本年度カンヌ国際映画祭 監督賞受賞 ソフィア・コッポラが挑んだ新境地。史上最も豪華なキャスト陣を迎えた 極上のスリラー。
ソフィア・コッポラ監督の長編6作目となる本作は、過去のソフィア・コッポラ作品のイメージを大きく覆す新境地の”スリラー”に挑んでいる。
トーマス・カリナンが1966年に書いた小説「The Beguiled」を女性視点で描いた。本作を彩るキャスト陣にはソフィア映画史上最も豪華ともいえる面々が集まり、企画当初から話題を呼んだ本作は、第70回カンヌ国際映画祭にて女性として56年ぶり2人目の快挙となる監督賞を受賞!このニュースは一気に世界を駆け巡った。
アメリカ南部の世間から隔絶された女子寄宿学園に暮らす美しき女性7人。
ある日、負傷した北部の敵兵に遭遇し屋敷へと運び手当をする。女性に対し紳士的でかつ美しい男性と触れ合う中で、誰もが彼に心を奪われていく。しかし、次第に彼女たちは情欲と危険な嫉妬に支配されてしまう。秩序を守るか、欲望を取るか、彼女たちが最後に下した決断とは―
1864年、南北戦争のさなか、とある負傷兵が女学校に運び込まれる。学園には校長先生、教師、女生徒達の7名の女性が生活していた。学園は南軍の管轄下にあったが、負傷兵は敵である北軍の伍長だった。
森の中、足を怪我したマクバニー伍長を見つけた少女エイミー。初めは怖がっていたが、放ってはおけないと彼を学園に連れて行く。敵軍である男性に女性達は動揺するが、結局彼を助けることにする。
女学園のマーサ校長はいまだ美しさの衰えないニコール・キッドマン。真面目なエドウィナ先生役にはスパイダーマンのヒロイン役を務めたキルスティン・ダンスト。勝ち気で早熟な美少女アリシアをエル・ファニングが演じている。
初めは戸惑いながらも、彼の手当をするうちに女性達はマクバニー伍長に興味津々となる。日頃は使いもしないイヤリングやブローチを身に着けてみたり、入れ替わり彼の部屋へ立ち寄ってはあれこれと世話を焼き始める。
手当を受けたマクバニー伍長は礼儀正しく、かつ親しげに女性達と接する。次第にマクバニーの気を引こうとする女性達。自らをアピールしたり、他を牽制し合ったり。マクバニーはそのハーレムのような状況を悪くなく感じている。
ただ個人的には、少々感情移入しづらかった。コリン・ファレル演じるマクバニー伍長はハンサムでセクシーという設定のようだが、残念ながらあまりタイプではなかったのだ。いくら戦時中で、女の園で抑圧された欲望が潜んでいたとの事でも、ひとりの男性をめぐってここまで女性や女子たちが水面下の争いを繰り広げるのだろうかと、少々疑問に感じてしまった。
男性のタイプはさておき、女性陣のキャラクター設定、ストーリーの伏線も面白い。厳格で美しいマーサ校長、鬱屈し心閉ざしがちなエドウィナ先生、積極的に伍長を誘惑する若いアリシア、自分が彼を見つけ救ったという自負のある少女エイミー等々。
女たちのマクバニーをめぐる闘争心は次第にエスカレートしてゆき、並ならぬ白熱ぶりを見せてくれる。その中で、マクバニーの意中の女性とは・・・?
嫉妬心渦巻き緊張高まる中、物語は驚きの展開となり、エロティックなハーレムかと思いきや、まさかのサイコスリラ―へと変貌を成し遂げる。それにしても怖い話だ。女性達がみんな怖い。幼い少女までが・・・
かつては「白い肌の異常な夜」というなんとも妖しいタイトルで、若かりしクリント・イーストウッド主演の映画だったそうだが、当時はマクバニー伍長の視点だったところを今作では女性側からの視点で新たに描かれている。
クリント・イーストウッドのバージョンもぜひチェックしたくなってしまう。欲望を秘めた妖しくて恐ろしい女性達に興味が尽きなかった。
The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ
2018年2月23日(金)ディノスシネマズ札幌劇場にて公開
監督:ソフィア・コッポラ
キャスト:ニコール・キッドマン
キルスティン・ダンスト
エル・ファニング
コリン・ファレル
原題 :The Beguiled
上映時間 :93分
映倫区分: PG12
配給:アスミック・エース STAR CHANNEL MOVIES
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