• 道内最大級の映画レビューサイト

全世界を震撼させた禁断の真実「デトロイト」あらすじ 感想

  • 2017年11月25日

 

 

作品紹介

米史上最大級の〈デトロイト暴動〉の渦中に観客を誘う極限サスペンスに貫かれたキャスリン・ビグロー監督最高傑作。
女性初のアカデミー賞®︎監督賞を受賞した『ハート・ロッカー』で一触即発のイラクの戦場へ、『ゼロ・ダーク・サーティ』では闇夜に包まれたビンラディンの隠れ家へと観客を引き込んだキャスリン・ビグロー監督。

5年ぶりの最新作は米史上最大級の暴動<デトロイト暴動>の最中に起こった“戦慄の一夜”を描く。センセーショナルな題材選びと圧倒的なリアリティ、臨場感溢れる作風で世界を驚嘆させてきたビグロー監督が極限サスペンスの最高傑作を誕生させた。

実在の人物を演じた『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』ジョン・ボイエガ出演は、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』、『パシフィック・リム:アップライジング(原題)』など話題作が続くジョン・ボイエガが、警官側と被害者の間に立たされた複雑なキャラクターを熱演。

差別主義者の白人警官に扮した『レヴェナント:蘇えりし者』ウィル・ポールターはその鬼気迫る演技でオスカーも期待されている。他『アベンジャーズ』シリーズのアンソニー・マッキー、『トランスフォーマー/ロストエイジ』ジャック・レイナーなど豪華キャストが監督の野心的な挑戦に集結した。

ストーリー

1967年の夏、アメリカを震撼させ、その後の公民権運動に大きな影響を与えた事件の舞台、

デトロイトのアルジェ・モーテル。連日暴動が続く中で起きた恐怖に満ちた一夜。

そこで一体何が起こったのか。

アメリカだけではなく、全世界を震撼させた禁断の真実が、今、明らかになる。

試写の感想

 

あまりにも残酷で、あまりにも理不尽。詳細な取材を経て映像化された、実話をもとにしたストーリー。事件が起きてから50年以上という長い月日を経ている。

 

1967年、アメリカ、デトロイト市。ある店で催されていたパーティーに突然警官たちが押し入り、その場にいた黒人の客たちは有無を言わせず逮捕され、護送車で次々と送られた。一方的に罵詈雑言を浴びせ、暴力的に取り調べをする警官たち。

 

許可なく営業していた店ながら、白人警官たちによる横暴は日常茶飯事であったことがうかがえた。日常的に拳銃を突きつけられ、黒人達の日々の怒りは鬱積していた。蓄積され尽くした怒りのエネルギーは、暴動という形で爆発したのは無理もなく思える。そうなるしかなかったのだと。

 

略奪や放火を繰り返す暴徒たち。警察だけでは対応しきれない暴動に軍隊も投入される。街は戦場と化し、外出もままならない状態になっていた。

 

略奪者たちを取り締まる警官たち。発砲することは禁じられていたにも関わらず、逃げる黒人の若者を追いかけて背後から銃を撃った白人警官のクラウス。撃たれた若者は呆気なく命を落とした。

 

冷酷な差別主義者が権力を握っていることは、事態の深刻さをエスカレートさせてゆく。
暴動のさなか、とあるモーテルにいた黒人の若者が、おもちゃのピストルで発砲するという悪ふざけをした。狙撃犯の仕業だと思い込んだ警官たちは血相を変えてモーテルを包囲し、暴力的な取り調べを行った。警官たちの中心人物は例の差別主義者、クラウスだった。

 

たまたまモーテルに居合わせただけの黒人の若者、白人の若い女性たちを狙撃犯と決めつけ、残虐な取り調べが行われる。偏った価値観、差別、暴力、人権無視・・・恐怖と緊迫、圧迫感ただならぬシーンが続く。見ている私たちは怒りや絶望、やりきれなさといった様々な感情を味わい、心を痛める。

 

ウィル・ポールスター演じるクラウスは極めて重要な役柄だ。彼の冷酷さ、差別主義、横暴かつ卑劣な行為のすべては、当時の白人警官たちの象徴的な姿とされるのだろう。
許しがたい存在のこのキャラクターを演じながら、俳優のウィル本人は“もう耐えられない”と突然泣き崩れてしまったという。自身とは全く異なる残虐な人物を演じることは、俳優にとって途方もない苦痛を伴ったというエピソードも印象的だった。

 

事件の被害者、関係者たちは長年口を閉ざし続けたままだった。心に深い傷を負ったまま、沈黙を守り続けた。それでも映画のスタッフ達は彼らを探し出し、取材にこぎつけ、彼らの忌まわしい体験に耳を傾けた。

 

まぎれもなく、明るみにされるべき事実だ。多くの人が知るべきこと。暗い歴史に光を当て、人間の暗部に目を背けずに向き合うこと。知った人々はそれぞれ何かを感じるはずだ。

 

映画という媒体の社会的役割を再認識した、重みある作品だった。

予告動画

製作/キャスト

監督:キャスリン・ビグロー『ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』

脚本:マーク・ポール『ハート・ロッカー』『ゼロ・ダーク・サーティ』

キャスト:ジョン・ポイエガ『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』、ウィル・ポールター『レヴェナント:蘇えりし者』ジャック・レイナ―『トランスフォーマー/ロストエイジ』

配給:ロングライド
上映時間:142分
原題:Detroit

公式サイト

© 2017 SHEPARD DOG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

投稿者プロフィール

Kana
フランス語講師。映画大好き、書くのも好きなので映画レビューサッポロのライターへ立候補。
仕事柄プライベートではフランス作品の鑑賞に偏りがちですが、様々なジャンルをバランスよく観たいです。子供の頃、若い頃はSFやアクション系が好きでしたが、近頃は人間ドラマ重視の作品により惹かれます。
error: Content is protected !!