シリーズ累計640万部突破!日本中から愛される文芸ミステリー、完全映画化!主演:黒木華×野村周平×監督:三島有紀子
鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂。その店主である篠川栞子が古書にまつわる数々の謎と秘密を解き明かし ていく三上延・著「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズは、日本中の文芸ファンとミステリー愛好家から熱い支持を受け、「本の雑誌」40 年間のベスト40【第1 位】(2015 年「本の雑誌」40 周年企画)、年間ベストセラー文庫総合
【第1 位】(2012 年トーハン調べ)など数々の賞を受賞、シリーズ累計640 万部を突破する国民的大ベストセラーとなりました。その日本中から愛される文芸ミステリーが、遂に実写映画化!
鎌倉の片隅にひそやかに佇む古書店「ビブリア古書堂」。
過去の出来事から本が読めなくなった五浦大輔(野村周平)がその店に現れたのには 理由があった。
亡き祖母の遺品の中から出てきた、夏目漱石の「それから」に記された著者のサインの真偽を確かめるためだ。
磁器のように滑らかな肌と涼やかな瞳が美しい若き店主の篠川栞子(黒木華)は極度の人見知りだったが、ひとたび本を手にすると、その可憐な唇からとめどなく知識が溢れだす。
さらに彼女は、優れた洞察力と驚くべき推理力を秘めていた。
栞子はたちどころにサインの謎を解き明かし、この本には祖母が死ぬまで守った秘密が隠されていると指摘する。
それが縁となって古書堂で働き始めた大輔に、栞子は太宰治の「晩年」の希少本をめぐって、謎の人物から脅迫されていると打ち明ける。
力を合わせてその正体を探り始めた二人は、やがて知るのであった。
漱石と太宰の二冊の本に隠された秘密が、大輔の人生を変える一つの真実につながっていることを―。
良質の邦画に出会えたと思った。最初から最後までストーリーに引き込まれた。
本が好きな方、文学好きの方は共感できる部分が多いのではないか。日本を代表する文豪、夏目漱石や太宰治の作品がストーリーにちりばめられている。
「大庭葉造」というワードが出てきた時など、太宰治ファンの方ならニヤリとしてしまうに違いない。
鎌倉に古書店を営む篠川栞子という女性店主のキャラクターも引き立っている。黒木華演じる彼女は、とても恥ずかしがり屋な古風な女性といった佇まいだ。内気で上品な昭和の女性、というよりも、むしろ大正時代までも遡ってしまいそうなイメージだ。
その上足が悪く、杖がないとろくに歩き回れない。こんな可憐な女性がひと気のない古書店でひとり店番をしていては、変な男が来ないとも限らないし、危険なのではと心配になってしまった。
客もまばらな古本屋で、経営は大丈夫なのだろうかと筋とは関係ない心配もしつつ観ていたが、古書店というのは単に古い本というだけではなく、物によってはアンティークのような高価な書物を扱う場所ということも知った。古くて安くなった本のみならず、数十万から数百万円という価値のある書物が存在することに驚いた。
劇中では、主人公の祖母の若かりし時代に遡った恋愛模様が展開される。祖母絹子の若き頃の白黒写真ははっとするほど美しい。古書に隠された情報を驚くべき推理で手繰り寄せる栞子のたぐいまれな才能に誰もが圧倒されるはずだ。
主人公の青年、野村周平演じる大輔と栞子の関係にも注目だ。アルバイトの青年と女店主というふたりの関係。大輔のために本を朗読する栞子。危険を顧みず栞子を守ろうとする大輔。彼らが恋仲であるという描写は描かれずとも、プラトニックな関係の中で垣間見えるエロティシズムが表現されているように見える。
ドラマティックなストーリーはいくぶんご都合主義なところも見受けられるものの、大いに感性を刺激された。文学好きにとってはあらためて本を手に取りたくなる衝動にかられるのではないか。太宰治や夏目漱石を読み返したくなったのは私だけではない気がする。
読書好きな友人を誘って一緒に鑑賞したくなる、そして鑑賞後は映画の感想と文学について語り合ってみたくなる、そんな作品である。
『ビブリア古書堂の事件手帖』11月1日(木)全国ロードショー
出演:黒木華、野村周平、成田凌、夏帆、東出昌大
原作:三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』(メディアワークス文庫/KADOKAWA 刊)
監督:三島有紀子
脚本:渡部亮平、松井香奈
公式サイト
上映時間:120分
配給: 20世紀FOX、KADOKAWA共同配給
© 2018「ビブリア古書堂の事件手帖」製作委員会