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GUCCI家崩壊の実話『ハウス・オブ・グッチ』作品レビュー

  • 2021年12月22日

作品紹介

フィレンツェで設立され、現代のファッションブランドの元祖と呼ばれるGUCCI。
巨匠リドリー・スコット監督が手掛ける本作は、ブランドの成功の陰にある
〈グッチ一族崩壊〉の衝撃の“実話”を基に、1970年から始まった一族の30年にわたる愛、裏切り、退廃、復讐、そして殺人に至るまでを辿っていく…。
主役のパトリツィアを演じる唯一無二のアーティスト、レディー・ガガ(『アリー/スター誕生』でアカデミー賞主演女優賞ノミネート)をはじめ、パトリツィアの夫マウリツィオを「スター・ウォーズ」シリーズのアダム・ドライバー、マウリツィオの狡猾な伯父を名優アル・パチーノ、マウリツィオの独創的な従兄弟をジャレッド・レト、そして、昔気質な父親をジェレミー・アイアンズが演じ、豪華キャストが“華麗なる一族の真実”を明らかにする。

ストーリー

1995年 3 月 27 日ミラノで多くの目撃者がいる中、銃声が街に響き渡る。殺
害されたのは、世界的なトップブランドの元祖と呼ばれる GUCCI 創業者グッ
チオ・グッチの孫にあたる 3 代目社長マウリツィオ・グッチ。


犯人が特定できない
状況が続く中、その実行犯の黒幕が明かされる。
それは妻のパトリツィア・レッジャーニだった 。


巨匠リドリー・スコット監督が、ファッションブランド「GUCCI (グッチ)」の創業者一族の崩壊を描いたサスペンスドラマ。サラ・ゲイ・フォーデンのノンフィクション小説「ハウス・オブ・グッチ」を原作に、グッチ一族の確執と 3 代目社長マウリツィオ・グッチ暗殺事件を描き出す。

作品レビュー

ハイブランドについては無知だが、大会社の創業者や一族に関するストーリーはたいてい面白いものである。

今回は主演があのレディー・ガガという点も注目度が高い。「グラディエーター」や「エイリアン」など、数々のヒット作を世に送り出したリドリー・スコットが監督という点でも期待値は高かった。

グッチというブランドについて、歴史的背景や作品のモデルになった事件については何も知らなかった。それが幸いし、ストーリーはまるで読めなくて面白く観ることができた。

グッチ会長の妻であった主人公パトリツィアをレディー・ガガが演じているが、世界的な大物歌手である彼女のさらなる新境地とも言えるのではなかろうか。かつて「アリー/スター誕生」ではスターダムを駆け上がってゆく女性歌手を演じたが、歌うシーンのないこの作品の方が女優としてのレディー・ガガの力量が輝かしく映った。

若きマウリツィオ・グッチとの情熱的な恋愛、父の猛反対に耳を貸さぬほどマウリツィオを夢中にさせる魅力、冷静で聡明、華やかでファッショナブルな美しい新妻時代・・・観る人を魅了せずにはおかない輝きを放っている。

巨大ブランドメーカーを経営する華麗なる一族の仲間入りを果たし、並みならぬ個性を放つ親族たちにも物怖じしない貫禄は見事である。

マウリツィオ・グッチの伯父、アルド役をアルパチーノが、アルドの息子パオロ役をジャレッド・レトが演じているが、この脇役たちの存在感も強烈である。デザイナー志望のパオロは実の父親からも、親戚の叔父からも痛々しいバカ息子扱いを受け、かねてから従兄弟のマウリツィオと比べられてきた葛藤や鬱屈した内面の哀しみに惹きつけられる。

小柄で若ハゲという外見もコンプレックスの塊のように映るが、役者のジャレッド・レト自身はスマートなイケメンであることにも驚かされる。毎日6時間が費やされたという特殊メイクの賜物である。

冒頭からスピーディーな展開で、約2時間半もの上映時間の長さを感じさせない。正直、ブランドメーカーを題材にした作品は広告半分なのだろうという見方もあったが、ストーリーが進むうちに、こんな話を公開してしまって大丈夫なのかと驚きを禁じ得なかった。誰もがその名を知る巨大資本が牛耳るハイブランドの、途方もない醜聞を実話ベースとしての公開には驚愕であった。

世界的ハイブランド一族の確執と葛藤、金や権力をめぐる謀略や熾烈な争いがあますところなく描かれている。月日と共に捻じれてゆく家族の絆、驚きの愛憎劇を存分に味わっていただきたい。

予告動画

『ハウス・オブ・グッチ』

出演:レディー・ガガ、アダム・ドライバー、アル・パチーノ、ジャレッド・レト、ジェレミー・アイアンズほか
監督:リドリー・スコット
脚本:ベッキー・ジョンストン、ロベルト・ベンティベーニャ
製作:リドリー・スコット、ジャンニーナ・スコット、ケヴィン・J・ウォルシュ、マーク・ハッファム
原題:HOUSE OF GUCCI
配給 東宝東和
上映時間: 157分
公式サイト

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投稿者プロフィール

Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなので映画レビューサッポロのライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。
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