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大泉洋を主人公に”あてがき”を実写化!『騙し絵の牙』 作品レビュー

作品紹介

大泉洋×吉田大八×オールスターキャストで贈る、逆転連発エンターテイメント!
崖っぷち出版社を舞台に繰り広げられる、仁義なき騙し合いバトル!最後に笑うのは誰だ?

ミステリー小説「罪の声」の著者・塩田武士が、俳優・大泉洋を主人公にあて書きし、2018年本屋大賞にランクインするなど話題・評判ともに世間の注目を集めた、前代未聞のベストセラー小説「騙し絵の牙」(角川文庫/KADOKAWA刊)がついに映画化!
舞台は大手出版社「薫風社」。かねてからの出版不況に加え創業一族の社長が急逝、次期社長を巡って権力争いが勃発。 雑誌は次々と廃刊のピンチに陥り、雑誌「トリニティ」の編集長・速水も、無理難題を 押し付けられて窮地に立たされる…が、この一見頼りない男、 実は笑顔の裏にとんでもない“牙”を秘めていた!
主人公の雑誌編集長・速水役にはもちろん、国民的人気俳優の大泉洋。その速水の策略に巻きこまれていく新人編集者・高野役には、松岡茉優。薫風社の重役として、大改革を裏で進める東松役に佐藤浩市。 さらに、宮沢氷魚、池田エライザ、中村倫也、佐野史郎、木村佳乃、和田聰宏、坪倉由幸、斎藤工、塚本晋也、 リリー・フランキー、小林聡美、國村隼など日本を代表する超豪華俳優陣が大集結!
監督は、『桐島、部活やめるってよ』で第36回日本アカデミー賞最優秀作品賞及び最優秀監督賞、『紙の月』で第38回日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞した吉田大八。脚本は『天空の蜂』の 楠野一郎と吉田監督による共同執筆。
嘘、裏切り、リーク、告発。クセモノ揃いのライバルたちの陰謀が渦巻く中、生き残りを賭けた速水の“大逆転”の奇策とは!?

ストーリー

大手出版社「薫風社」に激震走る!かねてからの出版不況に加えて創業一族の社長が急逝、次期社長を巡って権力争いが勃発。専務・東松(佐藤浩市)が進める大改革で、雑誌は次々と廃刊のピンチに。会社のお荷物雑誌「トリニティ」の変わり者編集長・速水(大泉洋)も、無理難題を押し付けられて窮地に立たされる…が、この一見頼りない男、実は笑顔の裏にとんでもない“牙”を秘めていた!嘘、裏切り、リーク、告発。クセモノ揃いの上層部・作家・同僚たちの陰謀が渦巻く中、新人編集者・高野(松岡茉優)を巻き込んだ速水の生き残りを賭けた“大逆転”の奇策とは!?

作品レビュー

『罪の声』でリアリティーと共感度の高い新感覚の小説を生み出した、塩田武士の小説『騙し絵の牙』。大泉洋という俳優を主人公として”あてがき”した本作は、大泉洋が主人公を演じてこそ完結されるという、前代未聞の映画である。

老舗の大手出版会社を舞台にした、社内での『パワーゲーム』が中心だが、電子書籍に圧され衰退していく出版業界の厳しさが理解できる。

雑誌『トリニティ』の編集長で主人公の速水は、何を考えているか読めない男である。自身が生み出してきたアイディアにプライドを持ち、周囲の人間を自分のペースに巻き込んで大胆な変革へと進んでいく。
とらえどころの無い速水の台詞は、まるで大泉洋本人が語っているように聞こえるので、”あてがき”の面白さを体感できるはずだ。

出版社内のパワーゲームが話の中核となるため、池井戸潤の小説を連想するが、こちらはもっとライトで、速水の飄々としたキャラクターがコミカルかつ小気味良い。

新人編集者・高野役の松岡茉優は、小説と本の虫で編集を目指した有能な編集者だが、雑誌『トリニティ』と月間小説『薫風』の間のドロドロとした人間関係、足の引っ張り合いに負けず、速水に食いついて行く様子がユニーク。高野の成長ぶりにも感心させられる。

組織のためと大義名分を持ちながらも、実は自分の立ち位置のため言葉巧みに周囲を分断させ責任転嫁し、あざとい社内政治に走る人間は私の周囲にもいて不快だ。だからこそ、この作品に深く共感できるのだろう。
自分が優位に立ちながら支配欲を満足させる、そんな浅い人たちの末路を、牙を持って観察したいと思う。

主人公・速水がクセのある社内エグゼクティブたちの派閥争いに負けず、我が道を正当に行く様子を騙し絵と呼ぶのだろうが、それは結果的に賢い方を選択しているように見える。

出版業界で生き残りをかけて戦うクセ者たちの人間模様と、窮地に追い込まれても大逆転の奇策を仕掛ける速水の起死回生の一手が痛快。二転三転する軽妙な意外性と、ラストのどんでん返しにスッキリした心地良さがあり、社内政治エンターテイメントとして実に面白い映画である。

予告動画

『騙し絵の牙』 

監督:吉田大八
脚本:楠野一郎 吉田大八
原作:塩田武士「騙し絵の牙」(角川文庫/KADOKAWA刊)
出演:大泉洋 松岡茉優
宮沢氷魚 池田エライザ / 斎藤工 中村倫也
佐野史郎 リリー・フランキー 塚本晋也 / 國村隼
木村佳乃 小林聡美 佐藤浩市
配給:松竹
上映時間: 113分
公式サイト
(C)2021「騙し絵の牙」製作委員会

 

投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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