日本発SF漫画の最高峰「銃夢(がんむ)」壮大なる構想を経て遂に実写化!
その少女、最終兵器ー。
ジェームズ・キャメロン渾身の最新作は、世界17カ国で翻訳された木城ゆきと原作の伝説のSF漫画「銃夢(がんむ)」
1990年〜1995年に連載されていた原作を実際に読んでいた人は限られるとは思うが、今尚人気の高い漫画という事で連載終了後に読んだ人やタイトルを知っているという人は多いだろう。
今回の映画化で知り、強いヒロイン・息を飲むようなアクション・最先端技術で表現されるSFビジュアルという事から興味を持った人もいるかもしれない。
バトルアクションでありながら尚且つ父と娘の絆も描いたこの作品の完成度は高く、期待して臨む人もあまり前情報無しに観に行く人も大いに満足出来る事だろう。
舞台はまだ少し先の未来。
何本ものパイプラインによって地球上空に繋ぎ止められている空中都市「ザレム」
真下にはザレムの下部から吐き出された廃棄物の山があり、アイアンシティ(クズ鉄町)と呼ばれる荒廃した町がある。
そんなクズ鉄町でサイボーグ専門医を開業しているイド(クリストフ・ヴァルツ)は、ある日そのスクラップの山の中から少女型サイボーグの上半身を掘り出す。
彼女は頭部と胸部しか残っていなかったが、町でも有数なサイバー医師 イドの医療によって意識を取り戻しアリータ(ローサ・サラザール)と名付けられ蘇えった。
初めに目にした彼女の姿にはCGだからか多少の違和感を感じたが、意志が強く力も強いアリータが非常に人間らしくチャーミングで見ているうちに次第に気にならなくなった。
この映画の中で重要なシーンとなるのがサーキットの中で球を奪い合うという格闘競技”モーターボール”
これが非常に面白い。
大画面で観るのにピッタリな迫力とスピード感で、ハラハラドキドキしながらすっかり熱中してしまった。
時に傷付き苦悩しながらも、人を信じ愛を信じる彼女のピュアな心には感銘を受ける。
アリータが強いのは何故なのか。
彼女はどこからやってきて、何のために作られたサイボーグだったのか。
その理由と共に徐々に明らかになるアリータの忘れられた記憶。
「人間とサイボーグの話」という部分から想像するような安易なストーリーとは違っていて最初から最後まで楽しめたのだが、この一作で完結ではなく続きモノだったというのは予想外で若干驚いた。
気になる部分で今作が終わったので、期待しながら次作の公開を待とうと思う。
いつの時代もどこの世界でも住む場所の格差がある。
目に見える格差、見えない格差があるとは思うが存在しているのは確かだ。
それは現実でも漫画でも小説でも同じ。あさのあつこ『No.6』の理想都市もそうだった。
現実世界の高層ビルもそうだが、基本的に最上部は富裕層 所謂勝ち組が住んでいる。
個人的な考えではあるが、地震・津波・火事などの災害や空き巣や水道凍結(寒冷地限定の悩みかもしれない)などの被害、2018年に経験したブラックアウト(エレベーターが動かなくなると階段での昇降になるという事を改めて想像してみて欲しい)を考慮すると”程よく近代化した10階建てくらいのマンションの3〜4階くらいに住む”というのが1番安全でステイタスなのでは?
などと言う事を真剣に考えている内にこの映画からかけ離れて来たが、必ずしも上の世界が住み良いわけではないという事を伝えたいという気持ちは同じ。かもしれない。