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クライムミステリー『私がやりました』 作品レビュー

  • 2023年10月30日

作品紹介

この犯罪は誰のもの? 女優たちによる“犯人の座“を賭けた駆け引きが始まる―!主人公のマドレーヌとポーリーヌ役には、ピュアな魅力が眩しいナディア・テレスキウィッツとレベッカ・マルデールを起用。正反対の性格の2人を魅力的に演じ、チャーミングな凸凹コンビを作り上げた。
また、2人の前に立ちはだかるヴィランのオデットを演じるのは、強烈なインパクトで登場するイザベル・ユペール。さすがの貫禄で観客の視線を釘付けにする。メガホンを取ったのはフランスが誇る名匠フランソワ・オゾン。本国では過去にオゾンが手掛けた映画『8人の女たち』(02)、『しあわせの雨傘』(10)に次ぐ、動員100万人超えの大ヒット作となっている。
ユーモアとブラックジョークに溢れたクライムミステリーが、圧倒的なエンターテインメントとしてスクリーンに登場!

ストーリー

パリの大豪邸で起こった、有名映画プロデューサー殺人事件。「犯人の座」をめぐり3人の女たちが繰り広げる、クライムミステリー・エンターテインメント!有名映画プロデューサーが自宅で殺された。容疑者は、売れない新人女優マドレーヌ。プロデューサーに襲われ、「自分の身を守るために撃った」と自供する彼女は、親友で駆け出しの弁護士ポーリーヌと共に法廷へ。
正当防衛を訴える鮮やかな弁論と感動的なスピーチで裁判官や大衆の心をつかみ、無罪を勝ち取る。それどころか、「悲劇のヒロイン」として一躍時の人となったマドレーヌは、大スターの座へと駆け上がっていく。
ところが、そんなある日、二人の前にオデットという女が現れる。プロデューサー殺しの真犯人は自分で、マドレーヌたちが手にした富も名声も、自分のものだというのだ。こんなに魅力的な“犯人の座”は渡せない──果たして、3人の駆け引きと、悪だくみの行方は──?

作品レビュー

これほどキュートな犯罪コメディとも呼べる作品を観たのは初めてである。設定は非常にユニークで、思いもよらないストーリー展開である。

1930年代パリ、ある殺人事件が勃発するのだが、スリリングで緊迫感に満ちたいわゆるクライムミステリーのジャンルとはかけ離れている。コミカルさと小気味よいストーリーにたちまち引き込まれる。

なにより主人公の二人の女性が魅力的である。売れない女優のマドレーヌと親友の弁護士ポーリーヌは数カ月もの家賃を滞納する苦しい生活の中、互いに励まし合って生きていた。明日にも路上生活か、という窮地の中、とある豪邸で起きた殺人事件をきっかけに奇跡の逆転劇を生み出すのである。

素直で愛らしいマドレーヌと、彼女を助ける理知的なポーリーヌ、若き女性ふたりの可愛らしさ、したたかさと豪胆さは痛快で魅了されずにはいられない。脇をかためるベテラン俳優達も申し分なく彼女達を引き立てている。

殺人者として糾弾される女優マドレーヌだが、やがて大衆が彼女の味方になるごとく、映画を観る私達も彼女とその親友ポーリーヌの成功を願ってやまない気持ちになってしまう。

しかし、自分が真犯人であると主張する元大女優が出現し、二人はふたたび窮地に立たされる。まさかの犯人ポジションの奪い合いが勃発し、いかにしてふたりはピンチを切り抜けられるのか・・・?

元大女優を演じるのはこちらもフランスを代表する女優、イザベル・ユペールである。彼女の作品はいくつか鑑賞していてシリアスなイメージがあったが、今回は弾けた悪役を存分に楽しんでいるように映る。

作品全体から感じられる俳優陣、スタッフ陣のノリの良さが本作品の大成功を創出させたに違いない。

ストーリーの秀逸さ、1930年代フランスの時代背景、ゴージャスで美しいファッション、スターたちの魅力あふれる演技など、見どころ満載でオリジナリティあふれた本作品は、強くお勧めしたい1本である。

『私がやりました』


監督:フランソワ・オゾン『8人の女たち』『しあわせの雨傘』
出演:ナディア・テレスキウィッツ、レベッカ・マルデール、イザベル・ユペール、ファブリス・ルキーニ、ダニー・ブーン、アンドレ・デュソリエ 
英題:THE CRIME IS MINE/2023年/フランス/シネスコ/5.1chデジタル/103分/
配給:ギャガ
公式サイト
©2023 MANDARIN & COMPAGNIE – FOZ – GAUMONT – FRANCE 2 CINÉMA – SCOPE PICTURES – PLAYTIME PRODUCTION

投稿者プロフィール

Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなので映画レビューサッポロのライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。
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