1993年、スティーヴン・スピルバーグ監督によって誕生した映画『ジュラシック・パーク』は、リアルでスリリングな恐竜の描写で世界中に大旋風を巻き起こし、累計興行収入9,400億円を突破。映画史に燦然と輝く金字塔となった。
そして2025年、シリーズ最新作『ジュラシック・ワールド/復活の大地』が新たな進化を遂げてスクリーンに帰ってくる。
スカーレット・ヨハンソンがシリーズ初の女性主人公として登場し、マハーシャラ・アリ、ジョナサン・ベイリーら実力派キャストとともに、かつてないスケールと興奮を届ける。
かつて世界中に放たれた恐竜たちは、環境変化によって絶滅の危機に瀕し、現在では赤道直下の限られた地域にしか存在しない。
製薬会社の代表であるマーティ・クレブス(ルパート・フレンド)は、新薬開発の鍵を握る恐竜DNAを求め、密命を帯びた専門家ゾーラ・ベネット(スカーレット・ヨハンソン)を派遣。彼女に同行するのは、傭兵ダンカン・キングケイド(マハーシャラ・アリ)や、生物学者ヘンリー・ルーミス博士(ジョナサン・ベイリー)ら選ばれしチーム。
彼らが向かうのは、「ジュラシック・パーク」の極秘研究がかつて行われていた、“禁断の島”。そこは、陸・海・空の恐竜が生き残る最後の地であり、世界で最も危険な場所だった――。
恐竜の世界に潜む“恐怖”の原点回帰
恐竜がテーマパークのスターだった時代は終わった――。
『ジュラシック・ワールド/復活の大地』は、これまでのワクワク感とはまったく異なる、冷や汗をかくようなスリルと緊張が全編を包み込む、“原点回帰”の1本である。
物語は2つの視点で進行する。ひとつは、家族旅行中に海で遭難してしまった一家のサバイバル。もうひとつは、恐竜を医療研究に役立てようとする製薬会社と、目的のために動く傭兵たちの暗躍。彼らの行動が交錯するなかで、舞台は再び“恐竜の聖域”へと突入し、思わぬ恐怖と混乱が襲いかかる。
今回の作品は、恐竜が「夢」や「ロマン」ではなく、「恐怖」そのものであった時代の空気を思い出させてくれる。あの1993年の『ジュラシック・パーク』が放った、“目を奪われるほどの興奮”と“背筋の凍るような危機感”が蘇るのだ。
実際、アメリカの一部観客の反応をなぞれば、「久々にあの頃の“本物の恐竜映画”を見た気がした」と語る声も多い。CGのリアルさはもはや説明不要だが、本作ではその恐竜たちが暗闇の中から“気配”として迫ってくる演出が秀逸で、観客の想像力を逆撫でするような演出に満ちている。
主演のスカーレット・ヨハンソンは、冷静沈着な傭兵リーダーとして登場。鍛え抜かれたアクションスキルを武器に、恐竜と対峙する緊迫のシーンでは圧巻の存在感を放つ。
また、マハーシャラ・アリ演じる傭兵チームの船長は、強靭さと静かな包容力をあわせ持ち、ストーリーの中で重要な支柱となっている。
しかも、本作は単なる“恐竜パニック映画”では終わらない。命を守ろうとする者、命を利用しようとする者、その間で引き裂かれる倫理と信念――人間のエゴと弱さも、丁寧に描かれている。派手な映像の裏には、環境と命をめぐる重い問いも投げかけられており、そこに本作の奥行きがある。
ただし、ファミリー向けというよりは、ややホラー寄りの仕上がりである点には注意が必要だ。子どもたちが夢中になるようなアトラクション感覚の作品ではなく、“ひと夏の肝試し”のような感覚で味わうべき映画だろう。
恐竜がパクリと人を飲み込む場面もある。死が唐突に訪れる恐ろしさ、そしてそれでも抗おうとする人間の姿――このあたりの展開は、まさに大人が震えるリアルな恐怖を描いていると言える。
それでもどこか“希望のかけら”のようなものも見えてくる。壮大な自然の力に翻弄されながらも、生きようとする人々の姿に、心を打たれる瞬間がある。
まさにこの夏、“涼”ではなく“冷”を感じたい人におすすめ。
大迫力の恐竜たちが、スクリーンの向こうから本当に飛び出してきそうな臨場感。
ひやりとした緊張感を肝試し気分で楽しみたいなら、ぜひ劇場の大スクリーンで体感してほしい。これは、夏にこそふさわしい、もう一つの“恐竜の物語”だ。
キャスト: スカーレット・ヨハンソン、マハーシャラ・アリ
ジョナサン・ベイリー、ルパート・フレンド、マヌエル・ガルシア=ルルフォ
監督:ギャレス・エドワーズ
脚本:デヴィッド・コープ
製作:フランク・マーシャル、パトリック・クロウリー
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、デニス・L・スチュワート
原題:Jurassic World Rebirth
製作国:アメリカ
上映時間:2時間14分
配給:東宝東和
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