全世界待望 ― 新海誠監督 最新作
今や、世界的に注目されるアニメーション監督・新海誠。
叙情的な男女の物語を、美しい色彩と繊細な言葉で紡ぎ出す
“新海ワールド”は、国内外問わず多くの人々に支持され、
生み出された作品は高く評価されてきた。
そして、前作『君の名は。』から3年 ― 待望の最新作が、ついに始動する。
これは、僕と彼女だけが知っている、世界の秘密についての物語
新作『天気の子』は、天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を「選択」するストーリー。
東京にやってきた家出少年・帆高が出会った、不思議な力を持つ少女・陽菜。ふたりの恋の物語は、美しく、切なく、新たな時代を迎えるあらゆる世代、そして全世界へのメッセージとして描かれる。
声の出演として、主人公・帆高に醍醐虎汰朗、ヒロイン・陽菜に森七菜が決定。2000人を超えるオーディションの中から選ばれた2人の声に注目が集まる。
そして、「愛にできることはまだあるかい」ほか複数の主題歌を含む全ての音楽を担当するのはRADWIMPS。
その“詩(うた)”は、登場する人々の心に寄り添いながらも、時に観る者との架け橋となり、大きな感動をもたらす。
2019年夏、世界はアニメーション映画の新たな境地を目撃する。
「あの光の中に、行ってみたかった」
高1の夏。離島から家出し、東京にやってきた帆高。
しかし生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく見つけた仕事は、怪しげなオカルト雑誌のライター業だった。
彼のこれからを示唆するかのように、連日降り続ける雨。
そんな中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は一人の少女に出会う。
ある事情を抱え、弟とふたりで明るくたくましく暮らす少女・陽菜。
彼女には、不思議な能力があった。
「ねぇ、今から晴れるよ」
少しずつ雨が止み、美しく光り出す街並み。
それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった――
美しい。
そのあまりの美しさに、思わず息をのむ。
まるで空気が浄化されたような、雨上がり特有の晴れ間の景色こそがこの映画の主人公かもしれない。
そう思わせる程に素晴らしい自然背景の描写だった。
個人的ポイントとしては、敬愛する山本二三氏が天井画など一部の背景美術を担当している事も嬉しい。
前作『君の名は。』から3年ぶりとなる新海誠の7作目の劇場用アニメーション映画、『天気の子』
通常時はさほど入館数の多くない最寄りの映画館へ足を運んでみたのだが、公開初日という事もあってか劇場は賑わいをみせている。
そんな所からもこの作品の注目度の高さが感じられた。
テレビニュースでは連日”異常気象”と報じられている天候の調和が狂っていく時代。
故郷である島から、そして家族からも逃げ出し都会にやってきた少年・森嶋帆高(醍醐虎汰朗)が主人公。
東京での居場所を探す帆高とヒロインの少女・天野陽菜(森七菜)は、ふとしたタイミングで出会い、再会し、共に過ごす事となる。
彼女は驚くべき力を持っていたのだが、その力には対価が必要だった。
正直それらのストーリーよりも、帆高が自分がいかに本気なのかを示す為に偶然手にしたある物を人に向けるという短絡的な行動が衝撃的だった今作。
そして、2人の選択も意外だ。
選択をするということは、何かを犠牲にする。
それでも誰かの為に、そして自分の為に、彼等の選んだ未来は間違ってはいない。
詳細は自分の目で確かめて欲しい。
音楽は『君の名は。』同様にRADWIMPSが担当。
楽曲の良さは勿論の事、歌詞も帆高の心情に深く寄り添っていて胸に残る。
確かに世界は、彼女の小さな肩に乗っていた。まだ幼い彼女の小さな肩に。
彼女を守りたいという気持ちには共感できるのではないだろうか。
ここ数年で多くのアニメ映画が上映されているが、その中でも新海作品のクオリティの高さは他を圧倒する。
雨・雲・光・太陽・夕焼け…圧倒的な映像美。
今作でも圧巻だったその自然の美しさは実は普段私たちの周りにもあるもので、自然を美しいと思える余裕すらない現代人への警告のようにも感じられた。
大人の事情からか、出てくる食べ物や飲み物、目に入る企業名が偏っていてそこが気になってしまったのは残念だ。
予告動画
声の出演:醍醐虎汰朗 森七菜
本田翼 / 吉柳咲良 平泉成 梶裕貴
倍賞千恵子 / 小栗旬
原作・脚本・監督:新海誠
音楽:RADWIMPS
キャラクターデザイン:田中将賀
作画監督:田村篤
美術監督:滝口比呂志
上映時間: 114分
(C)2019「天気の子」製作委員会