2008年、インドの五つ星ホテルで起きた無差別テロ。惨状と化した“楽園”を救った、“五つ星”の勇気とは?『ボーダーライン』製作陣が放つ、衝撃と感動の《実話》
2008年インドの商都ムンバイでイスラム武装勢力による同時多発テロが発生。歴史あるタージマハル・パレス・ホテルが燃え盛る映像は世界を震撼させた。だがホテルに3日間閉じ込められた500人以上の人質は、その多くが生還を果たした。そこにはプロとしての誇りをかけて、宿泊客を救おうとしたホテルマン達の知られざる真実の物語が存在したー。『ボーダーライン』の製作陣が放つ、リアルに迫りくる映像、決して折れない登場人物たちの強き信念に、観る者は、恐れ、怒り、哀しみ、そして最後にはこの上ない希望に包まれる。
監督を務めるのは、これまで短編映画で世界的評価を得ているオーストラリア出身のアンソニー・マラス。本作が長編初監督作品にしてトロント国際映画祭正式出品作に選出されるほか、世界各国で映画賞を獲得。ヴァラエティ誌が選ぶ「2018年注目すべき映画監督10人」にも選ばれる今最も注目を集める新進気鋭の監督だ。極限の状況下、胸をえぐられるような事実を丹念に描き出し、悲劇の中にも、光り輝く人間性が存在することを証明する奇跡の感動作が公開される。
2008年11月26日。インドの五つ星ホテルがテロリストに占拠される。人質は、500人の宿泊客と従業員。特殊部隊の到着は数日後。宿泊客を逃がすため、ホテルに残った従業員たち。部屋に取り残された赤ん坊を救うため、銃弾の中を行く父と母。これは「誇り」と「愛」を懸けた、3日間の脱出劇。極限の状況下で、人はこんなにも人を想えるのか―。
2008年のインド・ムンバイで起こった同時多発テロに基き制作されたこの作品。
テロリストに占拠された「タージマハル・パレス・ホテル」での人質脱出劇を中心に描かれているのに加え、襲撃した冷徹極まりないグループに関しても少しだけ知る事が出来る。
曲折した思想に囚われたテロリストに同情の余地は無いが、所謂”実行犯”である彼等は貧しさに苦しみ生きた幼い青年たちだった。
彼等が主導者の指示に従うのは、祖国や信仰への誇りと自分の家族の為だったのだろう。
インドを代表するこの五つ星ホテルにいた500人以上の宿泊客の多くは世界各国のVIP。
彼等を人質に取る事で、より強くこの襲撃を世界に見せつけたいという意思が伺える。
デリーからの特殊部隊が到着するまで想像以上に時間がかかりただひたすらに緊迫した状態が続くのだが、一切気の抜けない状況の為手に汗握りながらのめり込んで観てしまう。
ホテルマンとしての誇りをかけお客様を救おうとする従業員たちと、愛する人の為に決死の覚悟で行動を起こす人々。
誰がヒーローというわけでもないこの映画は非常にリアルだ。
そして、こんな極限の状況で自分ならば脱出まで辿り着けそうにない。
毎日起こる様々なニュースに「日本でもいつどんな事があるかわからない」などと思いながらも、やはり心の中では身の回りで特に大きな事件のない穏やかな日々が来るのが当たり前だと思っているのだなと改めて感じた。
重苦しく悲しい映画ではあるが、このような事が実際に起こった悲劇を忘れてはならないと感じる作品だった。
監督・脚本 :アンソニー・マラス
キャスト: デヴ・パテル/アーミー・ハマー/ナザニン・ボニアディ/アヌパム・カー/ジェイソン・アイザックス
製作国 オーストラリア、アメリカ、インド合作
上映時間 123分
配給会社 ギャガ
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