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ブラック!部活エンタメ「野球部に花束を」 作品レビュー

作品紹介

とっても理不尽だけど、愛おしい――。
誰もが一度は味わった、理不尽でサイテーな体験に胸が最高に熱くなる
抱腹絶倒×共感必至の《時代逆行型》エンタテインメント、開幕──!
昭和、平成、令和──。時代は常に目まぐるしく変化する・・・はずが、伝統ある神事の如く不変不滅、否、むしろ逆行している禁断のアンタッチャブル・ゾーンが日本にはあった!それは、全国津々浦々に厳然と存在する約4,000 もの高校野球部──。「ドラフトキング」(集英社「グランドジャンプ」で絶賛連載中)などが熱狂的に支持されている“野球小僧漫画家”クロマツテツロウが、高校球児たちの知られざる日常と生態をリアルに描いた伝説的コミック「野球部に花束を ~Knockin ’OnYAKYUBU’s Door~」(秋田書店「月刊少年チャンピオン」で13〜17 年連載)を、昭和がますます遠くなった今、満を辞して映画化!すべての青春を野球<部>に捧げた、名もなき球児たちの熱すぎる汗と涙の物語が、この夏、ついに幕を開ける──!

ストーリー

野球に没頭した中学時代に別れを告げ、高校デビューを目指し茶髪に染めて入学式を迎えた黒田鉄平(醍醐虎汰朗)。
新生活に心躍らせチャラ男街道まっしぐらだったが、野球部の勧誘に来た優しい二年生に誘われ、中学時代からレギュラーで活躍していた桧垣(黒羽麻璃央)と薫田(三浦健人)に加え、長身の森(市川知宏)、ずんぐり体系ながら異様に足の速い亀井(駒木根隆介)ら有望株揃い(!?)の同級生らと部活見学に行くことに。入部の意思はサラサラなかった黒田だったが、グラウンドに現れた昭和ヤ○ザ丸出しの原田監督(髙嶋政宏)の圧に耐え切れず、半ば強制的に入部を決意してしまうのだった・・・。
さらに、仮入部後の彼らを待ち受けていたのは、優しさのカケラもない鬼へと豹変した二年生と、恐怖のあまり小沢仁志にしか見えない三年生たちだった!三年生の号令で、新入生歓迎会という名の伝統儀式が始まる。「痛い痛いっ!ぎゃああああ!」──高校デビューでキメた茶髪は無惨に散り、一瞬で“五厘刈り”に。こうして、夢見たバラ色の高校生活はあっけなくゲームセット!


練習が本格的に始まり、先輩から肩の強さを褒められ浮かれたのも束の間、黒田がショート用に大金をはたいて新調したグローブは、原田監督の「黒田!キャッチャーに行けぇ!」の一言で、一瞬で不要に。
黒田は出鼻を挫かれ、泣く泣くキャッチャーにコンバートされるのだった。夏の地方大会が迫る中、連日怒号を浴びせられ、汗と土にまみれてボロボロになりながら練習に励む黒田たち。新入生は球を使った練習も満足にさせてもらえず、ヒエラルキーの最底辺で「絶対服従」の日々を送る。
テスト期間中も問答無用、三年生の朝練を手伝うように二年生から命令され、口うるさい高柳のティーバッティングのトス係を黒田、無言の圧が強すぎる吉村のバッティングマシンの練習を森がサポートするハメに。死力を尽くして奴隷となる彼らだったが、“ザ・ハラスメント”な世界に翻弄され、憔悴し、疲弊していく。しかも、入部当初から一緒に頑張ってきた亀井が退部したいと言い始め、おまけに一目惚れした同級生のユキちゃんは、なんと吉村先輩の妹だった〜!


強くはない、けど弱小でもない。中途半端な並の公立高校野球部で、助け合ったり、いがみ合ったりしながら何とか生き延びてきた黒田ら一年生。春、夏、そして秋──怒涛の日々が過ぎ、もうすぐ二年生。高校生活のすべてを野球部に捧げてきた彼らは、あれほど恐れていたはずの“伝統”に、気づけば自分たちも完全に染まっていた・・・。

作品レビュー

野球部がどんどん強くなり、甲子園に出場するまでの軌跡を描いた映画と思い、期待に胸を膨らませながら鑑賞したが、期待とは真逆のコメディで、腹筋崩壊の面白さだ。

高校デビューの主人公・黒田鉄平が野球部の監督や先輩の圧から何となく入部してしまうが、監督&先輩のパワハラと、早朝や夜遅くまでの部活での奴隷扱いと、強豪校ならともかく中レベルの野球部で、主人公と一年の仲間は疲労困憊しながらも、何故か部活を辞めない?気付いたら、圧ある部活と青春にハマっていた…

恐い三年生が時々ヤクザ風の小沢仁志に見えるシーンでは、本物の小沢仁志が登場し、インパクトある登場に声を出して笑い、野球解説者・里崎智也の野球部あるある解説が入るシーンが可笑しい。令和の世ではあり得ない監督(高嶋政宏)の軍隊的ハラスメントは、耐え難いが面白い!

三年生の吉村先輩役を務めるのは、高校生には見えない年配の俳優が演じているが、オッサンにしか見えない先輩がいるのも、野球部のあるあるだ。


先輩の朝練に付き合うために自分も練習し、勉強や成績は二の次で野球のために生きる彼らだが、ここまでしないと甲子園には行けないのか?やはり私立の強豪校には勝てないが、本作はノーマルなスポ根ものでは無く、部活で理不尽なヒエラルキーがあっても、たくましく元気に生きる部員たちの愛らしい物語だ。

劇場公開日は2022年8月と夏の甲子園大会の真っ只中、全力で野球に打ち込む高校生たちが、驚異的な練習量で勝ち上がることを改めて知り、感動が得られるかもしれない。
一年生で奴隷の彼らが、二年生になった時どのように成長するか?も見どころだ。ポジティブな笑いは免疫力を上げるので、健康な身体作りのためにもこの映画をオススメしたい。

「野球部に花束を」8月11日公開


キャスト: 醍醐虎汰朗  黒羽麻璃央  駒木根隆介
市川知宏  三浦健人/里崎智也(野球解説者)
小沢仁志/髙嶋政宏
原作:クロマツテツロウ『野球部に花束を ~Knockin’ On YAKYUBU’s Door~』(秋田書店「少年チャンピオン・コミックス」刊)
主題歌:電気グルーヴ「HOMEBASE」
監督・脚本:飯塚健 音楽:海田庄吾
配給:日活
上映時間:99分
公式サイト

©2022「野球部に花束を」製作委員会

投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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