世界で一大ブームを巻き起こした『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』3部作で知られるピーター・ジャクソンが製作・脚本を務め、イギリス作家フィリップ・リーブのベストセラー・SFファンタジー小説「移動都市」を映画化する『Motal Engines(原題)」が、『移動都市/モータル・エンジン』として鮮やかに映像化!
世界が滅び、人々は空に、海に、そして地を這う車輪の上に、都市を創った。
たった60分で文明を荒廃させた最終戦争後、残された人類は移動型の都市を創り出し、他の小さな都市を駆逐し、捕食しながら生き続けるという新たな道を選択。
地上は“都市が都市を喰う”、弱肉強食の世界へと姿を変えた。
この荒野は巨大移動都市・ロンドンによって支配されようとしていた。
ロンドンは捕食した都市の資源を再利用し、人間を奴隷化することで成長し続ける。 小さな都市と人々は、その圧倒的な存在を前に逃げるようにして生きるしかなかった。 いつ喰われるかもしれない絶望的な日々の中、その目に激しい怒りを宿した一人の少女が反撃へと動き出す。
これは・・・私の好きなタイプの映画だと思った。
最終戦争の後、移動する巨大な都市が、弱肉強食スタイルで小さな他の都市を捕食するという設定。
映像はまるで、「ハウルの動く城」がゴージャスに実写化したような印象を受けた。ストーリーやキャラクターが漫画風でもあるが、その類のファンタジーが好みの方にはたまらない世界である。
主要キャラクターの風貌やファッション、役割も申し分なく引き立っている。とりわけ私の気に入ったのは、主人公の少女へスターの命を狙う人造人間シュライクである。
「人間と機械の体で創られた」という設定ながら、見た目も大きさも完全にヤバイ。人間らしかった形跡はほとんど皆無である。子供にとってのなまはげどころではない迫力で、明らかに敵にしてはいけない相手だ。個人的には彼にまつわるエピソードがお気に入りシーンのひとつになった。
時代設定が未来で、かつ技術レベルが不明瞭なところも「天空の城ラピュタ」等の宮崎駿作品の匂いを感じるのは私だけだろうか?この作品のスタッフならば、宮崎作品の実写化も可能に違いないと妙な確信を覚えてしまった。
試写で満足することも多い私だが、ファンタジー好き仲間を誘って劇場でリピートしたいと思える作品だった。わかりやすいストーリー、魅力満載のキャラクター達、幻想的で美しい映像も圧倒的である。「映画を観た」という満足感を申し分なく味わえる、王道的な娯楽大作である。
監督:クリスチャン・リヴァーズ
脚本:フラン・ウォルシュ,フィリッパ・ボウエン, ピーター・ジャクソン
原作:フィリップ・リーヴ著 /安野玲 訳「移動都市」(創元SF文庫刊)
キャスト:ヘラ・ヒルマー,ロバート・シーアン, ヒューゴ・ウィーヴィング
公式サイト
原題: Mortal Engines
上映時間: 129分
配給:東宝東和
©Universal Pictures