2019年3月20日
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「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」公開記念 前田哲監督、石塚慶生プロデューサー単独インタビュー

渡辺一史の原作を大泉洋×高畑充希×三浦春馬のキャストで映画化した『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』

幼少の頃から難病の筋ジストロフィーを患い体で動かせるのは首と手だけという札幌在住の鹿野靖明(大泉洋)さんと、ボランティアの仲間達が過ごした日々が詰まったこの作品。
夢や目標に向かい逞しく生きる鹿野の人間力に感化され、皆が強く優しくなっていくストーリーには力を貰える。

今回、舞台挨拶の為来札していた前田哲監督(以下・監)と石塚慶生プロデューサー(以下・プ)への単独インタビューが実現!!
大泉洋を始めとするキャスティングや劇中に登場する札バン 爆弾ジョニーに関してなど、たっぷりと話を伺えた。

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記者(以下・記):今まで観てきた病気をテーマにした映画は暗いものが多かったのですが、今作は明るくて希望があり多くの方に観てもらいたいと思える映画でした。

監:そう言って人に薦めて貰えるのが1番嬉しいですね。
頑張ってますよとか感動して下さいと言うものは作りたくなかったので。
多くの人に観て貰う映画を作りましょう、というのがコンセンサスでした。

記:今回、大泉洋さんにオファーしようというのは早い段階で決まっていたのでしょうか。

監:そうですね。原作を読んだ時からあって、それは石塚プロデューサーも同じでした。必然ですよね。
誰が言い出したとかでは無くて誰が読んでも「これは大泉さんでしょう!」みたいな。
北海道だからというのはあるけれども、それを超えてこのキャラクターは大泉さんしかないと。

記:大泉さんは本当に多くの映画ご出演されていますが、この作品ではそのイメージとまた少し違う大泉さんの姿を見られた気がします。そしてすごく合っていましたね。

監:素に近い役をやると言うのは実は難しい。何かの役を演じる方が役者は楽なんです。
素に近いからと言ってそのままやるという訳ではないので、そのバランスが非常にデリケートだったと思いますよ。

記:他は希望するキャスティングはありましたか?そしてキャスト陣にはどのような演出をされたんでしょうか。

監:キャスティングが演出の80%と言われるくらいなので徹底して話をしました。
キラ星のごとくこの世代の俳優はいるんですよね。
何故高畑充希なのか、何故三浦春馬なのかと言うのは色々と検討した結果です。
僕は三浦くんは知らなかったので、そこは石塚プロデューサーから打診もあって。
他の作品を観たからと言うだけでの判断は難しい。
大泉さんと高畑さんは、僕は以前一緒に仕事をしているので監督にとっては大きなアドバンテージなんです。

プ:そこは人間性を知っているからですよね。
三浦くんに関しては脚本の橋本さんがお仕事をされていて、あの子は凄いよと。まだまだ潜在能力があると聞いて提案しました。

記:実際に映画で観てみると、振り回される そして苦悩する役を見事に演じていました。

プ:難しい役ですよね、顔に出ないので。

監:ハッキリしない役柄、ウジウジモヤモヤしているのを観客に伝えるのは難しいと思います。
大泉さんや高畑さんの演じるキャラクターは強いし。感情を出さない人の感情を伝えるというのは難しい。

プ:そこは役者の力量を問われますよね。

監:1人で演じる事では無いので、3人でだったり誰かと演じる。そこが皆、良い関係性でした。

記:とても良い雰囲気というのが画面からも伝わってきました。

監:演出という意図で言うと…
現場では控え室に引っ込んでしまう俳優さんが多いんですがなるべく僕は早めに現場に呼ぶんですよ。それは一緒にいると話すからなんです。特に大泉さんはずっと話す人だから、そうすると関係が出来てくる。
高畑さんはその時編み物に凝ってたので本当は戻って編み物がしたかったと思うんですけど(笑)
かと言って現場に出ると楽しいじゃないですか。
それが作戦と言えば作戦で、そこが演出ですよね。そこからなんですよ。
台詞がどうのこうのという事じゃなくて、その場を作るという部分。そしてそのまま用意スタートで始める。
役者が気持ち良く演じる状況を作るという事も演出ですよね。

記:以前の『パコダテ人』でも大泉さんはご出演されていましたが、久しぶりに一緒に映画をやってみて印象は変わりましたか?

監:もともと出会った時も北海道のスターではいらっしゃったんですが世間的には俳優業はさほどされていなかった。
その時でも僕には彼は役者さんに見えました。
誰よりも俳優として、プロとしての意識は持っておられる方だったので基本的には変わらない。そこが凄いです。

プ:僕は逆に、ねずみ男で仕事をしたんですよ。
ねずみ男をキャスティングした時は『水曜どうでしょう』の大泉さんしか知らなかった。
なのでそのままでやって欲しいという感じでお願いしたらよりハイパーなねずみ男になったんです。
なので僕は最初から役者として知っていたから信頼していたと言うよりはそこからですね。

記:今回、鹿野さんが北海道の方だからという事もあるとは思いますがもともと北海道ロケの予定だったんですか?

