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松岡茉優✕窪田正『愛にイナズマ』10月27日公開 作品レビュー

作品紹介

石井裕也監督最新作、松岡茉優と窪田正孝がW主演の『愛にイナズマ』は、ポップ&ハッピーなタッチで描かれる、今の社会を予見したかのような“アフターコロナ”の世界。
社会の理不尽さに打ちのめされた恋人たちが、10年ぶりに再会したどうしようもない家族の力を借りて反撃の狼煙を上げる!という、愛と希望とユーモアが盛り込まれた痛快なストーリー。“今描くべき物語”として圧倒的な熱量で描かれた脚本は多くの役者たちの心を突き動かし、日本を代表する俳優たちが奇跡的に勢ぞろいしました。まさに雷にうたれたような衝撃と、とめどない感涙をもたらす、映画史に残る珠玉のヒューマンドラマ。

ストーリー

どうしようもない家族は、最高の家族でした。
長年の夢だった映画監督デビュー目前で、すべてを奪われた花子(松岡茉優)。イナズマが轟く中、反撃を誓った花子は、運命的に出会った恋人の正夫(窪田正孝)とともに、10年以上音信不通だった家族のもとを訪ねる。妻に愛想を尽かされた父・治(佐藤浩市)、口だけがうまい長男・誠一(池松壮亮)、真面目ゆえにストレスを溜め込む次男・雄二(若葉竜也)。そんなダメダメな家族が抱える“ある秘密”が明らかになった時、花子の反撃の物語は思いもよらない方向に進んでいく…。

作品レビュー

“どうしようもない家族”と”空気の読めない男性”

そんな彼らに救われた、闘う女性の物語。

描かれるのはアフターコロナの日本。

コロナ以前と以降で世の中の空気が一変してしまったと感じるが、そのピリピリした様子すらもシニカルな笑いに昇華した質の高い作品だった。

主演を務めるのは松岡茉優と窪田正孝。

「舟を編む」の石井裕也監督がオリジナル脚本で描いたコメディドラマなのだが、なんと言ってもこの脚本が素晴らしい。

時代の切り取り方や笑えるシーンのバランスが秀逸。

人間の深層心理は温かで平和的なものばかりではないという現実も突きつけられるような作品だった。

笑えるのに泣けて、泣けるのに腹も立つ。これこそがリアル。

演技力に定評のある俳優陣が、そんな様々な感情を詰め込んだキャラクターの魅力を一層際立たせてくれた。

26歳の折村花子(松岡茉優)は幼少時からの夢だった映画監督デビューを目前に控え、気合いに満ちていた。

そんな彼女の心を折るような卑劣な出来事はあまりにも無情で哀しい。

空気を読めない男性・舘正夫との雷に撃たれたような衝撃的な出会いは、失意の底から一転、“どうしようもない家族”の力を借りて反撃をする活力になる。

恋とか愛とかそれだけではなく、父や2人の兄の想いも乗せた花子の闘いが幕を開けると観ている側もやる気十分になっていく。

花子の父・治(佐藤浩市)の人情味溢れる振る舞いも、一見クールに見える長兄・誠一(池松壮亮)も、優しく繊細な次兄・雄二(若葉竜也)も、皆が皆愛おしい。

それでいて真面目な彼らの姿すら面白く感じさせてくれるセンスの良い笑いが全体に深みを持たせてくれていた。

丁寧な心理描写により、見進めるうちに彼らに抱く印象が変わっていくのもまた邦画の醍醐味。

「観て良かった!」まさにそう思える作品だった。

『愛にイナズマ』10月27日公開


松岡茉優 窪田正孝
池松壮亮 若葉竜也 / 仲野太賀  趣里 / 高良健吾
MEGUMI  三浦貴大 芹澤興人 笠原秀幸 / 鶴見辰吾
北村有起哉 / 中野英雄 / 益岡 徹/佐藤浩市
監督・脚本:石井裕也
主題歌:「ココロのままに」エレファントカシマシ (ポニーキャニオン)
配給:東京テアトル
公式サイト
上映時間: 140分
©2023「愛にイナズマ」製作委員会

投稿者プロフィール

兼平ゆきえ
兼平ゆきえ
映画・音楽・本 など 観たり聴いたり読んだりと忙しく過ごすのが好きなインドア派。恵庭発 北海道のMUSIC&ART情報サイト From E…代表。不定期で企画LIVEを開催。2018年7月から 恵庭市のコミュニティFM e-niwa にて、映画や音楽の話を中心とした番組『From E…LIFE(フロムイーライフ)』を放送開始。
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