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第90回アカデミー賞®脚色賞受賞!『君の名前で僕を呼んで』作品レビュー

作品紹介

1983年夏、北イタリアの避暑地。17歳のエリオは、アメリカからやって来た24歳の大学院生オリヴァーと出会う。彼は大学教授の父の助手で、夏の間エリオたち家族と暮らす。やがて激しく恋に落ちるふたり。しかし夏の終わりが近づいた時・・・。

監督は、イタリアの俊英ルカ・グァダニーノ。脚色は、映画史に残る『日の名残り』のジェームズ・アイヴォリー。終盤でエリオの父が息子に語りかける台詞は、89歳の名匠からの珠玉 のメッセージ。誰もが涙する本作のハイライトの一つとなった。

ストーリー

1983年、夏。北イタリアのどこか。17歳のエリオは、毎年、両親と一緒にここを訪れてヴィラで過ごす。ある日、オリヴァーがやってくる。彼はアメリカからやってきた24歳の大学院生。

大学教授のエリオの父は毎年夏になると、自分の研究の手伝いにヴィラで一緒に暮らすインターン迎えるのだ。

しだいにエリオはオリヴァーに想いを抱き、告白する。オリヴァーも同じ想いを抱いていた。まばゆい夏の光の中で、激しく恋に落ちるふたり。しかし夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づいてくる。

作品レビュー

アンドレ・アシマンの小説『君の名前で僕を呼んで』をジェームズ・アイヴォリーが脚色し、89歳で初のオスカー受賞を果たした。

1983年の北イタリアが舞台のため、英語とイタリア語と両方の言語が用いられており、リアルな北イタリアを言語からも感じ取れる。

17歳のエリオと父の大学教授と母が過ごす家に、夏休みの数週間、アメリカからインターンの学生が来る風習があり、主人公エリオは24歳のオリヴァーに恋心を抱く。

主人公のエリオは、子役経験のある若手俳優のティモシー・シャラメ。大学生のオリヴァーは『コードネーム U.N.C.L.E.』スパイ役として登場した、キラキラオーラ全開のアーミー・ハマー。

身長196cmの見事な体格と丹精な顔立ちは、誰でも惚れてしまうほどの美貌。オリヴァーは優秀でスマートな学生、コミュニケーション能力があり誰からも好かれるタイプ。

主人公のエリオは父の影響なのかインテリで読書が好き、ちょっぴり華奢で女の子から見ても、守ってあげたいタイプ。この対照的なふたりが恋に落ちてしまう。

しかし、恋に落ちるまでの行程が長い…サクッと恋愛モードにはならない。ふたりとも真正のゲイでは無く、女子とも付き合えるバイセクシャル。バイセクシャル同士の初恋は、ゲイ同士より進展が遅いようだ。

エリオがオリヴァーに恋心を抱くが、オリヴァーの心模様が映像から伝わらず、そろそろ恋愛モードに成っても宜しいのでは?…と焦らされた気持ちになる。

バイクシャルなので、もちろん女子からのお誘いもあり、青春だなぁ~とほのぼのと鑑賞。事件や事故も無く敵もいないので至って平和な物語だ。

夏の北イタリアで泳いで、自転車に乗って本を読んで、カフェでお茶して優雅にテニスして…と青春満喫のふたりが恋に落ちるまでの時間、心地良い北イタリアと夏の太陽と全部が素敵に見える。

1983年の北イタリアの避暑地、喫煙率が異常に高いのが気になった。エリオの母は食事しながら、煙草を喫うほどのニコチン中毒。始終煙草を喫煙をし、登場人物はほとんどが喫煙者という設定でその時代を象徴する、細かい演出に感銘を受けた。

B-LOVEのキツめ性描写は無く、エリオとオリヴァーと北イタリアの風景、エリオの両親も美しく、ラストのエリオの父の語りかけでは、マイノリティへの差別と偏見は間違いなんだ!とジェームズ・アイヴォリーの脚色が語りかけているようだ。

80年代前半の音楽が懐かしくて甘酸っぱいイケメン同士の初恋は、心くすぐられる映画である。

予告動画

『君の名前で僕を呼んで』

 

監督:ルカ・グァダニーノ

出演:ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー

配給:ファントム・フィルム

映倫区分:PG12

上映時間:132分

イタリア・フランス・ブラジル・アメリカ合作

オフィシャルサイト

(C)Frenesy, La Cinefacture

投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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