• 道内最大級の映画レビューサイト

是枝裕和監督の韓国映画【ベイビー・ブローカー】6月24日公開 作品レビュー

作品紹介

始まりは約6年前、キャストとの出会いだった―。是枝監督が映画祭で顔を合わせていた韓国の国民的俳優ソン・ガンホやカン・ドンウォン、そして『空気人形』への出演後「また必ず」と誓っていたペ・ドゥナ。彼らと会話を重ねる中で、一緒に映画を、という話になるのは必然だった。この作品の構想中に、監督はカンヌ国際映画祭のパルムドールという最高峰の栄誉に輝き、ソン・ガンホはアカデミー賞®作品賞を受賞した『パラサイト 半地下の家族』で全世界を瞠目させ、NYタイムズが選ぶ「21世紀の偉大な俳優25人」にも選出された。ここに、韓国トップの歌姫として圧倒的人気を誇り、女優としての新境地に挑むイ・ジウン(歌手名IU)や、「梨泰院クラス」で新世代スターの仲間入りを果たしたイ・ジュヨンらが参加。さらに撮影に『バーニング 劇場版』のホン・ギョンピョ、音楽に「イカゲーム」のチョン・ジェイルと、今最もオファーが殺到する一流スタッフが加わり、是枝監督と韓国最高峰の才能の出会いが、長年温めてきた企画に熱い命を吹き込んでいく。

ストーリー

古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)と、<赤ちゃんポスト>がある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウォン)。ある土砂降りの雨の晩、彼らは若い女ソヨン(イ・ジウン)が<赤ちゃんポスト>に預けた赤ん坊をこっそりと連れ去る。彼らの裏稼業は、ベイビー・ブローカーだ。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊が居ないことに気づき警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく白状する。

「赤ちゃんを大切に育ててくれる家族を見つけようとした」という言い訳にあきれるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることに。一方、彼らを検挙するためずっと尾行していた刑事スジン(ぺ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、決定的な証拠をつかもうと、静かに後を追っていくが・・・。<赤ちゃんポスト>で出会った彼らの、特別な旅が始まる――。2022年・第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。

作品レビュー

赤ちゃんポストに捨てられた、望まれない赤ん坊を売って金儲けを企むサンヒョン(ソン・ガンホ)とドンス(カン・ドンウォン)。母親の育児放棄について深く考察した是枝裕和監督の新作映画『ベイビー・ブローカー』。

是枝監督、初の韓国語作品となる本作は、自身のテーマでもある家族のあり方に立ち戻り、2人のベイビー・ブローカーと、生んだばかりの赤ちゃんを養父母に売ろうとする母親の物語を描いている。

『ベイビー・ブローカー』はサスペンスな筋書きのある作品だが、愛する家族を中核に、貧困や格差社会に風刺を込めつつ、他人への思いやりがある是枝監督の空気感は損なわれていない。

サンヒョンとドンスは、教会の赤ちゃんポストに捨てられた赤ん坊をかすめ取り、自分たちでは子供を持てないカップルに売る闇商売をしている。

物語は生まれたばかりの赤ちゃん・ウソンをポストから引き取った後、その子の母親・ソヨン(イ・ジウン)が心変わりして、赤ん坊を返せと言い出す。しかし、サンヒョンとドンスは、ウソンを孤児院に預け育つよりも、高額なお金を払っても本当に愛してくれる養父母に渡した方がい良いと、ソヨンに商売に協力するよう説得する。

刑事のアン・スジン(ペ・ドゥナ)と後輩のイ刑事(イ・ジュヨン)は、赤ちゃんがポストから盗まれ、人身売買されていることを知りながら、売買の現場を現行犯で押さえるためブローカーを追う。

『万引き家族』を彷彿とさせるような、『ベイビー・ブローカー』は赤ちゃんを売る人身売買に焦点を当てているが、サンヒョンとドンスは、養子縁組に恵まれない子供たちを助け、本当に育てたい養父母に売ることで社会に貢献していると考えている。

血の繋がりがなくても、一緒にいる疑似家族を繊細に描き、ほろ苦いドラマを作ってきた是枝監督は、登場人物が徐々に自分の一部をさらけ出し、最後にその全体像が見えるようにし、観る者に感動を与える。

ソヨンは、まだ母親になる準備ができておらず、また母親になった経緯に恥と憤りを感じている。後にソヨンがウソンを捨てた秘密が明らかとなり、ソヨンを追っているのは警察だけではないことを知る。

主演のサンヒョン役を演じたソン・ガンホ。国家や社会を背景にしたスリラー映画に欠かせない存在感のある俳優である。本作でカンヌ国際映画祭の最優秀男優賞を獲得した。
カン・ドンウォンが演じたドンスは、孤児院で育ち置き去りにされた経験を持ちながら、家族の愛を信じるひたむきな男だ。女刑事役のスジンを務めたペ・ドゥナは、女性刑事役が定番となり観客に安心感を与える。韓国の豪華俳優が共演しているのも、本作の見どころである。

『ベイビー・ブローカー』は家族をテーマにしているが、人々がつながり合うことへの期待と、家族や自分の居場所を見つけたい願望など、人生の側面と心の成長について語っているように思う。
サスペンスの要素もあるが、終始粛々とした雰囲気で、母親が育てられない赤ちゃんの幸せを皆で考える、メッセージ性の強い
ロードムービーだ。

予告動画

ベイビー・ブローカー】6月24日公開

監督: 是枝裕和
出演: ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナ、イ・ジウン、イ・ジュヨン
上映時間:130分
2022年製作/韓国
配給: ギャガ
公式サイト
©022 ZIP CINEMA & CJ ENM Co., Ltd., ALL RIGHTS RESERVED

投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
error: Content is protected !!