嬉しいことも、悲しいことも、どうしようもないことも。3人だからきっと見つけられる、自分らしさと本当の幸せを。
「彼らが本気で編むときは、」
トランスジェンダーという難しい役に挑戦した生田斗真と、演技のみならず歌やCMでその存在感が注目されている桐谷健太。人気実力とも今、最も輝いているキャストと、実話のエピソードを元に、「かもめ食堂」で北欧ブームをつくったと言われる荻上直子が贈る、爽やかで心地よい極上のエンタテインメントの誕生!
優しさに満ちたトランスジェンダーの女性リンコ(生田斗真)と彼女の心の美しさに惹かれ、すべてを受け入れる恋人のマキオ(桐谷健太)。そんなカップルの前に現れた、愛を知らない孤独な少女トモ(柿原りんか)。桜の季節に出会った3人が、それぞれの幸せを見つけるまでの心温まる60日。
小学生のトモは、母ヒロミ(ミムラ)と二人暮らし。ある日、ヒロミが男を追って姿を消す。ひとりきりになったトモは、いつものように叔父であるマキオの家に向かう。
ただ以前と違うのは、マキオはリンコという美しい恋人と一緒に暮らしていた。
リンコの美味しい手料理や母親が決して与えてくれなかった家庭のぬくもりとトモへの愛情・・。最初は戸惑うトモだったが、リンコのやさしさに閉ざした心を少しずつ開いていくのだった・・・。
本当の家族ではないけれど、3人で過ごす特別な日々は、自分らしさと本当の幸せを教えてくれた。
嬉しいことも、悲しいことも、どうしようもないことも、それぞれの気持ちを編み物に託して、3人が本気で編んだ先にあるものは・・・。
トランスジェンダー…テレビではよく観るし、夜の街へ行けばきらびやかなニューハーフの方たちが働いている。しかし実社会で出会うことは滅多にない。昨年私が渡米した時、そこで会った方の数名はゲイで同性の方と一緒に暮らし、中には同性婚の方もいてパートナーについて自慢気に語っていた。
脚本・監督の荻上直子さんが、アメリカ滞在中に出会った、ゲイのカップルやお友達、でも人一倍親切で愛情深い。その中で普通に生活しているトランスジェンダーの人間模様を描きたかったそうだ。
それまで荻上直子さんの作品は、「かもめ食堂」や「レンタネコ」など、ほのぼのとした作品とそこに出てくるご飯が美味しそうで、お腹を空かせる家庭的な映画が大半だったと思う。
「彼らが本気で編むときは、」では、トランスジェンダーや母親からのネグレクトという、共感しづらいテーマに対し食と家族の愛が重なるように存在している。
生田斗真演じるリンコは、物静かで優しく美しい。リンコとカップルになる桐谷健太演じるマキオは、文学が好きで真面目で優しいタイプ。マキオの話す言葉がまるで活字の世界から出てきたようで新鮮に思えた。
母からネグレクトされ、捨てられても母性を求める少女・トモ。微笑しい3人の関係。一緒に笑ったり泣いたりして、観客の様々な感情を揺らしつつ感動へと導いてくれる。
リンコが可愛くて料理が上手で母性が本当に豊か。こんな素敵な女性を世の男性たちは理想とするんだろうなぁ・・・とため息が出ながら生田斗真の演じるリンコに見惚れてしまった。
2017年/日本/日本語/カラー/アメリカン・ビスタ/DCP5.1ch/127分/G
2月25日(土)、札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌ほか全国ロードショー!
©2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会