共に描かれるのは、情熱と誇り、そして限界を超える挑戦。
すべての映画を、ぶっちぎれ!地上版〈トップガン〉、ここに始動。
伝説の元F1ドライバー・ソニーは、再起をかけて最弱チームに加入し、現役復帰を果たす。
型破りな行動に困惑する若きルーキーやチームメンバーたちだったが、次第にソニーの才能と情熱に心を動かされていく。
バラバラだったチームは、過酷なレースと向き合いながら一丸となってゆく。
果たして彼らは、F1の頂点に立つことができるのか――。
命がけで挑む、スピードと誇りの逆転劇が今、幕を開ける!
F1――それは、時速300キロで駆け抜ける人とマシンの極限の戦い。その世界に、一本の映画が新たな地平を切り拓いた。『F1/エフワン』は、単なるレースの再現を超え、勇気と再生、そして“つなぐ者”の物語として、心の深層に届くドラマを描き出している。
主演はブラッド・ピット。現在61歳、撮影当時は60歳前後と思われるが、その事実を忘れさせるほどの存在感である。甘さと渋さを兼ね備えたマスク、年齢を重ねたことで生まれた柔らかさと静かな色気。そして、いざレースシーンに入れば溢れ出す鋭さと覚悟。近年はあえて風采の上がらない男を演じることも多かったが、本作ではかつてのスター性がそのまま熟成され、“理想的なイケオジ像”として完全復活を遂げている。
ピットが演じるのは、かつてF1界を席巻した伝説の元ドライバー、ソニー・ヘイズ。一度は表舞台を去った彼が、崩壊寸前の弱小チームに電撃復帰するところから物語は始まる。勝つことだけを目指すのではない。若き才能と向き合い、自らの過去と再び向き合いながら、新しいチームを、そして新しい時代をつくろうとする男の物語だ。
その若き才能こそが、ダムソン・イドリス演じるジョシュア・ピアスである。モデルのような端正なルックスと天性のドライビングセンスを持ちながら、若さゆえの自信過剰さが災いし、チームメイトやソニーと何度も衝突を繰り返す。だが、レースという過酷な現場の中で、少しずつ本物の「信頼」を知り、変わっていく――このふたりの世代を超えた交流と対話は、本作の最も熱いドラマのひとつとなっている。
そして本作のもうひとつの魅力は、F1という競技の本質――つまり「頭脳戦」までも描いている点にある。タイヤの硬さ選び、ピットインのタイミング、チームごとに限られたタイヤ交換本数、気温や湿度によるグリップの変化。さらには、クラッシュ後のコース修復による戦略の再構築、周回遅れのドライバーの処理ひとつで順位が変わる駆け引き…。こうした細部の積み重ねが、たった1周で勝敗を分けるのがF1の世界だ。『F1/エフワン』は、そうした舞台裏の緊張と“知のバトル”までも、自然な形で観客に体感させてくれる。
ストーリーは、いわば王道の“下剋上”。バラバラだったチームが少しずつ結束を固め、最強チームを相手に逆転を狙っていく。その過程に描かれるのは、勝敗だけではない。恐怖、焦り、葛藤、そして支え合い。少年漫画のような熱さと、大人のドラマに見られるような成熟した感情のやり取りが交錯する、複層的な魅力に満ちた構成だ。スピードの先に描かれるのは、過去を越え、未来を託すという“物語の継承”である。
演出を手がけたのは、『トップガン マーヴェリック』のジョセフ・コシンスキー。彼が得意とする“体感型映像表現”は、本作でも健在どころか、さらなる高みに到達している。実際のグランプリ現場での撮影にこだわり、CGに頼ることなくマシンの挙動、風圧、轟音、震動すべてをリアルに捉えた映像は、もはや疑似体験の域を超えている。観客はただスクリーンを“観る”のではない。コックピットに乗り込み、ステアリングを握り、レースの一瞬一瞬を共に走るのだ。
F1の知識がなくても心配はいらない。むしろ、ルールや用語を知らないからこそ、この映画の持つ“直感的スリル”と“没入型エンタメ”の凄みを純粋に味わえるはずだ。ゲームセンターで体感型レースゲームに熱中したことがある人なら、まさにあの感覚が現実になったような衝撃を覚えるだろう。
『F1/エフワン』は、スピードと映像美に酔うだけの映画ではない。それは、老いてなお燃える者と、これからを担う者の出会いの物語であり、継承と覚悟、そしてチームという“場”に集う人間たちの群像劇である。そしてそこに、今のブラッド・ピットがいるという事実が、この作品に強烈なリアリティと輝きを与えている。
61歳のブラッド・ピットが、なお第一線で、しかもこんなにも魅力的に主役を張れるという奇跡。『F1/エフワン』は、その“瞬間”を記録した映画でもある。この夏、映画館の大きなスクリーンで、全身で味わってほしい一本だ。
監督:ジョセフ・コシンスキー(『トップガン マーヴェリック』)
脚本:アーレン・クルーガー(『トップガン マーヴェリック』)
音楽:ハンス・ジマー
プロデューサー:ジェリー・ブラッカイマー(『トップガン マーヴェリック』)
キャスト:ブラッド・ピット/ダムソン・イドリス/ケリー・コンドン/ハビエル・バルデム
配給:ワーナー・ブラザース映画
上映時間:155分(2時間35分)
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