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大学生の実録犯罪映画『アメリカン・アニマルズ』 作品レビュー

時価12億円のヴィンテージ本を狙った前代未聞の強盗事件。犯人は、4人の大学生。まさかの実話。北米の若者の間で話題沸騰となった本作がついに日本公開!

作品紹介/ストーリー

アメリカ・ケンタッキー州で退屈な大学生活を送るウォーレンとスペンサーは、自分が周りの人間と何一つ変わらない普通の大人になりかけていることを感じていた。そんなある日、二人は大学図書館に時価1200万ドル(およそ12億円相当)の超える画集「アメリカの鳥類」が保管されていることを知る。「その本が手に入れば、莫大な金で俺たちの人生は最高になる」そう確信したウォーレンとスペンサーは、大学の友人を巻き込み、『オーシャンズ11』『スナッチ』などの犯罪映画を参考に強盗計画を立て始める。

事件の犯人たちが劇中に登場。映画史上類を見ない手法で描かれたハイブリッド・クライム・エンタテインメントが誕生!

衝撃の実話の映画化を手掛けたのは、ドキュメンタリー映画『The Imposter』で英国アカデミー賞最優秀デビュー賞を受賞し、長編ドラマとしては本作が初監督作品となるバート・レイトン。事件を起こした本人たちを劇中に登場させ、ドキュメンタリーとドラマのハイブリッドにスタイリッシュな映像と音楽を盛りこみ、センセーショナルな作品を誕生させた。

そして、このかつてない物語に挑むのは『X-MEN』 のエヴァン・ピーターズ、『ダンケルク』『聖なる鹿殺し』のバリー・コーガンなど今注目の実力派若手俳優たち。本能のままに突っ走る4人のアメリカン・アニマルズの強盗計画は果たして成功するのか。

予告動画

作品レビュー

なに不自由なく生活していた4人の大学生。彼らが起こした窃盗事件はとんでもなく無計画で、あきれるほどに浅はかだった。ケイパー映画の主人公のように俊敏な手さばきを披露し、証拠ひとつ残さず華麗に撤収する……なんてことには、まずならない。なぜならこれが実話だからである。本作は、2004年に起きた4人の大学生の無謀すぎる窃盗事件を題材としているのだ。

舞台となるのは米ケンタッキー州レキシントンのトランシルヴァニア大学。事件はこの名門の図書館で巻き起こる。事件を起こした彼ら4人は、日常に退屈を感じていた。この“なにも変わらない日々”を変えるべく、彼らは大胆で、かつ無謀な窃盗事件を計画する。標的となったのは、図書館に貯蔵された時価12億円を超える画集、ジョン・ジェームス・オーデュポンによる「アメリカの鳥類」初版だ。

この映画の驚くべき部分は、事件を起こした張本人を作中に登場させていることだろう。いま注目の若手キャストによるクライム映画風のドラマパートと、事件の張本人が姿を見せるドキュメンタリー風のパートを交互に描写しているのだ。メガホンを執るのは、ドキュメンタリー映画『The Inposter(原題)』(2012)が高く評価されたバート・レイトン監督だ。ゆえに、本作におけるドキュメンタリーの挿入は、必然と言えるだろう。

加えて本作は、『現金(げんなま)に体を張れ』(1956)『オーシャンと十一人の仲間』(1960)『レザボア・ドッグス』(1992)といったケイパー映画へのリスペクトに満ち満ちている。主人公の彼ら4人もこうした名作を真似て、このほどの窃盗事件を計画しているのだ。ドキュメンタリーとドラマを融合し、センセーショナルなハイブリット映画を完成されている。非常に満足度の高い作品だろう。

『アメリカン・アニマルズ』5月17日 ディノスシネマズ札幌劇場 他 全国公開

監督・脚本:バート・レイトン『The Imposter』(英国アカデミー賞受賞)
出演:エヴァン・ピーターズ、バリー・コーガン、ブレイク・ジェナー、ジャレッド・アブラハムソン
配給:ファントム・フィルム
原題:American Animals
(2018年/アメリカ・イギリス/116分/スコープサイズ/5.1ch)
公式サイト

© AI Film LLC/Channel Four Television Corporation/American Animal Pictures Limited 2018

投稿者プロフィール

Hayato Otsuki
1993年5月生まれ、北海道札幌市出身。ライター、編集者。2016年にライター業をスタートし、現在はコラム、映画評などを様々なメディアに寄稿。作り手のメッセージを俯瞰的に読み取ることで、その作品本来の意図を鋭く分析、解説する。執筆媒体は「THE RIVER」「IGN Japan」「映画board」など。得意分野はアクション、ファンタジー。
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