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チャン・イーモウ監督「SHADOW 影武者」 作品レビュー

作品紹介

チャン・イーモウ監督 最新作
新境地に挑んだ、世界絶賛の傑作誕生!!

カンヌ、ベネチア、ベルリンの世界3大国際映画祭で数々の賞に輝き『HERO』と『LOVERS』で、武侠アクションの一時代を築いたチャン・イーモウ監督。円熟期にして絶頂期を迎えたアジアを代表する巨匠が、「自分が本当に撮りたい物語と巡り合った」と高らかに宣言した最新作が、ついに完成した。

 
武芸の達人の重臣・都督とその影武者には、『戦場のレクイエム』でスター俳優となったダン・チャオ。筋骨隆々の影武者から20kg減量して病んだ都督役に挑み、鬼気迫る演技で圧倒する。彼の大輪の華のように優美な妻には、「宮廷の諍い女」のスン・リー。軟弱に見せて本当は狡猾な沛国の王には、『グレートウォール』のチェン・カイ。
「三国志」の〈荊州争奪戦〉をダイナミックにアレンジし、ほとんどCGを使わない迫真のアクションシーンを、水墨画をイメージしたグラデーションが美しい映像で描く。「第75回ベネチア国際映画祭」などで絶賛された本作は、映画レビューサイトで支持率”95%”を記録するなど世界中で称賛を受けている。
武侠アクションの新時代を切り開く、傑作エンターテインメントが誕生した。

ストーリー

時は戦国時代、沛(ペイ)国が領土を、敵の炎国に奪われて20年。若くしてトップを継いだ王は、敵と休戦同盟を結び、平和だが屈辱的な日々に甘んじていた。奪還を願う男たちの燃え上がる闘志を束ねているのが、頭脳明晰で武芸の達人の重臣・都督(トトク)だ。都督は敵の将軍にして最強の戦士・楊蒼(ヤン・ツァン)に、手合わせを申し込む。彼の勝手な行動に怒り狂う王だが、実は目の前の都督は影武者で、本物の都督は自分の影に、自由と引き換えに敵地での大軍との戦いを命じていた。そして王も、ある作戦を秘めていた。果たして、影武者を待つのは光か闇か、それとも──?

作品レビュー

三国志の英雄が英雄であったのは「影武者」の存在があったからなのかもしれない。

美しい水墨画と舞踊のような戦闘シーンが作品に彩りを与えている本作は、監督チャン・イーモウが中国にこだわり抜いた作品だ。

三国志に忠実な脚本を18ヵ月かけて大胆に変更したことで、「戦」というメインフレームに「二人の男と一人の女」という要素が加わり物語により一層深みを与えている。

モノクロ映画のようにすべてがモノトーンで統一されている中で、口紅と鮮血の赤が作品を色鮮やかに演出している本作は、監督が日本でも韓国でもない「中国らしさ」にこだわった手作りの職人技が光っている。

武器・衣装・小道具、さらにはセット全体に中国伝統を取り入れ、西洋の要素をすべて排除している。

さらに監督は琴や笛の古楽器の演奏シーンにもこだわり、演奏のすべてを俳優自らが演奏している。特にシャオアイ役のスン・リーは忙しい撮影の合間で練習を重ね、3つのシーンで琴を奏でている。

降り続ける雨の中と琴の音色の中での戦闘シーンは舞台の一幕のような美しささえ感じられた。

都督と影武者を一人二役を成し遂げたダン・チャオは、影武者役に向けての筋トレで2か月で11キロ増量させた。その後、都督役に向けて5週間で20キロ減量。低血糖でフラフラになりながらの熱演は、言われなければ同じ人間には見えないくらいの変貌だった。

自分として生きるのを捨て、王でも家臣でもない「影」としての生き方を選んだある「影武者」の故郷奪還のために及んだ、敵地での壮大な戦闘シーンと衝撃のラストに歴史のその先を見たくなる。

三国志の「赤壁の戦い」を「レッドクリフ」で学んだ私は、「荊州争奪戦」をこの「影武者」で学びました。

中国の歴史の一幕を知る、芸術の秋にピッタリな作品です。

予告動画

「SHADOW 影武者」9月6日より、札幌シネマフロンティア 他で公開

原題・英題: SHADOW
監督:チャンイーモウ 脚本:チャンイーモウ、リー・ウェイ
出演:ダンチャオ、スンリー、チェンカイ
配給:ショウゲート
公式サイト
2018年/中国/カラー/5.1ch/スコープ/中国語/116分/PG12

投稿者プロフィール

Kieko
「E.T.」を観て、自転車は爆走すると空を飛ぶと信じ、「グーニーズ」を観て、海には大冒険が待っていると信じていました。そんな私が今注目しているのはインド映画界ボリウッド。踊って歌って笑ってる・・・だけじゃない魅力もあるんです♪
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