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Siaが楽曲提供・ナタリー・ポートマン主演『ポップスター』 作品レビュー

作品紹介

『ブラック・スワン』ナタリー・ポートマンと覆面のトップアーティストSiaが仕掛けるポップスターの<リアルすぎる光と闇> 壮絶なる生き様と圧巻のステージで世界を未知の領域へと引き込んだ衝撃作!
13歳のデビュー作『レオン』で大ブレイクを果たし、『スター・ウォーズ』でスターへと上りつめ、『ブラック・スワン』でオスカーを掴み取り、今やハリウッドのトップに君臨するナタリー・ポートマン。そんな彼女が“若くして富と名声を手にした”ポップスターを、危険なほどアグレッシブかつエモーショナルに演じ、どんな名女優も未到達の新境地を切り開いた。さらに、主人公が劇中で歌う全曲を、世界的アーティストSiaが提供。薬物とアルコール依存から幾度もどん底に落ちながら、復活を遂げたSia自身の人生が、歌詞とメロディに美しくも深く強いメッセージをのせていく。
共演にジュード・ロウ、世界を震撼させた『シークレット・オブ・モンスター』のブラディ・コーベット監督、『ブラック・スワン』の振付師、『アリー/スター誕生』の音楽監督など、一流クリエイターたちが秘めた才能までも全開させた。圧巻のステージが、あなたを禁断の至福へと連れ去る衝撃作。

ストーリー

同級生による銃乱射事件で、生死の間から蘇ったセレステ(ナタリー・ポートマン)。皮肉にも姉のエリー(ステイシー・マーティン)と作った犠牲者への追悼曲が異例の大ヒットを記録し、敏腕マネージャー(ジュード・ロウ)の手で一気にスターダムへ。18年後、栄華を極めたセレステだったが、アルコールとスキャンダルにつまずき、活動休止に追いやられる。悪魔に魂を売ってでも、もう一度ステージで輝きたい歌姫は、再起をかけたツアーを企画する。ところがその矢先、セレステの過去を連想させる凄惨な事件が起こり、メディアが騒ぎ始める中、セレステはステージへと向かうのだが──。

作品レビュー

前後編2部構成になっており、主人公セレステを演じる役者がそれぞれ違う珍しい映画。

前編は少女時代のセレステ。突然同級生が起こす乱射事件に巻き込まれる。これが映画の中でも唐突に起こるため心臓がバクバクした。結局この犯人の動機が明かされることはなく犯人とセレステとの関係性も不明のままだが、セレステにとっての人生の大きな転機となり物語が展開されていく。幼少期よりセレステには何らかの可能性を秘めていると思われていたが、それが人を惹きつける音楽性であることがわかる。姉エリーと作った追悼曲が国民的ヒットを記録するのだ。

後編はそれから17年後のセレステ。ここからセレステ役はナタリー・ポートマンになる。

ナタリー・ポートマンを久々に観た私は彼女が放つ異彩に一瞬たじろいだ。「ブラック・スワン」でオスカーを手にし、名実共にスターとなった彼女の演技には安っぽさの欠片も感じられず、スターダムから転落したセレステを全身全霊で演じきっていたと思う。後半は全てナタリー・ポートマンの為に作られたと言っても過言ではないだろう。

アルコールに溺れ、一つ一つの言動に過敏になり些細なことで怒りをあらわにし、姉のエリーに当たり散らすセレステ。少女時代の前半でマネージャーと男女の関係になった姉に対する確執も浮き彫りなる。そして少女時代のセレステを演じた新進女優ラフィー・キャシディが、今度はセレステの娘役として再登場する。ここでかなり若くして出産を経験していたことがわかり、映画の中では空白となっていた17年の歳月にも、セレステの波乱万丈な人生があったことが想像できる。

少女からスターへのし上がり、お金と大人に揉まれるとこんなことになりますよ的なストーリーなのだが、どんなに落ちぶれても情熱を絶やさない限り、才能は朽ち果てないことがラストのライヴシーンで証明される。

ちなみにナタリー・ポートマンがセレステとして歌う曲は、全てオーストラリア出身の歌手Siaが本作のために作った曲である。Siaを演じているわけではないが、アルコール依存症だったSiaに若干寄せている風でもある。私は本作でSiaの存在を知ったが、ライブシーンを観て俄然興味が湧いた。とても不思議な魅力をまとった歌手だと言えるだろう。

また、ナタリー・ポートマンの夫であるバンジャマン・ミルピエが「ブラック・スワン」に引き続きダンスシーンの振付を担当し制作に関わっている。

全てが一流のプロによって制作された作品。

少女から大人へ成長したスターの軌跡と裏側を多くの人に見届けて欲しい。

予告動画

『ポップスター』

製作総指揮:ナタリー・ポートマン / ジュード・ロウ / Sia
監督・脚本: ブラディ・コーベット 『シークレット・オブ・モンスター』
出演:ナタリー・ポートマン 『ブラック・スワン』、『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』、ジュード・ロウ 『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』 、ステイシー・マーティン 『グッバイ・ゴダール!』 / ラフィー・キャシディ 『トゥモローランド』
ナレーション:ウィリアム・デフォー『永遠の門 ゴッホの見た未来』
楽曲:Sia
音楽監督:マーガレット・イェン『アリー/スター誕生』
作曲・編曲:スコット・ウォーカー『シークレット・オブ・モンスター』 
振り付け:バンジャマン・ミルピエ『ブラック・スワン』
原題:VOX LUX
2018年/アメリカ/上映115分
公式サイト
配給:ギャガ

Motion Picture ©2018 Vox Lux Film Holdings, LLC. All Rights Reserved

投稿者プロフィール

坂本早苗
札幌市内で働くOL。
ストレス発散はテニスで体を動かすことと大好きなパンを求め全国のパン屋さんの情報収集。着る服は骨格診断を意識しています。
映画は年齢と共にミニシアター系が好みに。
沢山の映画と出会い、観て聴いて考えてお気に入りを探していきたいです。
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