《ヴェネチア国際映画祭》オリゾンティ・コンペティション部門選出!
《トロント国際映画祭》スペシャル・プレゼンテーション部門選出!
声の出演:アヴちゃん×森山未來 W主演!!監督・湯浅政明×キャラクター原案・松本大洋×脚本・野木亜紀子×音楽・大友良英が実在の能楽師を変幻自在のイマジネーションで描く《ミュージカル・アニメーション》!
室町の京の都、猿楽の一座に生まれた異形の子、犬王。周囲に疎まれ、その顔は瓢箪の面で隠された。
ある日犬王は、平家の呪いで盲目になった琵琶法師の少年・友魚と出会う。名よりも先に、歌と舞を交わす二人。 友魚は琵琶の弦を弾き、犬王は足を踏み鳴らす。一瞬にして拡がる、二人だけの呼吸、二人だけの世界。
「ここから始まるんだ俺たちは!」
壮絶な運命すら楽しみ、力強い舞で自らの人生を切り拓く犬王。呪いの真相を求め、琵琶を掻き鳴らし異界と共振する友魚。乱世を生き抜くためのバディとなった二人は、お互いの才能を開花させ、唯一無二のエンターテイナーとして人々を熱狂させていく。頂点を極めた二人を待ち受けるものとは――?
歴史に隠された実在の能楽師=ポップスター・犬王と友魚 から生まれた、時を超えた友情の物語。
能楽とは、日本の代表的な仮面音楽劇で外来舞楽や伝統的な舞楽が融合してできたものと言われている。
観阿弥・世阿弥の業績を学校で習った記憶もあり、役者が能舞台で囃子に合わせ謡曲をうたい、能面をかぶって演ずるという今日の能もこの延長線上にあると聞いた。
とは言え、「能」を観たことのある人はどのくらいいるのだろう。
自身もひと時、雅楽・能楽・歌舞伎などに興味を持った事はあったのだが、何となく敷居が高く感じてしまい実際に観に行った事は無いのが現状だ。
そんな中で観た今作『犬王』は、これこそが求めていたものだったのではないかと思えるほどひき込まれるものだった。
南北朝~室町期に活躍した実在の能楽師・犬王をモデルにした古川日出男の小説「平家物語 犬王の巻」。
この小説を映像化した長編ミュージカル・アニメーションが今作『犬王』で、監督は湯浅政明が務める。
監督がかつてアニメ化した「ピンポン」の漫画家・松本大洋が今作のキャラクター原案を、「アイアムアヒーロー」の野木亜紀子が脚本を、そして音楽は大友良英が担当と、まさに凄腕クリエイターが大集結している。
ストーリー・映像・音楽とそのどれもが斬新かつ独創的。
壮大に描かれた美しい景色や舞台に圧倒され、その中心にいる唯一無二のポップスター【犬王】は私の心を掴んで離さなかった。
主人公・犬王は人気バンド「女王蜂」のボーカル担当・アヴちゃんが演じているのだが、先ずもってこの配役が素晴らしい。
女王蜂におけるアヴちゃんのカリスマ性と犬王の持つ圧倒的な存在感がうまく作用して、これまでの主人公像とは一線を画している。
彼は京の都・近江猿楽の比叡座の家に生まれたが、その姿はあまりに奇怪で大人たちは犬王の全身を衣服で包み顔には面を被せた。
他の者には見えないものや聴こえない声を拾い上げ救い出す事が出来る犬王は、その舞と歌とで民衆を熱狂させる能楽師になった。
その相棒となる盲目の琵琶法師・友魚(ともな)を演じたのが森山未來。
犬王の相棒というだけあって、友魚もまた個性的な人物である。
平家の落人を歌い踊る犬王、そしてそんな犬王の事を奏で語る友魚という2人は瞬く間に時の人となる。
100分にも満たない限られた時間の中で、彼らの歩んだ数奇な人生は見事に表現され完結する。
ファンタジーの中にもしっかりと歴史が感じられる大作だった。
【スタッフ・キャスト】
声の出演:アヴちゃん(女王蜂) 森山未來 柄本佑 津田健次郎 松重豊
原作:『平家物語 犬王の巻』古川日出男著/河出文庫刊
監督:湯浅政明
脚本:野木亜紀子
キャラクター原案:松本大洋
音楽:大友良英
アニメーション制作:サイエンスSARU
配給:アニプレックス、アスミック・エース
上映時間:98分
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