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A24×プランB製作「ミナリ」3月19日公開 作品レビュー

  • 2021年3月5日

作品紹介

サンダンス映画祭審査員賞&観客賞をW受賞!オスカー常連のA24とPLAN Bがタッグを組んだ最新作!『ムーンライト』や『レディ・バード』など作家性の強い作品で今やオスカーの常連となったA24と、『それでも夜が明ける』でエンターテイメントの定義を変えたブラッド・ピットのPLAN Bがタッグを組んだ本作。2020年1月開催の第36回サンダンス映画祭で観客賞とグランプリの2冠に輝いたのをはじめ、各国の映画祭の観客賞を総なめにして快進撃中!さらに、アカデミー賞へと続く重要な賞を次々とおさえ、評論家からも「小津安二郎監督作品のような繊細な人間模様を描いている」と大絶賛。ハリウッド・リポーター誌、ヴァラエティ誌ほか有力誌もこぞってアカデミー賞有力作品として名を挙げ、辛口批評サイトRotten Tomatoesでは完全無欠の100%(12/22現在)を更新中の大注目作。

主人公は、韓国出身の移民の一家。父親は農業で成功したいと夢見てアメリカ南部に広大な土地を買うが、現実は厳しく、一家には様々な困難と予想もしない事件が降りかかる。
父親、ジェイコブに役には『バーニング 劇場版』「ウォーキング・デッド」のスティーヴン・ユァン。監督は、米国有力映画メディア「インディワイア」で「今年最高の監督10人」に、デヴィッド・フィンチャーやスパイク・リーと共に選ばれたリー・アイザック・チョン。新海誠監督の『君の名は。』のハリウッド版の監督として抜擢された大注目の新鋭だ。

「ミナリ」とは、韓国の芹(セリ)のこと。水辺に育ち、独特の香りと歯ごたえに特徴があるが、2度目の収穫のほうがおいしいとされている。成長した子供世代の幸せを願う親の気持ちをこめたダブルミーニングのタイトルです。

理不尽かつ不条理な運命に翻弄されながらもまた立ち上がり、一歩一歩、大地を踏みしめるように困難を乗り越えていく一家の姿は、誰もが困難な現実に直面している今こそ求められる希望の物語に、是非ご期待ください。

ストーリー

1980年代、農業で成功することを夢みる韓国系移民のジェイコブは、アメリカはアーカンソー州の高原に、家族と共に引っ越してきた。荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを見た妻のモニカは、いつまでも心は少年の夫の冒険に危険な匂いを感じるが、しっかり者の長女アンと心臓に病を持つが好奇心旺盛な弟のデビッドは、新しい土地に希望を見つけていく。まもなく毒舌で破天荒な祖母も加わり、デビッドと一風変わった絆を結ぶ。だが、水が干上がり、作物は売れず、追い詰められた一家に、思いもしない事態が立ち上がる──。

作品レビュー

まず感じるのは、全編を通して非常によく出来た作品であると唸らされる。巧みな伏線の配置加減や無駄のないストーリー運び、魅力的なキャラクター像が存分に生かされている。

40年前の時代設定、韓国からアメリカへ移民した一家のストーリーであるが、トレーラーハウスの内装は昭和の日本を感じさせられ、日本人にも馴染みやすく映る。

ヒヨコ鑑別の仕事を10年続けたジェイコブは農業で成功する夢をかなえるべく、僻地でトレーラーハウス住まいを始めるが、妻のモニカには受け入れがたい状況であった。夫婦には二人の子供がいたが、小さな息子は心臓病を患っており、住まいは病院からも遠かった。

妻にとっては腹に据えかねる状況をつくりだすジェイコブではあるが、私は妻ではないせいか、このジェイコブという人物がとても魅力的に映る。モニカにとっては勝手放題に思えるようだが、私は彼の妻に対する愛情あふれる言葉や姿勢に何度も心を打たれた。

モニカの気持ちを癒すために彼女の母親を呼び寄せたことや、それを喜ぶモニカに対して「嬉しい?幸せなときが一番かわいい。」と言葉にできるジェイコブはパートナーとして望ましい男性ではないだろうか。

そしてモニカの母、ユン・ヨジョン演じる子供たちにとっての“おばあちゃん”のキャラクターは一般的な祖母のイメージから大いに逸脱し弾けている。あまり詳しく書いては劇場での楽しみが半減しかねないので控えるが、とりあえずガラが悪い。とはいえ非常に人情あふれる愛すべき人物なのである。

夫婦の下の息子であり、心臓病を患うデビッドを演じるアラン・キムの演技は光っている。病気の子供と聞けば、はかなく可哀そうなイメージになりがちだが、むしろとんでもないクソガキで、気に入らない祖母にえげつない悪戯を仕掛けたりもする。
個性豊かな変わり者のキャラクターたちがユーモラスな演技で笑いを誘い、時にほっとさせられる。

家族の絆が少しずつ強まっていく様子に観ている側は自然に感情移入するだろう。そんな中、思いがけない災難が一家に襲い掛かる。こちらは観客席にいながらも気が気ではなくなってしまう。絶望と、怒涛のような感動を私達は味わうのである・・・

映画のタイトルに目からウロコ状態となり、鮮やかな伏線の回収に舌を巻く。ラストシーンのジェイコブの言葉に大きな希望と安心感を覚える。

人に勧めるとしたら、間違いないと言える映画がここにある。観終わった後、確かな充足感を得られる秀逸の作品であった。

予告動画

「ミナリ」3月19日 札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌で公開

監督・脚本:リー・アイザック・チョン
出演 : スティーヴン・ユァン『バーニング 劇場版』「ウォーキング・デッド」シリーズ、ハン・イェリ、ユン・ヨジョン「ハウスメイド」 ほか
原題:MINARI/製作国: アメリカ/上映時間: 116分/字幕翻訳:根本理恵
公式サイト

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投稿者プロフィール

Kana
Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなので映画レビューサッポロのライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。
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