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フィンランド“ぽかぽか”ストーリー 『世界で一番しあわせな食堂』作品レビュー

作品紹介

世界で一番幸せな国、北欧・フィンランドを舞台に地元の人たちと異国の料理人の出会いを描く心温まる物語。

毎年国連が発表している「世界幸福度ランキング」で、2018年から3年連続で1位を獲得しているフィンランドから心温まる新たな“ヒーリング・ムービー”が到着!舞台はフィンランド北部・ラップランド地方の小さな村。中国・上海からやって来た料理人チェンが、食堂を経営するフィンランド人女性シルカと出会い、国籍や文化の違いを乗り越え、お互いを家族のように思いやる気持ちが芽生えていく様子を描く。物語を彩るのは、プロの料理人であるチェンが作る、おいしく見た目も美しい料理の数々。チェンの料理哲学は、“医食同源”。医療にも通じる食事を地元の人たちに提供し、健康を気にも留めないフィンランド人たちの体を癒し、心を解きほぐしていく。料理には国境がなく、時にまったく異質な人たちを結びつける架け橋となる。

本作の監督を務めるのは、フィンランド映画界を代表するミカ・カウリスマキ。母国の精神性はそのままに、本作で描くのは異文化との出会いと、そこから生まれる喜び。お互いの文化を尊重しあい、全く異なった世界を受け入れようと努力する人々の姿に、分断に揺れる現代社会に対する監督の強いメッセージが込められている。

ストーリー

フィンランド北部の小さな村にある食堂へ、上海から料理人チェンとその息子がやって来た。恩人を探していると言うが、知る人は誰もいない。食堂を経営するシルカは、チェンが食堂を手伝う代わりに、恩人探しに協力することとなる。恩人探しが思うように進まない一方で、チェンが作る料理は評判となり食堂は大盛況。次第にシルカ、そして常連客とも親しくなっていくチェンだったが、観光ビザの期限が迫り、帰国する日が近づいてくる――

作品レビュー

終わりのない白夜と見渡す限りどこまでも広がる雄大な自然。
「世界で一番しあわせな食堂」ではフィンランド北部・ラップランド地方の小さな村を舞台にしたハートフルなヒューマンドラマが楽しめる。

オーロラでも有名なフィンランドは冬が長い。
その為この国の人々は短い夏を謳歌する。
北海道のビアガーデンや海水浴もそうだけれど、外で楽しむ事の出来る期間が僅かだからこそその間を皆出来る限り満喫しようとするのかもしれない。
本作ではその暖かな季節を中心に映し出されており、フィンランドの冬以外での美しさを存分に楽しめた。

料理が得意とは言えないがチャーミングな人柄が憎めない女性・シルカが営む小さな食堂を舞台に、上海から人を探しにやって来た訳あり料理人チェンと地元の人々が育む心の交流が描かれる。
ロンパイネンを始めとした愉快な常連客が個性的で、自然だけでなくここで暮らす人物皆が大らかで魅力的だった。


父親のチェンと同様に心を閉ざしていた息子もまた、シルカの優しさや同年代の子供達との触れ合いで笑顔を取り戻していく過程に心が動く。
人捜しに協力して貰う代わりに食堂を手伝う事になったチェンの作る様々な料理が出てくるのだが、日本では一部のお店でしか見かけない薬膳料理のようなものだった。
健康にも気遣った美味しい食事は人を幸せにする。
そう感じさせてくれる作品だ。

利便性のある機能的な物に囲まれて暮らす事だけではなく、豊かな自然と共存しながらリラックスした生活を送る事の大切さ。
わかってはいても急に生活スタイルは変えられないと思うが、コロナ禍の今だからこそもう少し自分に優しい穏やかな暮らしをしてみるのも良いのでは無いだろうか。

豊かな食事は心まで豊かにしてくれる。
広々とした大自然は心も広く大きくしてくれる。
そんな事を感じられる作品だった。

予告動画

監督: ミカ・カウリスマキ
脚本: ハンヌ・オラヴィスト
出演: アンナ=マイヤ・トゥオッコ、チュー・パック・ホング、カリ・ヴァーナネン、ルーカス・スアン、ヴェサ=マッティ・ロイリ
2019年/フィンランド・イギリス・中国/英語・フィンランド語・中国語/114分/カラー/シネスコ/5.1ch/字幕翻訳:吉川美奈子/G
原題:Mestari Cheng
公式サイト

©Marianna Films

投稿者プロフィール

兼平ゆきえ
兼平ゆきえ
映画・音楽・本 など 観たり聴いたり読んだりと忙しく過ごすのが好きなインドア派。恵庭発 北海道のMUSIC&ART情報サイト From E…代表。不定期で企画LIVEを開催。2018年7月から 恵庭市のコミュニティFM e-niwa にて、映画や音楽の話を中心とした番組『From E…LIFE(フロムイーライフ)』を放送開始。
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