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イサベル・コイシェ監督最新作『マイ・ブックショップ』作品レビュー

 

 

 

作品紹介

英国ブッカー賞受賞作家ペネロピ・フィッツジェラルドの原作を『死ぬまでにしたい 10 のこと』のイザベル・コイシェ監督が映画化。

イギリスの保守的な町の素朴で懐かしい景観と海辺の町を捉えた美しい映像。エミリー・モーティマー、ビル・ナイ、パトリシア・クラークソンら、心に残る演技に定評ある名優が集結!

日本でも大ヒットした『死ぬまでにしたい 10 のこと』で一躍脚光を浴びたイザベル・コイシェ監督。以後も、新たなジャンルに女性の感性を吹き込んで来た彼女が、次に選んだ題材は、保守的なイギリスの町に小さな革命を起こそうとした女性のささやかな奮闘劇。英ブッカー賞受賞作家ペネロピ・フィッツジェラルドの原作小説を映画化した本作は 2018 年のスペイン・ゴヤ賞では見事、作品賞・監督賞・脚色賞と主要部門を受賞した。

ストーリー

1959 年のイギリス、海辺の小さな町。戦争で夫を亡くしたフローレンスは、それまで一軒も書店がなかった町に夫との夢だった書店を開こうとする。保守的な町でそれを快く思わない町の有力者ガマート夫人の嫌がらせに遭いながらも何とか開店にこじつける。レイ・ブラッドベリの「華氏 451 度」など、先進的な作品を精力的に紹介し、書店は物珍しさで多くの住民がつめかける。だがガマート夫人の画策により、次第に経営が立ち行かなくなっていく。フローレンスの味方は 40 年も邸宅に引きこもっている読書好きの老紳士ブランディッシュ氏だけ―。

試写の感想

舞台は今から半世紀以上も昔のイギリス。海が近い片田舎の町である。

物語は第三者目線で語られていく。

書店が全く存在しなかったこの町に、亡き夫との夢を果たすべく1人の女性が立ち上がる。

本が大好きな未亡人フローレンスが一念発起してオープンした本屋さんは古い家を改装された趣のある素敵なお店。

カラフルな本は店内だけでなく店の前にもディスプレイされ、こんな書店が近所にあったら毎日でも通ってしまうだろう。

フローレンスはただ町の人に本の素晴らしさや喜びを伝えたい、何の打算もないその気持ちに対して閉鎖的な町はフローレンスを快く思わない保守的な人たちでいっぱい。

敵だらけである。

味方は引きこもりの読書家である老紳士ブランディッシュとアシスタントとして働く女の子(10歳くらい?)のクリスティーンのみ。

そのせいか、静かというより正直暗い映画である。決して時代背景だけが原因ではないだろう。

何かを新しく始めようとする者には必ずと言っていいほど邪魔するアンチが存在するが、本作ではそれがわかりやすく表現されている。

フローレンス演じるエミリー・モーティマーは「メリー・ポピンズ リターンズ」で観たばかりなので勝手に親近感が湧いた。

きっとおばあちゃんになっても愛らしい雰囲気を持っているだろうことが予想されるチャーミングな女優さんである。

そんな彼女のルックスやレトロなファッションにも是非とも注目してもらいたい。

1番の見どころは家からほとんど外出しないブランディッシュがフローレンスを守るべく立ち上がり、陰湿な嫌がらせをし続ける町の有力者ガマート婦人と対峙するシーンだろう。

ひとつひとつの言葉にフローレンスを想う重みが感じられるがガマート婦人には通じない。

また作中では名作と呼ばれるいくつかの文学史が登場するのでそれらがどんな内容なのかを知っているとより楽しめるだろう。

ラストは決してハッピーエンドとはいえないが、ストーリーテラーの正体がわかると救いを感じることができ温かい気持ちになれる。

フローレンスの勇気ある行動は決して無駄ではなかったことが証明される。

予告動画

3月9日から全国順次公開  3月30日 札幌シアターキノで公開

監督・脚本:イザベル・コイシェ
原作:ペネロピ・フィッツジェラルド「The Bookshop」(ハーバーコリンズ・ジャパン刊)
原題: The Bookshop
出演:エミリー・モーティマー、ビル・ナイ、パトリシア・クラークソン他
配給:ココロヲ・動かす・映画社〇
上映時間: 112分
公式サイト

©2017Green Films AIE,Diagonal Televisio SLU,A Contracorriente Films SL,Zephyr Films The Bookshop Ltd.

投稿者プロフィール

坂本早苗
札幌市内で働くOL。
ストレス発散はテニスで体を動かすことと大好きなパンを求め全国のパン屋さんの情報収集。着る服は骨格診断を意識しています。
映画は年齢と共にミニシアター系が好みに。
沢山の映画と出会い、観て聴いて考えてお気に入りを探していきたいです。
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