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ゲイバー再建物語!『ステージ・マザー』 作品レビュー

作品紹介

最愛の息子が遺したこのお店で、自分らしくあなたの“ママ”で生きていく–
やったことがないことに手を出すのは、誰にとってもコワイもの。それも、自分が苦手だったり、偏見をもっている分野に対してはなおのこと。いくら亡くなった息子    の遺したもの、とはいえ、超保守的な初老の女性が、大都会のゲイバーを再建する!? あらゆる偏見の壁を乗り越えてチャレンジすることで見えてくる、新たなる希望と友情を描くハートウォーミングストーリーが『ステージ・マザー』だ。

ゲイでドラァグクイーンの息子が急死し、彼が経営するバーを相続することに    なってしまったメイベリン。息子が生きているときにはわかり合えなかった後悔をバネに、彼が自分らしく生きた街で、メイベリンもまた自分らしさとは何か、生きるとは何かを見つめ直す。

『キッズ・オールライト』やNetflix映画『シカゴ7裁判』を製作したJ・トッド・ハリスがプロデューサーを務めた本作。主演は『世界にひとつのプレイブック』などで       知られるジャッキー・ウィーヴァー、共演は『チャーリーズ・エンジェル』シリーズやド     ラマ『エレメンタリー ホームズ&ワトソン in NY』のルーシー・リュー、ドラマ『アントラージュ★オレたちのハリウッド』のエイドリアン・グレニアーなど。また、トランス     女性のドラァグクイーン・チェリー役は、同じくトランス女性の俳優で『タンジェリン』の好演で知られるマイア・テイラーが演じ、「セクシュアリティの違う俳優が性的マイノリティの役を演じる」という昨今の問題も乗り越えた。

ストーリー

私がゲイバーのオーナーに!?新しいステージ(人生)の幕があがる!
サンフランシスコにある世界有数のLGBTQ+コミュニティの拠点、カストロ・ストリート。ある夜、ドラァグクイーンのショーを披露するゲイバー、パンドラ・ボックスでショーが行われる中、バーのオーナーでドラァグクイーンのリッキーは薬物の過剰摂取で倒れ、息を引き取る。保守的なテキサスの田舎町でその報せを受けた彼の母メイベリンは、疎遠だった息子の死にショックを受け、夫の反対を押し  切りサンフランシスコでの葬儀に参加。ところが、葬儀は華やかなミュージカル調で、敬虔なクリスチャンで教会の聖歌隊の一員でもある彼女には耐え難いものだった。翌日、彼女はリッキーのパートナーでバーの共同経営者のネイサンを訪 ねたものの、門前払いに。失意の彼女の前に、リッキーの親友のシングルマザー・シエナが現れ、彼女の計らいでネイサンとの間をとりもってもらう。すると、リッキーが遺言を遺さずに他界したため、バーの経営権は母親のメイベリンが相  続することになっていたこと、そしてバーが破綻寸前の危機にあることが分かる。彼女は困惑しながらも、シエナの家に居候しながら、息子の遺したゲイバーの経   営を始めることに……。

作品レビュー

息子が経営していたゲイバーを再建することになった母親の物語。

ゲイでドラァグクイーンだった息子の突然の訃報。しばらく疎遠だったが葬儀に参列するため夫の反対を押し切って田舎からサンフランシスコへ向かう主人公メイビリン。だが参列した葬儀は保守的なメイビリンには受け入れがたいものだった。

でも死んだ息子のことを知りたい、離れていた時間を少しでも取り戻そうと息子の知人宅に居候しながら破綻寸前である息子のゲイバーの再建にチャレンジする。

きっかけは息子の死だが、初老となったメイビリンが第二の人生で再び輝きを取り戻していくサクセスストーリーだ。ある意味、亡くなった息子がメイビリンにチャンスを与えたとも取れる。

最近ようやくLGBTQの存在認知がされてきた日本に比べ欧米ではとっくに市民権を得ているのかと思っていたが、本作品を観るとどうやらそうでもない。彼らは社会的弱者として描かれている。そして本人たちもまた卑屈な精神を引きずりながら生きている。

メイビリンはそんな彼らに息子を投影しつつ心に寄り添いながら理解し助けていく。

ポイントはメイビリンが聖歌隊で指揮をする程の腕前だったということ。ジャンルは(大きく)違えど指導する力量は備わっていたのだ。ショー全体のレベルが格段に上がるとドラァグクイーンたちの士気も高まってくる。また、地元民ではなく観光客を呼び込もうとするメイビリンのアイデアも功を奏し集客率が大幅アップ。そんな中でメイビリンに素敵な人も現れ、ちょっと上手く行き過ぎでは!?と思ってしまうがそこはご了承願いたい。

メイビリンが居候する息子の友人役にはルーシー・リュー。
「チャーリーズ・エンジェル」が好きだった私としては懐かしさに目を細めてしまった。

最後まで息子と妻を認めなかったメイビリンの夫が現実なのかもしれないが、本来の自分の姿を取り戻したかのように未来を見つめていく逞しい女性の姿と、ストーリーの改行かのように映し出されるサンフランシスコの風景に魅了してもらいたい。

予告動画

『ステージ・マザー』

キャスト
メイベリン:ジャッキー・ウィーヴァ―
シエナ: ルーシー・リュー
ネイサン:エイドリアン・グレニアー
チェリー:マイア・テイラー
ジョアン:アリスター・マクドナルド
テキーラ:オスカー・モレノ
ダスティ:ジャッキー・ビート
リッキー : エルドン・ティーレ

スタッフ
監督:トム・フィッツジェラルド
脚本/プロデューサー:ブラッド・ヘンニク
音楽:ワーレン・ロバート
原題:STAGE MOTHER /2020/カナダ/93分/PG12 日本語字幕:出井裕子
配給:リージェンツ

公式HP

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投稿者プロフィール

坂本早苗
札幌市内で働くOL。
ストレス発散はテニスで体を動かすことと大好きなパンを求め全国のパン屋さんの情報収集。着る服は骨格診断を意識しています。
映画は年齢と共にミニシアター系が好みに。
沢山の映画と出会い、観て聴いて考えてお気に入りを探していきたいです。
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