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大人の恋愛ファンタジー『今宵、212 号室で』6月19日から全国順次公開 作品レビュー

  • 2020年5月23日

作品紹介

夫婦喧嘩から逃れた先は、アパルトマン向かいにあるホテルの212号室。 愛の魔法にかかったファンタスティックな夜が幕を開ける──!
恋がいっぱい。 でも、愛は一つだけ。
第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門最優秀演技賞 ( キアラ・マストロヤンニ)受賞 魅惑的なキャスト4人が奏でる絶妙なハーモニー& 俊英クリストフ・オノレの真骨頂!
司法・訴訟史を専門とする大学教授のマリアは、付き合って25年、結婚して20年になるリシャールと二人暮らし。今ではすっかり“ 家族 ” になってしまった夫には内緒で、マリアは浮気を重ねていたが、ある日ついに夫にバレてしまう。怒っ たリシャールと距離を置くため、マリアは一晩だけアパルトマンの真向かいにあるホテルの212号室へ。窓越しに夫の様 子を眺めるマリアのもとに、なんと20年前の姿をした夫が現れ、さらには元カレたちも次々と登場、愛の魔法にかかった 不思議な一夜が幕を開けた!


なぜこの人を好きになったのだろう? もしもあの時、あの恋が成就していたら?かつての恋の思い出が脳内を走馬灯のように駆けぬけたあと、マリアが見つけた真実とは? 時に紐解いては思い出し、「もし、あの時……」と空想せずにはいられない、旧き日の恋の記憶。そんな恋愛の「たら・ れば」が、ウィットに富んだ会話とともにファンタジックに描かれていく。レオ・フェレが曲をつけてシャンソンの定番となったギヨーム・アポリネール作詞による「Le pont Mirabeau/ミラボー橋」(*劇中で登場するのはアポリネール自身によ る朗読)、シャルル・アズナヴール「Désormais/これからは」、ジャン・フェラ「Nous dormirons ensemble/愛の絆」 といったシャンソンの名曲にのせてパリのホテルで繰り広げられる、大人のための軽妙洒脱なラブ・ストーリーが誕生した。

ストーリー

夫のリシャール(バンジャマン・ビオレ)に浮気がばれたマリア(キアラ・マストロヤンニ)は、怒った彼から離れるため、自宅近くのホテルの212号室で一晩を過ごす。窓越しに夫の様子をうかがうマリアの前に、20年前の若きリシャール(ヴァンサン・ラコスト)が現れ、さらにマリアの元恋人たちも姿を見せる。25歳のリシャールと現在のリシャールが鉢合わせし、予想外な展開へと進んでいく―。

作品レビュー

年数を重ねるごとに、男女の愛が衰えゆくのは避けられないことなのだろうか。
どこの国にも似たような問題は存在するのだろうが、愛の国と呼ばれるフランスであろうと例外ではないらしい。

日本と事情が異なるように感じるのは、妻の方が類まれな肉食系であることだろうか。あるいは私の認識が古いだけで、日本でも浮気をするのは夫ばかりとは限らないが。結局割合的には男性の方が多いのではと考えてしまう。

主人公のマリア(この名前も皮肉めいている)は大学で教鞭をふるうエリート女性。夫リシャールとの間に子供はない。そのせいばかりとは言えないだろうが、結婚後もそれはそれは、婚外恋愛を謳歌していたようである。

夫に不倫がばれ、自宅アパルトマンからすぐ真向かいのホテルの部屋で過ごすマリアのもとへ、若い頃の夫や歴代の浮気相手どもが次々と訪れるという奇天烈な設定だが、かつて食い散らかした男たちが一堂に会するあたりが痛烈なコメディである。

25歳の頃の夫や彼の若かりし時代の恋人、さらにはマリア自身の中に存在するらしい謎のおじさんが次々と現れ、彼女を諭したり説教を食らわせたり、まさにカオスとしか言いようのない事態が展開される。

テーマは普遍性を感じるが、そこに当事者たちが普通に取り組むわけではなく、若い頃の夫や死んだ家族や、本来そこにいない者たちが続々と現れかき回してゆくところが新しいアプローチなのかもしれない。

それらの不思議な現象はマリアの葛藤や良心を表しているものだろうかと想像するが、実際のところはよくわからない。それでもこのストーリーはマリアに対してどちらかと言えば優しく、温かく見守るような雰囲気を感じられた。

登場人物達が過去を振り返ったり、いろいろな可能性に思いを馳せたり、それぞれの思いを吐露したり、現実と向き合ってみたり、一体どのように落ち着くのだろうかとつい引き込まれて見入ってしまう。

いずれにしても、ただ一緒に暮らすのみで、心の通い合う夫婦というわけにはいかないのはどこの国も大差ないのだろう。パートナーの心の奥に潜む不満や願望、さまざまな思いを時に互いに見直す心遣いが必要なのかもしれない。

そんなことを思わせられる作品であった。

予告動画

『今宵、212号室で』6月19日から全国順次公開(道内公開は未定)

第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門最優秀演技賞(キアラ・マストロヤンニ)受賞
監督・脚本:クリストフ・オノレ
出演:キアラ・マストロヤンニ ヴァンサン・ラコスト
カミーユ・コッタン バンジャマン・ビオレ キャロル・ブーケ
2019年/フランス・ルクセンブルク・ベルギー/フランス語/87分/1:1.85/原題:Chambre 212/英題:On A Magical Night
配給:ビターズ・エンド
公式サイト

©Les Films Pelleas/Bidibul Productions/Scope Pictures/France 2 Cinema

投稿者プロフィール

Kana
Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなので映画レビューサッポロのライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。
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