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リーアム・ニーソン主演『探偵マーロウ』 作品レビュー

作品紹介

リーアム・ニーソン出演100本記念作品
1939年、映画産業が急成長するハリウッドでスキャンダラスに絡み合う人間たち…「ずっと演じてみたかった」——リーアム版・探偵マーロウが立ち上がる!タフでダンディ、ジェントルマン。権力に媚びず、信念を貫く――

その生き様で世界中のファンを魅了しつづける“探偵フィリップ・マーロウ”。作家レイモンド・チャンドラーが生み出し、数々の名だたる俳優たちが扮したこのキャラクターを演じるのは、今年で銀幕デビュー45周年を迎え、本作が出演100本目となるリーアム・ニーソン。アクションスターとしての主演作が続く名優が、本作では一味違った渋さとオーラで魅せる!

原作はブッカー賞受賞作家ジョン・バンヴィルが、ミステリー小説を手がける際の“ベンジャミン・ブラック”名義で著した「黒い瞳のブロンド」(小鷹信光 訳/早川書房刊)。村上春樹の新訳が話題を呼んだチャンドラーの傑作「ロング・グッドバイ」の続編として本家の公認を受けている。

監督は『クライング・ゲーム』(1992)でアカデミー賞脚本賞受賞、共にアイルランド出身のリーアムとは4度目のタッグとなるニール・ジョーダン。共演には『女は二度決断する』(2017)でカンヌ国際映画祭女優賞に輝いたダイアン・クルーガー、アカデミー賞・エミー賞・トニー賞すべてを受賞=通称“演技の三冠”を達成しているジェシカ・ラングなど、実力派女優陣が華を添える。

ストーリー

アメリカ・ロサンゼルスに事務所を構える探偵フィリップ・マーロウ(リーアム・ニーソン)を訪ねてきたのは、見るからに裕福そうなブロンドの美女クレア(ダイアン・クルーガー)。
「突然姿を消したかつての愛人を探してほしい」――依頼を引き受けたマーロウだったが、映画業界で働いていたというその男はひき逃げ事故で殺されていた…!? 捜査を進めるにつれ謎が深まる”ハリウッドの闇”——探偵マーロウが辿り着く真実や如何に。

作品レビュー

かつてハンフリー・ボガート、ロバート・ミッチャム、エリオット・グールドなどが体現してきたキャラクターを、今度はリーアム・ニーソンが演じると知って無視をできるわけもない。

リーアム・ニーソンが演じるフィリップ・マーロウは作家レイモンド・チャンドラーの生んだ私立探偵のことである。

チャンドラーの小説は、汚職や不正、犯罪のうずまく都市の退廃を描いているのが特徴だ。その深遠なテーマの探求と独自の文体によって、アメリカ文学の偉大なる巨匠として称えられることもしばしば。チャンドラーの死後も、彼のスタイルを再現する作家は後を絶たない。

ジョン・バンヴィルもチャンドラーのスタイルに魅了された作家の一人だ。ベンジャミン・ブラック名義でミステリ作品も発表しているバンヴィルが、チャンドラーのスタイルを借用し、マーロウの後日談を上梓した。それが本作の下敷きにもなっている「黒い瞳のブロンド」だ。

70歳のリーアム・ニーソンがマーロウを演じるにしては、少しばかり年を取りすぎているような気もするが、そこはさすがのリーアム・ニーソン。快活なアクションを繰り出すなど、かつてボガードに負けず劣らずの演技を疲労している。

『探偵マーロウ』


監督:ニール・ジョーダン
脚本:ウィリアム・モナハン

原作:「黒い瞳のブロンド」(ベンジャミン・ブラック/小鷹信光 訳 早川書房刊)
出演:リーアム・ニーソン、ダイアン・クルーガー、ジェシカ・ラング、アドウェール・アキノエ=アグバエ、ダニー・ヒューストン、アラン・カミング
原題:Marlowe/2022年/アイルランド・スペイン・フランス/英語/109分/カラー
配給:STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト
©2022 Parallel Films (Marlowe) Ltd. / Hills Productions A.I.E. / Davis Films

投稿者プロフィール

Hayato Otsuki
1993年5月生まれ、北海道札幌市出身。ライター、編集者。2016年にライター業をスタートし、現在はコラム、映画評などを様々なメディアに寄稿。作り手のメッセージを俯瞰的に読み取ることで、その作品本来の意図を鋭く分析、解説する。執筆媒体は「THE RIVER」「IGN Japan」「映画board」など。得意分野はアクション、ファンタジー。
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