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監督・脚本:水谷 豊『轢き逃げ -最高の最悪な日-』作品レビュー

作品紹介

30年来の夢であった“タップダンス”を題材にした映画「TAP -THE LAST SHOW-」で監督デビューを飾り、圧巻のダンス映像と深い人間洞察からくる演出で、監督として確かな一歩を踏み出した水谷豊。監督2作目は、他人には見せる事のない“人間の心の奥底にあるもの”を映画として描く。エンターテインメントの最前線に50年以上立ち続けている水谷豊が挑む「新たなる世界」が生まれようとしている。

ストーリー

事故と事件と、そこに巻き込まれた人々に、“終わりのない、そのあと”が訪れる。

ある地方都市で起きた交通事故。一人の女性が命を落とし、轢き逃げ事件へと変わる。
車を運転していた青年・宗方秀一、助手席に乗っていた親友・森田輝。二人は秀一の結婚式の打合せに急いでいた。婚約者は大手ゼネコン副社長の娘・白河早苗。悲しみにくれる被害者の両親、時山光央と千鶴子。その事件を担当するベテラン刑事・柳公三郎と新米刑事・前田俊。平穏な日常から否応なく事件に巻き込まれ、それぞれの人生が複雑に絡み合い、抱える心情が浮き彫りになっていく。
彼らの心の奥底に何があったのか?何が生まれたのか?
その悲劇の先に、彼らは何を見つけられるのか?

婚約者は大手ゼネコン副社長の娘・白河早苗。悲しみにくれる被害者の両親、時山光央と千鶴子。その事件を担当するベテラン刑事・柳公三郎と新米刑事・前田俊。平穏な日常から否応なく事件に巻き込まれ、それぞれの人生が複雑に絡み合い、抱える心情が浮き彫りになっていく。
彼らの心の奥底に何があったのか?何が生まれたのか?
その悲劇の先に、彼らは何を見つけられるのか?

試写の感想

毎年秋の訪れと共に始まり、終わる頃には春を感じさせてくれるドラマ「相棒」が大好きである。

元旦スペシャルも劇場版も取りこぼしていないし舞台挨拶で生の「杉下右京」を間近で見たときは興奮した。

「傷だらけの天使」も「熱中時代」も世代的に知らないし「TAP-THE LAST SHOW-」は観てないが、今回岸辺一徳が共演していることを知ってしまったら相棒フリークとしては見逃せない。

とはいえ、結局のところ水谷豊は「右京さん」にしか見えないんだろうなと期待していなかった。season17まで放映されている大人気シリーズだ、致し方無いと。

それを見事に裏切られた。ナメててごめんなさいとご本人に土下座したい。

水谷豊は変わり者のインテリ刑事ではなく、娘を交通事故で失ったどこにでもいそうな普通のお父さんだった。そして監督でもあり今回は脚本も書いているのだ。単純に凄いとしか言いようが無い。

主要な若い登場人物はオーディションで選ばれている。原作がある作品ではないので比較できないが皆しっくりきていた。その脇を支えているのがベテラン陣の岸部一徳、壇ふみ、そして水谷豊である。一見すると華がないようにも思えるが「轢き逃げ」というタイトル通りテーマが重かったので水谷豊がいればそれでもう十分だった。

そのためこれはもう水谷ワールド全開か?と思いきや全くそんなことはなく、丁寧に作り込まれた考えさせられる作品だった。

のっけから車の荒い運転映像でいつ人が撥ねられるのかとザワザワさせられる冒頭シーン。

事故の隠蔽を決めるも日常生活を思うように送られない犯人たち。

犯人が捕まるプロセスを追っているものではなく、むしろ犯人が捕まってからこそ始まる物語のため、この捕まるまでの尺がかなり長く無駄に感じやすいかもしれない。

だが後の真実を知り前半の映像が決して無駄ではないことを知る。

ラスト、水谷豊演じる夫の一言でそれまで気丈に振る舞っていた母親役の壇ふみの泣き崩れるシーン、そして轢き逃げ事故を起こした犯人の1人が留置場から新婚の妻へ書いた手紙はとても深い。

水谷豊の水谷豊による映画、でも水谷豊のための映画ではない。

誰もが加害者もしくは被害者になり得る話である。

どんな非常事態でも安全運転を怠る必要など決して存在しない。

そして人の心の闇は計り知れない。

告動画

『轢き逃げ -最高の最悪な日-』5/10(金)札幌シネマフロンティア 他 全国で公開

監督・脚本:水谷 豊
撮影監督:会田正裕
音楽:佐藤 準
キャスト : 中山麻聖 石田法嗣 小林涼子 毎熊克哉
水谷 豊 檀 ふみ 岸部一徳
配給:東映
上映時間 : 127分

公式サイト
(C)2019映画「轢き逃げ」製作委員会

投稿者プロフィール

坂本早苗
札幌市内で働くOL。
ストレス発散はテニスで体を動かすことと大好きなパンを求め全国のパン屋さんの情報収集。着る服は骨格診断を意識しています。
映画は年齢と共にミニシアター系が好みに。
沢山の映画と出会い、観て聴いて考えてお気に入りを探していきたいです。
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