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究極のファンタジー・ロマンス『シェイプ・オブ・ウォーター』第90回アカデミー賞®作品賞、監督賞、美術賞、作曲賞受賞!

  • 2017年12月20日

第90回アカデミー賞®、作品賞、監督賞、美術賞受賞、作曲賞の4部門受賞!

作品紹介

『パンズ・ラビリンス』『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロ監督が贈る切なくも愛おしい、誰も観たことがない究極のファンタジー・ロマンス

ストーリー

1962年、アメリカ。政府の極秘研究所に勤めるイライザは、秘かに運び込まれた不思議な生きものを見てしまう。アマゾンで神のように崇められていたという“彼”の魅惑的な姿に心を奪われたイライザは、周囲の目を盗んで会いに行くようになる。子供の頃のトラウマで声が出せないイライザだったが、“彼”とのコミュニケーションに言葉は必要なかった。二人の心が通い始めた時、イライザは“彼”が間もなく実験の犠牲になると知る──。

作品レビュー

映画が始まるなり、なんと美しい映像なのかと思った。
1962年、アメリカのボルチモア。ヒロインの住む趣あるアパート、夜の情景、丸みを帯びた可愛らしいバス。映像全体の彩りがお洒落で可愛らしく、絵画のようだ。

物語のコンセプトにすぐ惹き込まれた。
声を失い言葉を話せない主人公イライザは、政府の極秘研究所の掃除婦として働いている。冴えない日々を送っているという設定ながら、彼女のいる場所、彼女の生活はどこか非現実的な美しさであふれている。ノスタルジックな美しい背景。

おとぎ話のコンセプトにふさわしく、掃除係の制服もありえないほど可愛らしい。深緑色のキュートなデザイン。

謎めいた施設の中で、彼女は不思議な生き物にめぐり合う。半魚人と呼んでしまっては台無しだろうが、日本人ならそう言いたくなってしまう。作品の中では「クリーチャー」あるいは「彼」と表現されていた。クリーチャーの姿かたちはあまりにもインパクトがあった。青緑色の美しく光る鱗に覆われた肉体美に、アンバランスなほど愛らしい瞳。ごく限られた人にしか心を開いてこなかったイライザが、たちまち彼の虜になってしまうのだ。

こっそりと彼の水槽がある部屋へ忍び込み、好物のゆで卵を差し入れたり、レコードを聴かせてコミュニケーションするイライザとクリーチャー。互いにすぐ惹かれ合うが、楽しい日々は続かなかった。かねてよりクリーチャーを虐待していた残忍な軍人ストリックランドは、クリーチャーを生体解剖すべきと主張し、その日はすでに迫っていた。

ショックと怒りに震えながらも、彼女は少しも迷わなかった。
ひっそりと大人しく、静かに生きてきた彼女が、彼を救うためならどんな危険も顧みない。同じアパートに住む画家の友人ジャイルズを巻き込み、なりふり構わず、決死の救出劇を決行する。

映画の見どころは多々あるが、とりわけ映像の芸術性の高さには舌を巻く。
不思議でエキセントリックなストーリーに相応しいクリーチャーの魅惑的なルックス、恋する勇敢な女性へと変貌したヒロインとの、気の遠くなるほどに切なく感動的なラブシーン。

摩訶不思議な世界観を表現した本作、観る方はきっと驚きに満ちた時間となることだろう。

原題・英題
THE SHAPE OF WATER

【スタッフ】監督:ギレルモ・デル・トロ
【キャスト】サリー・ホーキンス、マイケル・シャノン、リチャード・ジェンキンス、ダグ・ジョーンズ、マイケル・スツールバーグ、オクタヴィア・スペンサー
上映時間: 124分
映倫区分: R15+
配給: 20世紀フォックス映画

(C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

投稿者プロフィール

Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなので映画レビューサッポロのライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。
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