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作家J.R.R.トールキンの半生『トールキン 旅のはじまり』作品レビュー

  • 2019年8月6日

作品紹介

あの壮大な冒険物語は、愛と友情、そして勇気から生まれた。
世界を変えた傑作「ホビットの冒険」「指輪物語」…その誕生の原点を描く、感動の実話。
世界に大きな影響を与え続ける“偉業”の陰にあった、作家J.R.R.トールキンの知られざる激動の半生を、今最も注目の若手俳優ニコラス・ホルト(『女王陛下のお気に入り』、『X-MEN』シリーズ)、リリー・コリンズ(『あと1センチの恋』)の共演、フィンランドの誇る偉才ドメ・カルコスキ監督でついに映画化。FOXサーチライトが設立25周年記念第一弾として全世代に贈る、待望の感動作。

ストーリー

3歳で父を、12歳で母を亡くした孤児トールキンは、母の友人モーガン神父の後見で名門キング・エドワード校に入学する。そこで出会ったのは、「芸術で世界を変えよう」と誓い合う、心許せる野心溢れる仲間達だった。同じく孤児であり、常にインスピレーションを与えてくれる運命の女性、エディスとの出会いは彼の世界をさらに大きく広げるが、そこで勃発した世界大戦が彼らの運命を大きく狂わせるのだった。

作品レビュー

トールキンという名に聞き覚えはなかったが、あの「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの原作者と知ると大いに興味を抱いた。「指輪物語」を読んだことはなかったが、映画作品は好きだった。

少年の頃からトールキンは次々と苦難を強いられながらも、生来の才能と聡明さ、負けん気の強さで人生を切り開いてゆく。若かりし時代から、さまざまなドラマに取り巻かれる日々である。

絶体絶命の重苦しい戦争シーンとトールキンの少年・青年時代の回想が交互に展開される。屍が山と積み上げられる灰色の戦場の中、身の危険を顧みずに親友の安否を探し求めることは自殺行為に等しいのに、友に対する彼の並みならぬ思いの強さに圧倒される。

まるで生きながら地獄に落とされたかのような絶望的な戦場を体験した上での、世界的ロングセラー作品を創出した彼の表現力であったに違いないと思わせられた。

とはいえ重いシーンばかりではない。映画「ロード・オブ・ザ・リング」を髣髴とさせる大自然の風景や、古い時代ながら現代との境界があいまいな英国の大学やティールーム、劇場等、エレガントな日常の場面も大いに楽しませてもらった。

友情のみならず、彼の恋愛も情熱的なドラマに満ちている。非凡な作家であった彼の、その人生もやはり特別な奇跡の連続である。

決死の苦難を乗り越え、数々の人間ドラマと成功秘話が詰め込まれた本作品には心を打たれてやまなかった。原作や映画ファンはもちろん、英国作品の好きな方にはぜひ観て頂きたい、この上ない良作である。

予告動画

『トールキン 旅のはじまり』8/30 札幌シネマフロンティア、シアターキノで公開

監督:ドメ・カルコスキ
キャスト: ニコラス・ホルト、リリー・コリンズ、コルム・ミーニイ、デレク・ジャコビ、アンソニー・ボイル、パトリック・ギブソン、トム・グリン=カーニー
原題: Tolkien
PG12
上映時間 : 111分
公式サイト

©2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

投稿者プロフィール

Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなので映画レビューサッポロのライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。
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