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札幌が舞台の実話 大泉洋主演「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」あらすじ・感想

  • 2018年11月11日

作品紹介

あなたと過ごした日々は宝物でした――
体は不自由、心は自由!
車いす人生を駆け抜けた男の<笑いと涙>の感動実話

鹿野靖明、34歳。札幌在住。幼少の頃から難病の筋ジストロフィーを患い、体で動かせるのは首と手だけ。人の助けがないと生きていけないにも関わらず、病院を飛び出し、風変わりな自立生活を始める。自ら大勢のボランティアを集め、わがまま放題。ずうずうしくて、おしゃべりで、ほれっぽくて!自由すぎる性格に振り回されながら、でも、まっすぐに力強く生きる彼のことがみんな大好きだった――。この映画は、そんな鹿野靖明さんと、彼に出会って変わっていく人々の人生を、笑いあり涙ありで描く最高の感動実話。


実在した人物・鹿野靖明(1959年~2002年)を演じるのは、同じ北海道出身の俳優・大泉洋。高畑充希、三浦春馬ほか豪華キャストが共演し、誰も観たことのない「生きる力」を持つ男と仲間たちの姿に日本中が笑いと涙で包まれる!この冬、最高の感動作が誕生します。

ストーリー

札幌で暮らす鹿野靖明(大泉洋)は幼少から難病の筋ジストロフィーを患い、車いす生活。体で動かせるのは首と手だけで、介助なしでは生きられないのに病院を飛び出し、ボランティアたちと自立生活を送っていた。夜中に突然「バナナ食べたい」と言い出すワガママな彼に、医大生ボラの田中(三浦春馬)は振り回される日々。しかも恋人の美咲(高畑充希)に一目ぼれした鹿野から、代わりに愛の告白まで頼まれる始末!

最初は面食らう美咲だが、鹿野やボラたちと共に時間を過ごす内に、自分に素直になること、夢を追うことの大切さを知っていく。そんなある日、鹿野が突然倒れ、命の危機を迎えてしまう…。

試写の感想

三浦春馬演じる医学生田中はボランティア活動をしていた。大泉洋演じる鹿野靖明に振り回されながらも献身的に働く好青年である。鹿野は筋ジストロフィーという難病を患っている

鹿野が体の中で動かせるのは首と手のみ、車椅子の姿ながら、彼はあたかも王者のようだった。何人ものボランティアが彼を取り囲み、彼の指示する通りに動く。5~6人ほどの女性達に入浴介助を受けるシーンは和気あいあいとして鹿野の軽口に女性達は楽しげに笑う。まるでハーレムのような光景である。

冒頭のこのシーンですでに障害者や難病患者のイメージが覆されてしまう。コンプレックスや卑屈さを一切感じさせない鹿野のあり方といったら。しかしながら、夜中にバナナを要求するのはどうかと思う。リクエストに応える側もどうかと思うけれど。

医学生田中の恋人、美咲役を演じるのは、かつての朝ドラヒロイン高畑充希。鹿野の傍若無人ぶりにキレる率直な女の子だ。役ではおそらく十代後半という年齢設定だと思われる。高畑さん自身はさすがにそこまで若くないのに、彼女の演じる美咲はとても自然で無理なく映った。

偶然鹿野のもとを訪れた美咲はいつの間にかボランティアに組み込まれ、「鹿野とそのボランティアたち」とでも呼びたくなるファミリー的な集まりの仲間になる。そこはさまざまな人間関係、感情の渦巻く場所だった。

鹿野氏が大富豪で、介助者たちにふんだんに費用をつぎ込められる立場だったわけではないのに、大勢のボランティア達を集めることができたという事実は驚愕するところである。

だが大泉さん演ずる鹿野を見ていると、彼の人間的魅力ははかり知れないものであったのだろうと想像がつく。大泉さん自身も子供の頃から大変なモテ男だったらしい。クラスの女子全員が自分のことを好きだったと豪語していたほどだから、鹿野氏もおそらく、人を惹きつけてやまないキャラクターであったに違いない。

鹿野の周囲への接し方は一見するとひどくわがままに映るものの、彼なりの信念、人生観によるものだとだんだんとわかってくる。日頃は好き放題で、傲慢にも見える彼の本心が垣間見えるシーンでは心打たれずにいられなかった。

逆境でも諦めない彼の姿は多くの人を勇気づけたはずだ。多くの人の手を借りずには生きられない彼を支え続けるボランティア活動は過酷をきわめたに違いない。それでも彼のまわりは、輝きと青春に満ちた場所だったのだろうという印象を受けた。だからこそ大勢のボランティアが彼のもとに集まったのではないか。

自分の思いや心に正直でいることが本当の意味で生きるということではないだろうか。鹿野さんはそのように生きたのだと感じた。少しも妥協などしなかった。だからこそ彼は多くの人を惹きつけていた。

自分らしくあること、自身の思いを貫くことを今いちど真剣に考えさせてくれる良作であった。

予告動画

「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」


出演: 大泉 洋
高畑充希 三浦春馬
萩原聖人 渡辺真起子 宇野祥平 韓英恵/
竜 雷太 綾戸智恵/佐藤浩市/原田美枝子

監督:前田哲 脚本:橋本裕志 音楽:富貴晴美 
原作:渡辺一史「こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち」(文春文庫刊)

製作:「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会
製作幹事:松竹・日本テレビ
配給:松竹
上映時間:120分

公式サイト
(C)2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会

札幌が舞台の映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』市電ラッピング車両

 

投稿者プロフィール

Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなので映画レビューサッポロのライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。
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