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感動のバレエ・ドキュメンタリー『ダンシング・ベートーヴェン』あらすじ 感想

  • 2017年12月11日

 

 

モーリス・ベジャール・バレエ団×東京バレエ団

巨匠ズービン・メータ指揮イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団 ベートーベンの「第九交響曲」で奇跡の競演

映画『ベジャール、そしてバレエはつづく』から7年、―ベジャールの遺志を継いだ、バレエダンサーたちの葛藤と弛まぬ挑戦!

ストーリー

故モーリス・ベジャールによって振り付けられたユニークなダンスが、ベジャールバレエ団と東京バレエ団によって演じられ、指揮者ズービン・メータ率いるイ スラエル・フィルハーモニー管弦楽団による演奏により、見事なまでのベートーベンの第九交響曲のステージが実現。

本作は、21世紀のバレエ史上最高傑作と呼ばれた総合芸術のステージが出来上が るまでの度重なるリハーサルの様子や、様々な文化的背景を持つ人々の織りなす  人間ドラマに密着した感動のドキュメンタリー。

試写の感想

芸術を愛する方は。
バレエを、ダンスを、美を愛する方は。
音楽を、ベートーヴェンを、「第九交響曲」を愛する方は。
表現することを賛美する方には、たまらないドキュメンタリー映画である。

あまりにも有名なクラシックメロディーに込められた思いを、時代を超えたダンスの舞台として、亡き天才振付家モーリス・ベジャールは表現した。

そのメッセージは率直で明快だ。歓喜と力強さ、国や人種を越えての愛。
手をつなぎ、愛し合うこと。世界へ向けて発せられた、揺るぎないメッセージ。

この曲を作曲した時、ベートーヴェンはすでに聴覚を失っていたという。
有名ながらも、信じがたいエピソードである。
芸術とは、人が神の力を与えられていることの証明なのだといつも感じる。

モーリス・ベジャールバレエ団芸術監督の娘であり、女優のマリヤ・ロマンが「第九」の舞台を創る人々へインタビューを行う。芸術を生業とする人々、ダンサー、バレエ団の監督、美術製作担当者など、さまざまなアーティスト達に映るベジャールの人となり、そして「第九」の世界とは。

芸術家達に映る世界はそれぞれに独特で、かつ鋭敏な感性で感じ取っていることを言葉で語るインタビューも興味深い。話に耳を傾けるマリヤ・ロマンの表情もまた良い。

ダンサーたちの練習風景。日々のたゆまぬ鍛錬で磨き抜かれた身体そのものも芸術品である。

踊ること、表現することを追求してやまない彼ら、彼女たちは魂を輝かせて生きている。

その道は厳しく、険しく、苦悩と隣り合わせだとしても。

ベジャールを探り、「第九」を取り巻く人々をめぐる旅のフィナーレは、「第九」東京公演の舞台。その完成図は美の集大成だ。うっとりと見入る観客の表情が生々しく、自分もその観客席で鑑賞することができたなら、と切望せずにはいられない。

芸術を、表現を、美を愛する方なら、繰り返し観たくなるような作品である。

作品情報

監督:アランチャ・アギーレ

出演:マルヤ・ロマン【ナレーター】、ジュリアン・ファヴロー【ソリスト】、エリザベート・ロス【ソリスト】、カテリーナ・シャルキナ【ソリスト】、

オスカー・チャコン【ソリスト】、大貫真幹【BB ソリスト】、柄本弾【TB ソリスト】、那須野圭右【BB ソリスト】、吉岡美佳【TB ソリスト】、

ジル・ロマン【ベジャール・バレエ・ローザンヌ芸術監督】、

ズービン・メータ【イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団監督】

制作年:2016/原題:BEETHOVEN PAR BEJART/上映時間:82分/
制作国:スイス、スペイン/
言語:フランス語、英語、日本語、ロシア語/ドルビー・デジタル5,1ch
配給:シンカ

(c)Fondation Maurice Bejart, 2015 (c)Fondation Bejart Ballet Lausanne, 2015

投稿者プロフィール

Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなので映画レビューサッポロのライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。
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