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大倉忠義 & 成田凌『窮鼠はチーズの夢を見る』 作品レビュー

作品紹介

原作は、人を好きになることの喜びや痛みをどこまでも純粋に描き、圧倒的な共感を呼ぶ心理描写で、多くの女性から支持を得た水城せとなの傑作コミック「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」。日本を代表する映画監督・行定勲が、揺れ動くふたりの狂おしくも切ない恋を、時に繊細に、時に大胆に描きだす。主人公の大伴恭一を演じるのは、映画では『100回泣くこと』(13)に続き、単独主演を務める大倉忠義。そして、恭一を一途に想う今ヶ瀬渉役に、『愛がなんだ』(19)、『カツベン!』(19)など話題作への出演が絶えない実力派・成田凌。好きになってはいけないと頭ではわかりながらも、どうしようもなく惹かれてしまう葛藤や強い嫉妬心・・・それらの複雑な感情を痛いほどリアルに、時に涙がでるほど美しくスクリーンに焼き付けている。これは、胸が苦しくなるほど誰かを愛したあなたへ贈る、忘れられない恋の物語。

ストーリー

学生時代から「自分を好きになってくれる女性」ばかりと受け身の恋愛を繰り返してきた、大伴恭一。ある日、大学の後輩・今ヶ瀬渉と7年ぶりに再会。「昔からずっと好きだった」と突然想いを告げられる。戸惑いを隠せない恭一だったが、今ヶ瀬のペースに乗せられ、ふたりは一緒に暮らすことに。ただひたすらにまっすぐな想いに、恭一も少しずつ心を開いていき・・・。しかし、恭一の昔の恋人・夏生が現れ、ふたりの関係が変わりはじめてゆく。

作品レビュー

近年「ボーイズラブ(BL)」をテーマにした映画やドラマが女性に人気だが、本作は人気の女性向けBL漫画を実写映画化し、男同士の深い恋愛模様をテーマにした作品である。

女性に受け身で、流されやすい主人公・恭一(大倉忠義)と、大学生の時から彼に恋する一途なゲイの今ヶ瀬(成田凌)の、ロマンティックな恋愛を中心とした物語。

大学時代から大好きだった恭一先輩、7年振りに再会したことで憧れの先輩へ心の想いをぶつける今ヶ瀬。
次第に彼らの距離は縮まっていく。常に受け身の恭一は、今ヶ瀬の人間的な魅力に惹かれ一緒に暮らすようになる。

彼らの恋愛が上手くいきそうになると、突然今ヶ瀬のライバル(女)が現れる。男子2名+女子1名の奇妙な三角関係や口論と、女性目線で喜ぶドキドキな展開が次々と起こり、彼らのストーリーに自然と引き込まれる。

男同士の恋愛でも男女の恋愛の駆け引きとそう違いはない。将来への不安、嫉妬や独占欲など、恋愛のダークな部分を中心に映し出している。胸が苦しくなるほど誰かを好きになった経験のある方には、共感できるはずだ。

原作漫画ファンは、本作の今ヶ瀬に言葉数は物足りなく感じるかもしれない。原作の今ヶ瀬の、名台詞と巧みな話術に圧倒されたが、実写版・今ヶ瀬は、子犬のように可愛く恭一にまとわりつき、いつも傍に置きたい愛らしさがある。ビジュアルも美しい彼らのイチャイチャぶりに、口元が緩み思わずニヤニヤ・・・。

映画やドラマで露出度ナンバーワンとも言える、実力派俳優・成田凌の演技の幅に驚かされる。ダメ男や犯罪者など過去のキャストに反して、人間味溢れるキャラ・今ヶ瀬のキュートさに惚れてしまう。

恭一役の大倉忠義は、関ジャニ∞のメンバーでありながらも濃厚なベッドシーンと彼のセクシーな雰囲気で、ジャニーズのイメージを払拭させた進化を感じる。

「きのう何食べた」や「おっさんずラブ」よりも、ディープで切ない恋愛物語だが、彼らを応援せずにいられない胸キュンラブストーリー。ラストシーンが印象的でホロッと泣いてしまった。

予告動画

『窮鼠はチーズの夢を見る』

キャスト: 大倉 忠義  成田 凌 吉田 志織  さとう ほなみ  咲妃 みゆ  小原 徳子
原作:水城せとな「窮鼠はチーズの夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」(小学館「フラワーコミックスα」刊)
監督:行定勲
脚本:堀泉杏
音楽:半野喜弘
R15+
上映時間:130分
©水城せとな・小学館/映画「窮鼠はチーズの夢を見る」製作委員会

投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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