監:色々な選択肢はあったんです。
鹿野さんの家という形でセットにするとか、予算やスケジュールを考えると北海道という設定で東京で撮った方が良いとか。
ただ、皆で北海道ロケという方が合宿みたいになるじゃないですか。
そこの強さと言うのはやっぱりあるんですよ。
僕はそう言う作品が多いんですけど、今回は正直色々悩みました。
車椅子での撮影になるので撮影の効率を取るのかどうしようかと。
でもやっぱり行って正解でした。

プ:奇跡というか運というか。
皆さんのご尽力あっての事ですが、実際に鹿野さんが住んでいた部屋で撮影が出来た事はご本人が「この部屋使っていいよ」と言ってくれたのかなと。
これは最強でした。
本人が住んでいた部屋。魂が残っている気がしますよね。

監:他にも部屋がある中でそこだけが空いている。

プ:衝撃ですよね。本人が呼んだんだよな、と。

監:美瑛もそうなんです。鹿野さんだったら、と融通を利かせてくれて。

プ:あの世にいっても有名になりたい、間違いないです、自慢してますよ(笑)

記:講演会をしているかもしれないですね(笑)
時代は現在よりも少し前の話ですが、まだ整備されていない部分など今もありますよね。

監:この時代よりも今の方が悲惨なのかもしれない。
ヘルパーというのが仕事になって、ボランティアが来ない。切実なんです。
何か少し手伝って貰うだけでも「ヘルパーさんに頼んで下さい」
そうじゃないでしょう、と。困ってる人は助けるべき。
彼等は自分で選べないんです。全部先回り先回りされて。親もそうなんですよね。
人によって自分でカスタマイズしたいでしょう?
彼等も自分でセレクトしたい、自立したい。
鹿野さんは自分で出来ないからボランティアに頼むわけですよ。それだけの事なんです、ワガママではないんですよ。

プ:それでまわりは やれやれ…って思う。その やれやれ、がこの作品のテーマでもあるわけですよ。
そこでコミュニケーションが生まれるわけだから、そこを封印して我慢するというのがつまらない。
原作の渡辺さんが「健常者の方が生きづらいんじゃないか」と言っています。
今回の”体は不自由・心は自由”というのは”体は自由・心は不自由”という事のメタファーなんじゃないかなと。

記:この映画が人に優しくするというきっかけになりそうですね。
そして困っている時に助けを求める事の大切さも描かれていました。

監:映画を観て笑った後に、1つ2つ引っかかってくれる人がいたらいいなと。
興味が無い人、新聞の見出しだけの人が中身まで読み出すとか。そういう所で良いんですよね。
障害を持った役は海外でも沢山あるんですけど”熱演”なんです。この映画はそこが全く見え無い。そこが良いんですよ。

プ:大泉さんは役作りは半端ないのに熱演には見せない。
手の動かし方、首の動かし方、全部のシーンを医療監修の先生に聞いてやってるんですよ。天才だな、と思います。

監:やっぱり上手いですよね。
観察力は当然ですが、それを表現する能力というのが凄いなと思います。絶妙にコントロールが出来るんですね。
声のトーンもその時で変わる。そして間ですよね。
それもやっぱり相手があってなので、そこに三浦春馬、高畑充希がいるからこそのリアクション。
演技は投影なので、相手が輝くとまたその相手ももっと輝く。

プ:周りの鹿ボラも面白いでしょう?
ほとんどバックグラウンドは語られてないんですよ。

監:設定は置いてるんですけどそれを語っても意味がなくて、こういう役者を持ってくれば演技で出せるんじゃないかなと。

プ:良い映画と言うのは良いチームで総力挙げて作ってるんじゃないかなと思います。

記:すごく伝わってきました。
ところで、映画の中で北海道のバンド 爆弾ジョニーが出てくるのですがこれは後から決まったのですか。

プ:もともと、バンドで曲を演奏して踊るという構想があったんです。
その時にどのバンドでどの曲をやろうかと脚本家含めて3人で決めて、『日々ロック』で主題歌をやってくれた爆弾ジョニーがやんちゃで自由気ままでロックだなと。
そうしたら、ブルーハーツと仲が良い。これも見事だな、と。
しかも最初知らなかったんですけど爆弾ジョニーは西区出身なんですよね。
これはもう運命ってこういう事だなと思ってそこからトントン拍子です。

記:仕事抜きにしても沢山の方におススメしたい映画となりました。ありがとうございました。

監:応援宜しくお願いします。

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監督・プロデューサーのお2人が出演陣や音楽など関わった全ての人達をリスペクトしているのが伝わってきたインタビュー。
病気で障害を持つ方達の住み良い環境作りやボランティアスタッフの不足だけでなく、現代社会で生きる私達の生きづらさなどと表現しているこの作品の奥深さを改めて感じられた。
エキストラで出演した方達を交えての舞台挨拶の様子も近日中に紹介予定なのでこちらも楽しみにして欲しい。

『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の公開は12/28。
全国各地の多くの人に そして北海道の方には尚更観て頂きたい。
主題歌はポルノグラフィティ「フラワー」
映画同様、強さと優しさが感じられる楽曲だ。
劇中ではインタビューでも触れた道産子バンド 爆弾ジョニーが歌唱するシーンもあるので、そこにも注目して鑑賞して欲しい。


出演: 大泉 洋
高畑充希 三浦春馬
萩原聖人 渡辺真起子 宇野祥平 韓英恵/
竜 雷太 綾戸智恵/佐藤浩市/原田美枝子

監督:前田哲 脚本:橋本裕志 音楽:富貴晴美 
原作:渡辺一史「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」(文春文庫刊)

製作:「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会
製作幹事:松竹・日本テレビ
配給:松竹
上映時間:120分

公式サイト
(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会

 

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投稿者プロフィール

兼平ゆきえ
兼平ゆきえ
映画・音楽・本 など 観たり聴いたり読んだりと忙しく過ごすのが好きなインドア派。恵庭発 北海道のMUSIC&ART情報サイト From E…代表。不定期で企画LIVEを開催。2018年7月から 恵庭市のコミュニティFM e-niwa にて、映画や音楽の話を中心とした番組『From E…LIFE(フロムイーライフ)』を放送開始。10月から毎週 木曜日 18:30-19:00の枠にお引越し。
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