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リーアム・ニーソン主演【MEMORY メモリー】作品レビュー

作品紹介

『96時間』から15年、アクションスターとして一時代を築き上げてきた
リーアム・ニーソン。70歳を迎えた彼が、アルツハイマーで記憶を失って
いく殺し屋というリアリティ溢れる設定で、「子どもは絶対に殺さない」と
いう誓いのもと、一生で一度の正義を貫く悪のヒーローに挑む。刻一
刻と症状が進行し、余命わずかとなった殺し屋が、FBIに追われながら
黒幕と対決するタイムリミット・アクション!

ストーリー

完璧な殺し屋として、裏社会でその名を馳せてきたアレックスが、引退
を決意する。アルツハイマーを発症し、任務の詳細を覚えられなくなって
しまったのだ。これが最後と決めた仕事を引き受けるが、ターゲットが少
女だと知ったアレックスは、怒りに震え契約を破棄する。「子どもだけは
守る」という唯一の信念を貫くため、独自の捜査を開始したアレックスは、
財閥や大富豪を顧客とする、巨大な人身売買組織の存在を突き止める──。

作品レビュー

『ブラックアウト』に続いてリーアム・ニーソン主演最新作が公開される。『MEMORY メモリー』だ。本作でニーソンは、アルツハイマーに苦しむベテランの殺し屋アレックス・ルイスを演じている。

彼はアルツハイマーによる記憶障害から殺しの仕事を引退しようと考えている。それでもアレックスは最後の仕事を引き受け、1人目のターゲットから重要なフラッシュメモリーを回収する。しかし、2人目のターゲットが12歳の少女であることがわかると、アレックスは引き金を引くことを拒み、殺しの仕事を一方的に放棄してしまう。

そのことによって彼は追われる身となるのだが、次第に、街の権力者を中心とする大規模な買春の実態が明るみになっていく。

ジェフ・ヒーラールツの小説『De Zaak Alzheimer(アルツハイマー事件)』を原作とする本作は、主人公がアルツハイマーに蝕まれていくという野心的な設定。原作は欧米では人気で、過去には『ザ・ヒットマン』『アンノウン・ボディーズ』など何度か映画化されてきた。

本作のタイトル『MEMORY メモリー』が示すとおり、物語は記憶がテーマとなっている。主人公はアルツハイマーに蝕まれ、仕事の詳細も覚えられないほどに症状は悪化。重要なところで記憶が曖昧になったりと、その設定は物語にスリルを与えている。

追われる身であるアレックスは、雇い主が差し向けた刺客だけでなく、FBIからも追われる身となるのだが、そのアレックスを追うFBI捜査官を演じているのはガイ・ピアーズ。悪役を演じることが多いピアーズだが、本作では正義の熱血漢を演じているので注目してほしい。そして本作の監督は、『007 カジノ・ロワイヤル』のマーティン・キャンベル。監督も俳優も一流が揃った『MEMORY メモリー』は、リーアム・ニーソン主演作としては久々に野心的で、魅力にあふれた作品となっている。

【MEMORY メモリー】


監督:マーティン・キャンベル(『007 カジノ・ロワイヤル』『007 ゴールデンアイ』)
出演:リーアム・ニーソン/ガイ・ピアース/モニカ・ベルッチ
脚本:ダリオ・スカーダペイン原作:Jef Geeraerts著「De Zaak Alzheimer」
2022年/ アメリカ/ 114分/ スコープ/ カラー/ 5.1ch / 原題:MEMORY / 字幕翻訳:中沢志乃/配給:ショウゲート
公式サイト
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投稿者プロフィール

Hayato Otsuki
1993年5月生まれ、北海道札幌市出身。ライター、編集者。2016年にライター業をスタートし、現在はコラム、映画評などを様々なメディアに寄稿。作り手のメッセージを俯瞰的に読み取ることで、その作品本来の意図を鋭く分析、解説する。執筆媒体は「THE RIVER」「IGN Japan」「映画board」など。得意分野はアクション、ファンタジー。
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