• 道内最大級の映画レビューサイト

航空サバイバルアクション『ロスト・フライト』作品レビュー

作品紹介

航空パニック×脱出サバイバル。緊迫感が加速するハイブリッド・サバイバルアクション

悪天候の中、落雷でコントロールを失ったブレイザー119便は、奇跡的にフィリピンのホロ島に不時着した。

一命をとりとめたトランス機長を含む乗客17名だったが、そこは凶暴な反政府ゲリラが支配する世界最悪の無法地帯だった。

刻々とゲリラが迫る中、トランス機長は、生き残りを懸けて、乗客の一人だった移送中の犯罪者、ガスパールと手を組む事を決意する…

『ロスト・フライト』は、極限状況からの脱出劇というシンプルなプロットに、航空パニックのスリルと、脱出サバイバルの緊迫感を詰め込んだ結果、終始テンションが落ちない奇跡的なハイブリッド・サバイバルアクションだ。

4万フィートの上空から、世界最悪の島へ—危機的状況をシュミレーションしたリアリティ。
機長としての責任を全うしようと奮闘するトランスは『エンド・オブ・ホワイトハウス』『ハンターキラー 潜航せよ』のジェラルド・バトラー。地球滅亡の危機に直面するごく普通の父親を演じた『グリーンランド―地球最後の2日間―』同様に、プロデューサーとしても参加した本作でも、特別な戦闘能力を持たないヒーローを熱演している。

トランスと手を組むことになる謎の多い犯罪者、ガスパールに、マーベルのNetflixドラマシリーズ「ルーク・ケイジ」のマイク・コルター。監督は『アサルト13』『ブラッド・ファーザー』のジャン・フランソワ・リシェ。

元MI6のスパイ小説家、チャールズ・カミングの脚本を元に、キャッチ―な設定に、綿密なリサーチを加え、突如最悪の状況に放り込まれた一般人、航空会社の危機対策班、ISISを思わせる反政府組織、実際の元ネイビーシールズが出演した傭兵部隊など、リアルな描写を多面的に積み重ねる事で、手に汗握るドキュメンタリーの様な現実味をあわせ持った、極めて現代的なリアルアクションが誕生した!

ストーリー

その事故は始まりに過ぎなかった…

119便フィリピン上空にて消息不明―機長以下17名、反政府組織の拠点に不時着。

東京を経由しシンガポールからホノルルへ、新年早々悪天候が予想される中、会社の指示で難しいフライトに臨むトランス機長(ジェラルド・バトラー)は、ホノルルの地で離れて暮らす愛娘との久々の再開を待ち焦がれていた。しかし、離陸直前に移送中の身の犯罪者・ガスパール(マイク・コルター)の搭乗が告げられ、悪天候だけでなく予定外のフライトに暗雲が立ち込めていた。

かつては大手航空会社に在籍していた実力派パイロットのトランス。順調なフライトを迎えたかに思えたが、フィリピン沖上空で、突如激しい嵐と落雷に巻き込まれ機体の電気系統が機能を停止。通信も途絶えコントロールを失ったトレイルブレイザー119便に、トランスは意を決し着水の準備に入るも、寸前で目の前に広がった孤島へ奇跡的に不時着した。一命をとりとめたトランス機長を含む乗客17名だったが、そこは凶暴な反政府ゲリラが支配する世界最悪の無法地帯・ホロ島だった。

トランスは、通信機が途絶えた飛行機と乗客を残し、島からの脱出の手がかりを求め、犯罪者のガスパールと共に探索に向かう。危険な雰囲気が立ち込める廃倉庫で見つけた電話を配線し、なんとか娘を介して現在地を知らせることに成功するが、その隙に迫ったゲリラたちによって、乗客と乗務員が人質に取られてしまう最悪の展開に。

一方、消息不明となった119便の事態を重く見たトレイルブレイザー社は、外部から元軍人の危機管理担当者として腕利きのスカースデイル(トニー・ゴールドウィン)を招集。トランスの決死の報せを受けたスカースデイルは、対策室の反対を押し切り乗客の救出へ傭兵チームを派遣する。

刻々と危険が迫る囚われた乗客たちの身を危ぶみ、トランスは救助を待たず、元傭兵の過去を持つ犯罪者であるガスパールと手を組むことを決意。難攻不落のゲリラ拠点へたった二人で乗客の救出に向かう。生死を懸けた究極の脱出サバイバル、トランスとガスパール、そして乗客たちの行方は・・・。

作品レビュー

この映画、ただの航空パニックと侮るなかれ。極限の離島サバイバルも交えながら、中盤から一気に加速する展開に、目が離せない。『300 スリーハンドレッド』でのブレイクも久しいジェラルド・バトラーを主演に、脇を固めるのは『Marvel ルーク・ケイジ』のマイク・コルター。

今度のバトラーが演じるのは腕っぷしの利く民間航空会社のパイロット。東京を経由しシンガポールからホノルルへ。このフライトを滞りなく完了したあと、ホノルルに暮らす愛娘との久々の再会が待っている。

しかし不運なことに、突如の悪天候が機体を襲う。激しい嵐に巻き込まれ、乗員乗客17名の機体はゲリラが占領する離島への不時着を余儀なくされる。

離島への不時着までを航空パニックの定石で描き、不時着後には定石を外しながら離島サバイバルの様相に。コルター演じる元傭兵(にして殺人犯)の力も借りて、離島のゲリラとの銃撃戦も描かれる。80年代風味のアクションを懐かしく再現し、それがある意味では目新しくも感じる。

終盤にはバトラーたちを助けるべく傭兵たちが派遣され、ライフルの弾丸は車のドアをもぶち抜く大味のアクションを描写。ほとんど『ランボー』の如く腕っぷしに物を言わすキャラたちには爽快感すら覚えてしまう。やや作りは粗雑ながら100分程度のタイトな尺に“うま味”がしっかり凝縮しており、満足度は高めの作品だ。

『ロスト・フライト』


監督:ジャン・フランソワ・リシェ 『アサルト13』『ブラッド・ファーザー』
脚本:チャールズ・カミング
出演:ジェラルド・バトラー マイク・コルター トニー・ゴールドウィン
配給:ポニーキャニオン
原題 PLANE/2022年/シネスコ/ドルビーデジタル 5.1ch/107分
公式サイト
© 2022 Plane Film Holdings, LLC.  All Rights Reserved

投稿者プロフィール

Hayato Otsuki
1993年5月生まれ、北海道札幌市出身。ライター、編集者。2016年にライター業をスタートし、現在はコラム、映画評などを様々なメディアに寄稿。作り手のメッセージを俯瞰的に読み取ることで、その作品本来の意図を鋭く分析、解説する。執筆媒体は「THE RIVER」「IGN Japan」「映画board」など。得意分野はアクション、ファンタジー。
error: Content is protected !!