© 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation All Rights Reserved
“全世界が息をのんだ〈女と男の戦い〉
女子現テニス世界チャンピオン29 歳vs 男子元世界チャンピオン55 歳。
果たして勝者はどちらか? そして、この戦いの本当の目的とは?監督は作品賞を始めアカデミー賞R 4 部門にノミネートされた『リトル・ミス・サンシャイン』のジョナサン・デイトン& ヴァレリー・ファリス。ビリー・ジーンには、世界中から愛されて大ヒットとなった『ラ・ラ・ランド』で見事オスカーに輝いたエマ・ストーン、ボビー・リッグスには『フォックスキャッチャー』で同賞にノミネートされたスティーブ・カレル。スポーツ界はもちろん、政治や社会、学校や家庭における女と男の関係までも変えた世紀の戦いの全貌が今、明かされる! 最高に爽快で痛快なラストが、真に自分らしくあるための勇気と希望をくれる感動の実話。『ラ・ラ・ランド』でアカデミー賞®主演女優賞を受賞したエマ・ストーンが次作として出演を熱望し、ダニー・ボイルら『スラムドッグ$ミリオネア』の製作陣、脚本家(サイモン・ボーフォイ)が再結集。『リトル・ミス・サンシャイン』のジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス監督を迎え、まさに夢のプロジェクトが実現した。
1973年、全世界で9,000万人がその行方を見守った決戦があった。女子テニス王者、ビリー・ジーン・キングと元男子テニス王者、ボビー・リッグスの“Battle of the Sexes(性差を超えた戦い)と呼ばれた”世紀のテニスマッチだ。男女であまりにもかけ離れた待遇の違いに異議を立て、仲間とともにテニス協会を脱退、“女子テニス協会”を立ち上げたビリー・ジーンだったが、その行く手には数々の試練が待っていた。
そこに“男性優位”主義者で、持ち前のギャンブル癖がたたって人生の危機にあった元男子テニス王者ボビー・リッグスが、自らの復権を目指しビリー・ジーンとの試合を思い立つ。一度はリッグスの挑戦を拒否したビリー・ジーンだったが、彼女にはすべてをかけて戦わねばならない理由があった。そして全米・全世界が見守る中、世紀の一戦の幕が開ける—。
タイトルだけを見ると“セクシーな人達のバトル・・・?”と勘違いしてしまいそうになる。
映画の主軸は「男性VS女性」、“異性間の戦い”という大変興味深く、かつ社会的な内容だ。
1973年、男女の賞金格差が問題になっていたテニス界。男女同権が叫ばれる時代背景の中、女子テニス界の王者として君臨していたビリー・ジーン・キングと往年の名プレーヤー、ボビー・リッグスがテニスで男女対決をするという、現代であってもセンセーショナルな実話の映画化なのだ。
主役のビリー・ジーンを演じるのは、あのヒット作「ラ・ラ・ランド」のヒロイン、エマ・ストーン。風貌が全く異なるので、予備知識がないと気付かないかも知れない。「ラ・ラ・ランド」では愛らしいルックスとファッションだったが、今回は黒髪にメガネという地味ないで立ちのスポーツ選手になっていた。それが全く無理なく、彼女の演じる役柄の幅広さを目の当たりにした。
「男女間の戦い」なだけに、女性の私はビリー・ジーンに肩入れしたくなってしまう・・・ものの、女性目線では悪役の、対決相手のボビーのキャラクターがなんとも魅力的だった。
口八丁で女性をこき下ろし挑発する様は腹立たしいものの、彼のアイディアの明晰ぶりや試合に向けて世間を盛り上げるパフォーマンスは最高のエンターティナーと言えるだろう。愛好するギャンブルをやめられず開き直る姿はむしろあっぱれだった。
男性の優位性を譲ろうとしない老獪な輩たちには苛立つものの、この映画の重要な男性キャラクターは魅力的な人物が多い。ビリー・ジーンの夫ラリーの献身ぶりや、55歳ながら少しも落ち着いていないボビーはなんとも憎めない。そんなボビーをまるで父親であるかのように見守る若い息子の大人びた姿も印象的だった。
終盤、男女対決試合のシーンはすごい迫力だった。日頃スポーツ、テニスに興味はなかったものの、ビリーとボビーの男女の戦いとなると息を潜め、拳を握りしめて見入っていた。ビリーがポイントを取るたびに、歓声をあげたくなってしまった。1973年当時の盛り上がりは凄まじかっただろうと思う。世界中の男女がいかにこの世紀の決戦に注目したか、想像に難くない。
ゴールデングローブ賞へノミネートされた本作品、今年観るべき映画のひとつであることは間違いない。
©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation