ジェームズ・ボンドと同じく、イギリスのスパイなのにコードネーム(007)は特になし、イーサン・ハントと異なり、どんな作戦(ミッション)も全て不可能(インポッシブル)にしてしまう、恐れを知らない&危険を知らない、そして何にも分かっていない“天災的スパイ”が6年ぶりに帰ってきた!
主人公ジョニー・イングリッシュを演じるのは、“Mr.ビーン”として日本でも大ブレイクした、イギリスを代表するコメディアン、ローワン・アトキンソン。ひねりの効いたジョーク&体を張ったギャグなど、愛すべき“時代遅れ”の“変なおっさん”というキャラクターが生み出すベタな笑いは本作でも健在である。
サイバー攻撃によって、イギリスの諜報機関MI7の現役スパイ達の情報が漏洩してしまい、隠居していたジョニー・イングリッシュが最後の頼みの綱として何故か呼び出される。
早速、裏で 操るハッカーを見つける為に任務を開始するが、限られたスキルしか持っていない彼にとって、 最先端のテクノロジーの方が脅威だった・・・果たして、ジョニーは世界を救う事が出来るのか?
今、ヨーロッパを股に掛けたアナログの逆襲が始まる!
主演のローワン・アトキンソンと言えば、かつて大ブレイクしたMr.ビーンの役者さんである。昔からMr.ビーンのファンだったので、彼の親友である例のクマのぬいぐるみも所有していたりする。Mr.ビーンごっこをしたい人には必須アイテムであっただろう。
その割には、「ジョニー・イングリッシュ」シリーズはチェックしていなかった。試写前にTSUTAYAに借りにいったものの、残念ながら貸し出し中だった。
最新作からの鑑賞になったものの、話がわからなくて困るということはなかった。Mr.ビーンのキャラクターがそのまま、ヘボヘボなスパイぶりをいかんなく発揮してくれている。そうは言ってもMr.ビーンよりはセリフも多くて、子供たちに慕われていたり、美女スパイに心ときめかせたり、人間らしい部分も好演していた。
間隔をおかずに繰り出されるコメディシーンに声をあげて笑っていたのは私だけではなかった。個人的には、Mr.ビーンでも披露されていた時代不詳の謎のダンスに釘付けだった。車椅子に乗った老婆に暴力をふるうシーンも、スキャンダラスながら笑えてしまう。
昔、テレビでローワン・アトキンソン氏のインタビューを見たことがあった。
驚愕だったのは、ルックスはMr.ビーンだというのに、ローワン・アトキンソン本人は実に洗練された知的な紳士であったことだ。鋭い洞察力や堂々とした話しぶりに、非常に聡明な人だという印象を受けた。
俳優本人もそのまま変な人なんだろうな・・・とイメージしていた自分の、なんと幼稚な思い込みであったことか。あのMr.ビーンのキャラクターは創作で、本来はスマートなローワン氏の変貌ぶりにすっかり騙されていた。
Mr.ビーンといい、ジョニー・イングリッシュといい、ローワン・アトキンソンという人はあの強烈なキャラクターを「演じている」という事実に舌を巻いてしまう。恐るべき怪演ぶりである。
Mr.ビーンのファンの方にはおすすめしたくなる作品であるのは間違いない。遅ればせではあるが、過去シリーズも全てチェックしたくなった。奇天烈で憎めない、変なおじさんスパイの迷走ぶりに目が離せなくなりそうだ。
ジョニー・イングリッシュ アナログの逆襲
札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌 他11月9日から公開
監督:デヴィッド・カー
出演 :ローワン・アトキンソン、オルガ・キュリレンコ、エマ・トンプソン
原題: JOHNNY ENGLISH STRIKES AGAIN
上映時間:89分
公式サイト
配給:東宝東和
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