本作『僕はイエス様が嫌い』は、カンヌ・ベルリン・ベネチアに続いて権威のある国際映画祭とされるスペインのサンセバスチャン国際映画祭(第66回)にて、最優秀新人監督賞を史上最年少となる22歳で受賞という快挙を達成。その後もスウェーデンのストックホルム国際映画祭(第29回)において最優秀撮影賞を受賞、また、中国のマカオ国際映画祭(第3回)ではスペシャル・メンションを受賞。フランス・スペイン・韓国では既に劇場公開が決まっている話題作です。
監督・撮影・脚本・編集を手掛けたのは、新鋭映画監督・奥山大史(おくやまひろし)。
青山学院大学在学中に制作した本作が長編デビュー作となります。超低予算の制作費の中、子供たちの自然な演技を導き出した演出、的確に対象をとらえるカメラワークなど、様々な点で今後が期待されています。
東京から雪深い地方にあるミッション系の小学校へと転校する事になった少年ユラが、ある日現れた小さな“イエス様”の力を信じるようになっていくさまを描いた本作は、弱冠22歳の奥山大史監督が青山学院大学の卒業制作として撮影した長編デビュー作。「第66回サンセバスチャン国際映画祭」で最優秀新人監督賞を獲得(日本人監督としては20年ぶり)した注目の若手監督。監督だけでなく脚本、撮影、編集も監督本人が担当、宗教や死生観が関わる重みのあるテーマをユーモア込めながらも詩的に描き、すがすがしい感動を覚える一作。約70人の中からオーディションで選ばれた佐藤結良くんの存在感にも注目したい。
おじいちゃんが亡くなり1人になったおばあちゃんと一緒に暮らすため、東京から家族3人で雪国へ引っ越してきた小学5年生の男の子、由良の話。
転校先は制服があるキリスト教の小学校。礼拝堂があり、毎日みんなでお祈りをする。初めこそ戸惑うもすぐに慣れる由良。子供ならではの柔軟性と順応性である。
由良「神様って本当にいるの?」
おばあちゃん「・・・由良はどう思う?」
由良「いないと思う」
おばあちゃん「じゃあ、いないんじゃない?」
こういう大人と子供の自然な会話や一般家庭の食卓風景がとても良質な作品である。
抑揚が削ぎ落とされ登場人物のキャラが薄く説明が少ないが、主人公の由良の心情はとても丁寧に描かれていると思う。11歳の男の子に共感できる部分がいくつもあった。
いつしか由良の前に小さな(5センチくらい?)イエス様が現れ、このイエス様のコミカルな動きも面白い。
そして由良が最初にお願いしたのは「友達」。
その願いが叶い親友と呼べるような友達ができるのだが、この男の子2人が遊ぶシーンがとにかく尊い。雪の中2人でサッカーボールを蹴り合う姿は何故だか泣きそうになる。監督の狙いにまんまと乗せられた感が無きにしも非ずだが。
また、この作品には色んな「祈り」のシーンが登場する。こうして並べられると私たちは特別な信教がなくとも雑多に祈りを捧げていたんだなと思い知らされ、何だか辱められた気分だ。
ある事件を境に空気が重くなり、由良は若くして残酷な現実を突きつけられることになるのだが、見終わった後は僅かな時間で1人の男の子の成長を見届けたような気分になるかもしれない。
にしても、雪深い中で半ズボンの制服は無いだろうと北海道民である私は突っ込まずにはいられなかった。
監督 :奥山大史
キャスト: 佐藤結良、大熊理樹、チャド・マレーン、佐伯日菜子、木引優子
上映時間: 76分
配給: ショウゲート
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