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ヘレン・ミレン×ドナルド・サザーランド『ロング,ロングバケーション』あらすじ 感想

  • 2018年1月19日

ヘレン・ミレン×ドナルド・サザーランド 
アカデミー賞®俳優共演で贈る、最高のロードムービー!

作品紹介

ルート1号線を駆け抜け、目指すはアメリカ最先端のヘミングウェイの家。
残り僅かな夫婦の時間、彼らは最後の最高の旅に出る!

アカデミー賞に4度ノミネートされ、『クィーン』で主演女 優賞を獲得したヘレン・ミレン
と、本年度のアカデミー 賞名誉賞に輝いたドナルド・サザーランドという、演技の生き
るバイブルの2人の共演が実現。監督は、『人間の値打ち』や『歓びのトスカーナ』で
イタリア・アカデミー賞作品賞を続けて受賞した稀代の名匠パオロ・ヴィルズィ。

ストーリー

夫婦生活はや半世紀となる元文学教師のジョン(※アルツハイマー進行中)と妻のエラ(※末期がん)。子供たちは巣立ち、人生の責任はすべて果たしきった今こそ、夫婦水入らずで思う存分に自分たちの時間を過ごせる時が来たのだ。愛車のキャンピングカーでルート1号線を軽快に走り、向かうはジョンが敬愛するヘミングウェイの家があるフロリダ・キーウエスト。毎晩思い出の8ミリを投影し、共に歩んできた人生を追懐しながらひたすら南へと旅していく。「ただいま」なんて気にしないくて良い、最後にして最高の旅が始まる!

試写の感想

大きなキャンピングカーで旅に出る老夫婦。家に残された中年の子供たちは動揺している。老いた母は入院する予定だった。

 

主人公は話し好きのチャーミングな老女。夫を尻に敷いている雰囲気だ。大人しそうな夫は妻に言われるままキャンピングカーを走らせる。でも会話が、どこかおかしい。

 

真っ白な髪、頬髯の良く似合う上品な紳士は認知症だった。話すことは支離滅裂、記憶も飛んだり戻ったり。粗相もたびたびだった。妻のエラリハビリのためなのか?夫がずっと行きたがっていたヘミングウェイの家を目指して旅を始めた。

 

エラは気丈な人だと思う。短時間のうちにたびたび夫の記憶や状態が入れ替わるので、普通ならば発狂しそうなものだろう。夫の七変化どころではない言動や豹変ぶりに、文句を言いながらも辛抱強く、愛情深く彼に接している。

 

老いていくという現実は厳しいものだ。それがどのような形でやってくるのか予想もつかない。イメージ通りではないことが次々に降りかかってくる可能性もある。

 

それでもこの夫婦のあり方は悲壮感もなく、むしろコミカルにストーリーは展開されてゆく。いかなる状態であってもエラは夫のジョンを深く愛している姿に心打たれる。

 

だがしかし、道中ではさまざまなトラブルが巻き起こり、思いがけない過去の事実が露わとなり・・・さすがのエラも堪忍袋の緒が切れてしまう。

 

ヘレン・ミレンが演じるエラという老女の心の若々しさ、女性らしさ、大人げのなさに脱帽してしまう。50年連れ添った夫に対し、こうもひたむきに、感情的に、時になりふりかまわず自分をぶつけ愛し抜くことができるだろうかと感じる。

 

ドナルド・サザーランド扮するジョンも申し分なく魅力的である。知的で、いくぶん愚直で、ヘミングウェイオタクで、人見知りで、実は嫉妬深くて・・・誰よりもエラを愛している。

 

深刻な問題がありつつも、長い年月を寄り添い愛し合う夫婦は幸せではないだろうか。

 

終盤近く、驚きの展開が訪れる。クライマックスはエラの独壇場。
彼女の選択に賛否両論あるだろうが、人それぞれの愛の形に他人の介入の余地はない。
何が愛で、何が幸せかは、当人が選び決めることなのだと思い知らされる。

 

自己の価値観を尊重し、貫くこと。そうでなければ本物の人生とは言えないのかも知れない。

 

予告動画

『ロング,ロングバケーション』

1月26日シアターキノ他全国順次ロードショー

原題:The Leisure Seeker
監督: パオロ・ヴィルズィ
キャスト: ヘレン・ミレン/ドナルド・サザーランド
脚本:パオロ・ヴィルズィ
上映時間: 112分
製作国 イタリア
映倫区分: PG12
配給会社 ギャガ株式会社

公式サイト 

© 2017 Indiana Production S.P.A.

投稿者プロフィール

Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなので映画レビューサッポロのライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。
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