第76回ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞を受賞、 早くも「本年度アカデミー賞最有力」の呼び声高い、今世紀初めて出会う衝撃作―― 孤独だが心優しい男が<悪のカリスマ>に変貌する瞬間を、目撃せよ。
弱者に無関心な社会 に見捨てられた男の内面を描くリアルな人間ドラマが、やがてヒース・レジャー、ジャッ ク・ニコルソン、ジャレット・レトといった歴代アカデミー賞俳優が映画史上最も有名な ヴィランの隠された物語に繋がっていく。世界最高峰の超実力派スタッフ・キャストが 挑む完全オリジナル・ストーリー。予想もつかない展開で見る者の心をつかんで離さな い、今世紀最大の衝撃作。
コメディアンを夢見るアーサーは、なぜ狂気溢れる唯一無二の悪になったのか? 初めて語られるジョーカー誕生の理由に隠された、切なくも衝撃の真実とは? アカミデー賞常連の実力派スタッフ・キャストが完全オリジナル・ストーリーで挑む、 サスペンス・エンターテイメント!
「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸にコメディアンを夢見る、孤独だが心優しいアーサー。 都会の片隅でピエロメイクの大道芸人をしながら母を助け、同じアパートに住むソフィーに秘かな好意を抱いている。 笑いのある人生は素晴らしいと信じ、ドン底から抜け出そうともがくアーサーはなぜ、 狂気溢れる<悪のカリスマ>ジョーカーに変貌したのか? 切なくも衝撃の真実が明かされる!
ジョーカーといえばバッドマンの宿敵として有名だが、今作『ジョーカー』(2019)におけるアメリカンコミックスの要素は非常に希薄だ。近年のアメコミ映画の感覚でこの作品を観ると、スクリーンから溢れる狂気にたじろぐことだろう。娯楽性はほとんど帯びておらず、どちらかというと芸術性を求めた作品である。
さてジョーカーといえば、テレビシリーズ「怪鳥人間バットマン」のシーザー・ロメロを皮切りに、ティム・バートン監督の『バットマン』(1989)では名優ジャック・ニコルソンが演じたり、『ダークナイト』(2008)ではヒース・レジャー、『スーサイド・スクワッド』(2016)ではジャレッド・レト、テレビシリーズ「GOTHAM/ゴッサム」では新星キャメロン・モナハンが扮するなど、さまざまな俳優たちによって、個性豊かなジョーカーが生み出されてきた。
この度の『ジョーカー』でタイトルロールを演じるのは、ハリウッドきっての変人と呼ばれる、ホアキン・フェニックスだ。フェニックスといえばリドリー・スコット監督の『グラディエーター』(2000)で若き暴君コンモドゥスを演じ、数々の映画賞に輝いている。以降もさまざまな映画に引っ張りだこのフェニックスだが、演じる役は一癖も二癖もあるキャラクターばかりだ。
近年のジョーカー像を決定的にしたのは、間違いなく『ダークナイト』のジョーカーだろう。ヒース・レジャーの怪演は高く評価され、彼の演技は今も語られる機会が多い、ホアキン・フェニックス扮する新たなジョーカーは、ヒース・レジャーのそれを超えるほどの狂気と、衝撃に満ち溢れている。越えられない壁として立ちはだかっていたレジャー版ジョーカーに敬意を表しつつも、フェニックスの独特の雰囲気と、魂の叫びのような笑い声で、新機軸のジョーカーを打ち立てている。
トッド・フィリップス監督の『ジョーカー』は、現代社会の暗部に鋭くメスをいれている。ヒエラルキーの最下層にいる人間たち、すなわちジョーカーのような弱者をまるで存在しない人のようにあしらう社会。この腐りきった世の中で、“狂気のカリスマ”は誕生した。まさにそれは必然だった。
ジョーカーのような存在を生み出してしまう現代社会。まさに今の社会そのものがジョーカーなのであって、誰しもジョーカーとなり得る可能性は大いに孕んでいる。経済の格差、福祉の現状、共感の欠如、病気への無理解、この映画で描かれる暗部は、すべて現実の世界からの借用である。現代社会が抱える極めて理不尽な闇を、この映画はジョーカーという被害者を通じて的確に捉えているのである。
監 督 :トッド・フィリップス(『ハングオーバー』シリーズ)
脚 本 :トッド・フィリップス、スコット・シルバー(『ザ・ファイター』)
出 演 :ホアキン・フェニックス(『グラディエーター』) 、ロバート・デ・ニーロ(『ゴットファーザーPARTⅡ』) 、ザジー・ビーツ(『デッドプール2』)ほか
R15+指定
上映時間: 122分
配 給 :ワーナー・ブラザース映画
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