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チャドウィック・ボーズマン主演『21ブリッジ』作品レビュー

作品紹介

8人の警官を殺した強盗犯を追跡するため、アンドレ刑事(チャドウィック・ボーズマン )は N.Y.マンハッタン島に架かる 21 の橋を全て封鎖する。だが、追跡を進めるうち、表向きの事件とはまったく別の陰謀があることを悟る。果たしてその真実とは――!?このシンプルにして大胆なアイデアを核に、たった一夜の出来事がスリリングかつダイナミックに展開するクライム・アクションが誕生!

主演はチャドウィック・ボーズマン。MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の主演作『ブラックパンサー』で世界のニューヒーローとなり、2020 年 8 月に 43 歳の若さで惜しくもこの世を去った彼は脚本に惚れ込み、主演のみならずプロデュースという形で本作に参加。逝去後も Netflix 映画『マ・レイニーのブラックボトム』が絶賛を浴びるなど、このレジェンド俳優を求める声は止みそうもない。監督は「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズを手掛けたブライアン・カーク。そして製作を『アベンジャーズ/エンドゲーム』『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』の監督、ルッソ兄弟(ジョー・ルッソ&アンソニー・ルッソ)が手掛ける。
共演には『アメリカン・スナイパー』などのシエナ・ミラー。さらに『セッション』でアカデミー賞助演男優賞に輝いた J・K・シモンズなど、豪華実力派が脇を固める。

ストーリー

N.Y.マンハッタン島に架かる21の橋をすべて封鎖し、警官で埋め尽くせ!
N.Y.市警の殺人課に所属するアンドレ・デイビス刑事(チャドウィック・ボーズマン)は、同じ警官だった亡き父親への想いを胸に、忙しい日々を過ごしていた。そんな折、真夜中に大量のコカインを奪って逃げた犯人2人組が、警察官8人を殺害する凶悪な事件が発生。マッケナ署長(J・K・シモンズ)の指令により、デイビスは麻薬取締班のフランキー刑事(シエナ・ミラー)と組んで捜査を開始。そしてN.Y.マンハッタン島に架かる21の橋を全て封鎖し、追い詰める作戦に出た。夜明けまでには犯人の居場所を突き止め、逮捕しなければならない。だがデイビスは追跡を進めるうち、表向きの事件とはまったく別の陰謀があることを悟る。果たしてその真実とは――!?

作品レビュー

俳優のチャドウィック・ボーズマンが第93回アカデミー賞にノミネートされた。Netflixのオリジナル映画『マ・レイニーのブラックボトム』(2020)における彼の演技が高く評価されたのだ。死後もなお評価され続ける俳優チャドウィック・ボーズマンの最後の主演作である『21ブリッジ』(2020)は、スリリングなクライムサスペンスだ。米国では、ボーズマンが逝去する4か月前に公開された。

本作でボーズマンが演じるのは、敏腕刑事のアンドレ・デイビス。彼は、警官殺しの殺人強盗犯を追跡するために、ニューヨークはマンハッタン島にかかる21本の橋を全て封鎖してしまう。単なる小悪党を追うために、そこまでするか、と驚きだが、そういう邪念的なツッコミは、ノンストップで描かれる緊迫の様相とともに消えてゆく。

クライムサスペンスとしては既視感もあるのだが、銃撃戦などのアクション・シーンはまさに一級品だ。製作には『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)のルッソ兄弟が参加。緊張感を保ち続けるスリリングな物語と、観る者を惹きつける小気味よいアクションで定評ある、新時代の映像作家だ。

物語はこの手のジャンルにありがちな、まさに“王道”の展開だが、ルッソ兄弟による繊細な筋運びで、王道の展開にさらなる磨きがかかっている。

ボーズマン扮する刑事デイビスが、捜査の中で次第に気づいてゆく陰謀も、実に時事的な要素が複雑に絡み合っている。

映画の中で人種に関する言及はほぼ皆無だが、アメリカに根付く人種問題にもアンサーを提示しているのがこの映画の凄みであり、魅力だ。ベテラン俳優陣とも渡りあうだけの才能の持つ、ボーズマンの早世が本当に惜しまれる。

予告動画

『21ブリッジ』

原題・英題 : 21 Bridges
製作:ジョー・ルッソ&アンソニー・ルッソ 『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16)
監督:ブライアン・カーク
出演:チャドウィック・ボーズマン、シエナ・ミラー、テイラー・キッチュ、J・K・シモンズほか
配給:ショウゲート
製作年: 2019年/製作国 :中国・アメリカ/上映時間: 99分
公式サイト
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投稿者プロフィール

Hayato Otsuki
1993年5月生まれ、北海道札幌市出身。ライター、編集者。2016年にライター業をスタートし、現在はコラム、映画評などを様々なメディアに寄稿。作り手のメッセージを俯瞰的に読み取ることで、その作品本来の意図を鋭く分析、解説する。執筆媒体は「THE RIVER」「IGN Japan」「映画board」など。得意分野はアクション、ファンタジー。
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