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『ローズメイカー 奇跡のバラ』作品レビュー

  • 2021年4月20日

作品紹介

バラがすべての頑固なバラ育種家と、世間から見放されたド素人3人組ー。ありえない出会いから生まれる、最高の奇跡とは!?愛すべき<はみ出し者たち>の感動サクセス・ストーリー!

ストーリー

フランス郊外。あふれる才能と魔法のような指で新種のバラを開発し、数々の賞に輝いてきたエヴ。だが数年前から巨大企業のラマルゼル社に賞も顧客も奪われ、亡き父が遺したバラ園は今では倒産寸前に。助手のヴェラが何とか立て直そうと、職業訓練所から格安で前科者のフレッド、定職に就けないサミール、異様に内気なナデージュを雇う。

だが3人は全くの素人で手助けどころか一晩で200株のバラをダメにしてしまう。そんな中、エヴに新種のアイディアが閃いた! 交配に必要なバラがラマルゼル社のバラ園にしかないと知ったエヴは、フレッドにある“特技”を披露させる。パリの新品種コンクールまであと1年、はみ出し者たちの壮大な奮闘が幕を開ける──!

作品レビュー

文句なしのイチおし作品が現れた。主演女優はかつて「大統領の料理人」で大ヒットを記録したカトリーヌ・フロと知った時点で自動的に期待が高まってしまう。フランスの国民的女優である彼女の存在感はやはり格別である。

今回も気が強く我が強く、烈しい性格のバラ園の経営者エヴを好演している。意固地でワンマンながら、職人気質で情熱的、人間味があり周囲の人々を惹きつける。

経営難の続くバラ園で主人公エヴも崖っぷちだが、苦肉の策で雇い入れた者たちも落ちこぼれの面々で、前科者まで混じっている。難ありの人々ながら、彼女たちの奮戦を感情移入しながら見入ってしまう。

登場人物は多くはないが、脇を固めるキャラクター達も魅力的だ。ユーモラスなセリフや笑える場面も大いにあるが、心しめつけられるやるせない描写も織り交ぜられ、細部まで行き届いた秀逸なストーリーも好ましい。

爽快感のあるラストに続けて流れるエンディングテーマ、「La rose et l’armure」にも心を打たれる。Antoine Elieの歌声は切なく響き、涙せずにいられなくなる。歌詞の日本語訳も美しく素敵なので最後まで注目して欲しい。

笑って泣けて、上質な人間ドラマと感動を味わえることこの上ない。映画に求めるすべてが詰まっている。映画はこのようであって欲しいと思える会心作である。

予告動画

ローズメイカー 奇跡のバラ


原題・英題
La Fine fleur
監督・脚本:ピエール・ピノー
出演:カトリーヌ・フロ「大統領の料理人」
メラン・オメルタ、マリー・プショー、オリヴィア・コート、ファツァー・ブヤメッド、ヴァンサン・ドゥディエンヌ
2020年/フランス/フランス語/上映時間: 96分
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
配給:松竹
公式サイト
THE ROSE MAKER (C) 2020 ESTRELLA PRODUCTIONS – FRANCE 3 CINÉMA – AUVERGNE-RHÔNE-ALPES CINÉMA

投稿者プロフィール

Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなので映画レビューサッポロのライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。
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