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異文化ラブストーリー『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』あらすじ 感想

 

 

異文化結婚に立ちふさがるトラブルと騒動を、すべて愛と笑いでハッピーに変えた2人とその家族を描く感動のクロスカルチャー・トゥルーストーリー!

作品概要

クメイルと妻エミリー本人の実体験を夫婦共同で脚本を執筆、更にクメイルを主役に抜擢して、『はじまりのうた』のプロデューサー、ジャド・アパトーが製作。17年夏、全米でたった5スクリーンから始まった本作は、人種問題がさく裂するトランプ政権下に口コミにより2600スクリーンにまで拡大し、まさかの大ヒットを記録!

主演も務めるクメイル・ナンジアニと、妻のエミリー・V・ゴードンが自身の物語を共同執筆した本作、今回見事、アカデミー脚本賞にノミネートされました!ぜひ受賞結果にもご期待ください。

ストーリー

パキスタン生まれシカゴ育ちのコメディアンのクメイルは、アメリカ人大学院生のエミリーと付き合っている。ある日、同郷の花嫁しか認めない厳格な母親に言われるまま、見合いをしていたことがエミリーにバレて、2人は破局を迎える。
ところが数日後、エミリーは原因不明の病で昏睡状態に。駆けつけた病院でクメイルが出会ったのは娘を傷つけたことに腹を立てている両親テリーとベスだった。
共にエミリーを見守る中で打ち解けていく3人。そして自分にとって彼女がいかに大切な存在かに気付いていく。果たしてエミリーは目覚めるのか?その時、2人の未来の行方は?

試写の感想

Uberのドライバーをしながら、ピン芸人としてシカゴでコメディショーに出演するパキスタン人移民のクメイル。彼のコメディのネタは主にパキスタンとアメリカの文化の違い。

彼の家族がパキスタンの人種を尊重し、パキスタン人同士での見合い結婚が当たり前という、根深い習慣をクメイルに押し付けてくるのだった。

毎週末の家族の夕食に、パキスタン人女性が近くに来たと偶然現れ、夕食の席でお見合いという不思議な光景に、アンビリバボーな気持ちになる。

1日に5回のお祈り時間に、隠れてゲームをするクメイルは、全く敬虔では無いイスラム教徒である。

クメイルの父は医者でかなり裕福な家庭であるが、芸人を目指すクメイルはコメディショーに出演し、時には観客から『テロリスト』や『ISIS』と野次られる始末。一流の芸人としては実を結ばないためUberドライバーで生計を立て、アパートには友人とシェアし住んでいる。

異教徒・異人種との結婚を禁じ、白人女性と結婚した彼の親戚は家族から絶縁されている。

ここは本当にアメリカなのか?と目を疑いたくなる、パキスタン人の価値観には、ちょっとしたレイシズムが感じられたし、その逆のアメリカ人からの人種差別もひしひしと伝わってくる。

クメイルとその彼女のアメリカ人大学生で白人のエミリー。
出会ってからのラブラブな雰囲気と、彼らの仲が進展する中で、愛するエミリーを家族に紹介できず苦悩するクメイル。
また彼の家族に紹介してもらえないことで、別れを決意するエミリー。パキスタンファミリーの
古くからの伝統による葛藤が、次々と問題となって吹き出してくる。

エミリーが謎の難病に倒れてしまい、昏睡状態となってしまう。ここからの物語がタイトルの『ビッグ・シック』なのである。

病に付き添うエミリーの両親との交流、同じ人の無事を願う彼らに温かで家族のような絆が次第に生まれていくのだった。

大切な人が病に倒れたことで、気づくたくさんのこと。果たしてクメイルはエミリーとの恋愛と家族の問題を解決することができるのだろうか?

クメイル・ナンジニアニは、パキスタン生まれの俳優でコメディアン、また脚本家でもある。テレビドラマの『シリコンバレー』で広く知られており、多数の映画にも出演。本作は脚本を妻のエミリーと共同で執筆し、クメイル役は本人が実名で出演。

ほとんど無名俳優ばかりの、わずか500万ドルという低予算コメディが4000万ドルという大ヒット映画となり、本年度のアカデミー賞では脚本賞ノミネートされている。

北米の配給はAmazonで、北米のAmazonプレミアム会員はストリーミングで鑑賞可能だが、劇場でも同時に公開された。日本では劇場のみの公開で、Amazonプレミアム会員でもストリーミングでは観ることができない。

アメリカで爆発的に増えた、インドやパキスタン人の移民と、その類希な頭脳を使い活躍する人々がいる。
またタクシードライバーなど、誰もがしたがらない仕事をするインド人やパキスタン人の異文化ストーリーは、今のアメリカでブレイクしている。

アメリカに行ったことがある方、Uberを利用したことがある方には、クスッと笑えるシーンもあり、日本人には理解しづらい笑いのツボもあったかと思う。英語の勉強をしている方には、クメイルファミリーの英語がとても判りやすいので、字幕を追わずに観てほしい。

異文化・異人種間の恋愛と結婚の大変さが伝わる面白い映画で、アカデミー賞の結果も楽しみだ。

予告動画

2月23日 札幌シネマフロンティアほか全国順次ロードショー

 

監督:マイケル・ショウォルター『ドリスの恋愛妄想適齢期』

脚本:エミリー・V・ゴードン、クメイル・ナンジアニ

出演:クメイル・ナンジアニ『レゴ (R)ニンジャゴー』
ゾーイ・カザン『ルビー・スパークス』
レイ・ロマノ『アイス・エイジ』
ホリー・ハンター『ピアノ・レッスン』
アヌパム・カー『世界にひとつのプレイブック』

製作総指揮者:ジャド・アパトー
原題:The Big Sick
上映時間:120分
製作国: アメリカ
配給会社 :ギャガ

公式サイト 

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投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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