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S・スピルバーク監督の自伝映画『フェイブルマンズ』作品レビュー

作品紹介

『フェイブルマンズ』は、巨匠スティーヴン・スピルバーグ監督の実体験を描いた実話映画で、第80回ゴールデングローブ賞にて「作品賞(ドラマ部門)」「監督賞」を受賞した世界中から注目を集める作品。

ストーリー

初めて映画館を訪れて以来、映画に夢中になったサミー・フェイブルマン少年は、 8 ミリカメラを手に家族の休暇や旅行の記録係となり、妹や友人たちが出演する作品を制作する。そんなサミーを芸術家の母は応援するが、科学者の父は不真面目な趣味だと考えていた。そんな中、一家は西部へと引っ越し、そこでの様々な出来事がサミーの未来を変えていく 。

作品レビュー

映画『フェイブルマンズ』は、幼少から思春期を描いたスティーブン・スピルバーグ監督自身の回想録を元に制作された作品で、映画製作の礎となった経験や少年時代の思い出を映しながら、同時に「あなたは子供の頃どんな人間でしたか?」と問いているように、映画の魔法を2時間半にわたって語る『ニュー・シネマ・パラダイス』のアメリカ版的な要素がある。

特にスピルバーグが10代だった頃を深く掘り下げ、父親の仕事の転勤による頻繁な引っ越しの経験と、ピアニストの母親への精神的なトラウマを描写することで、彼自身の人格と芸術家としての形成に影響を与えられたようだ。
物語りは主人公・サミーがアメリカの中流階級で成長し、その成長とともに彼の家族が壊れる様子や、映画作りに没頭する2つのストーリーを織り交ぜて進んでいく。

幼いころから映画に夢中になったサミーの序盤のシーンで、サミーは両親に映画館に連れて行かれ、魅了されるように映画の列車事故のシーンを目の当たりにし、衝撃を受けたサミーはおもちゃの列車で映画を再現しようとする。

サミーは映画制作に深い愛情を抱き、熱意に満ちた野心的なシーンを手がけるアマチュア映画監督として成長していく。年を重ねるにつれ、両親の不幸な結婚生活、思春期と恋愛、そしてユダヤ人差別や虐めなどの葛藤と向き合うこととなる。

本作の大部分は、サミーが映画製作に対する情熱について描かれており、高校生の彼はカメラやフィルムに魅了され、映像の中でヒーローとヴィランを作り出す、オタク的な熱意が伝わってくる。

興味深いのは、テーマ的に最も近い作品がスピルバーグが監督ではなく製作総指揮をした「バック・トゥ・ザ・フューチャー」かと思う。父親を犠牲にした母親の不貞や、高校のプロムの舞台設定などサミーの思春期と多くの類似点がある。本作はスピルバーグ監督の過去作へのオマージュでもあり、キャリア60年目にして芸術的な集大成となっている。

『フェイブルマンズ』


監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:スティーヴン・スピルバーグ、トニー・クシュナー
出演 : ガブリエル・ラベル、ミシェル・ウィリアムズ、ポール・ダノ、セス・ローゲン、ジャド・ハーシュ
原題 The Fabelmans
配給 東宝東和
上映時間: 151分
※PG12
公式サイト

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投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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