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インドの実話を映画化『パッドマン 5億人の女性を救った男』 あらすじ、感想

現代のインドで、清潔で安価な生理ナプキンの普及に生涯をかけた男の感動の実話。

作品紹介

本作の実在のモデルとなったのはアルナーチャラム・ムルガナンダム氏。
1962年 南インド出身の56歳。
彼は商用パッドの3分の1もの低コストで衛生的なパッドを製造できるパッド製作機の発明者。かつ、女性たち自らがその機械を使い ナプキンを女性たちに届けるシステムを開発した彼の活動は高く評価されて、2014年「Time Magazine」が選ぶ世界で最も影響力のある100人にも選ばれた他、 2016年にはインド政府から褒章パドマシュリも授与。
*彼が発明した機械は、インドの29州のうち23州に設置され さらに 106カ国に拡大する予定。

 
主人公ラクシュミに扮するのは、素朴で誠実な男性主人公を演じさせたら右に出る者がいない人気男優、“インドのジョージ・クルーニー”(!?)ことアクシャイ・クマール。ボリウッドではトップの稼ぎ頭で、演技力にも定評があり、本作でもクライマックスの国連演説では、その圧倒的なパフォーマンスで観る者を感動の渦に巻き込む。

彼の妻ガヤトリ役には実力派女優のラーディカー・アープテーが、また、彼を助けてナプキン普及に尽力する都会の女性パリーには、ボリウッドのトップ女優の1人で、『ミルカ』(2013)で日本でもお馴染みのソーナム・カプールが扮する。

アルナーチャラム・ムルガナンダム氏

ストーリー

インドの小さな村で新婚生活を送る主人公の男ラクシュミは、貧しくて生理用品が買えず 不衛生な布で処置をしている最愛の妻を救うため 清潔で安価なナプキンを手作りすることを思いつく。
日々 研究とリサーチに明け暮れるラクシュミの行動は 村中の人から奇異な目で見られ 数々の誤解や困難に直面、ついには村を離れるまでの事態に。
それでも諦めることなく 彼の熱意に賛同した女性パリーとの出会いと協力もあり ついに低コストで大量生産できる機械を発明、農村の女性たちに ナプキンだけでなく 彼が発明した機械を使って働く機会をも与えようと奮闘する最中、彼の運命を大きく変える出来事が訪れる――。

感想

2001年当時、インドの人口は10億人。
カースト制度の名残のせいかそのほとんどが貧困層だ。
女性はもちろん男性より地位が低く、月経は汚れたタブーとして扱
われ、月に5日間の生理時に女性たちは家のバルコニーのベッドで過ごさなければならない差別的な扱いを受けていた。

そして生理用ナプキンがほとんど普及しておらず、薬局で売っているのは法外な価格の海外製品のみ。貧困層の一般女性たちがナプキンを買える訳もなく、衛生的では無い布で処理するため感染症の病気になる女性たちもいた。

昭和30年代の日本女性たちが、どのように生理用ナプキンを調達したか聞いたことがある。当時の日本は敗戦国だったが、しかし2001年のインドよりは月経に対しての知識や環境も整っており、すでにナプキンは製品化されていた。

主人公のラクシュミは発明好きで、妻が大好き。その様子がボリウッドらしく歌で表現されている。
私は正直ボリウッド映画の歌とダンスは苦手だが「パッド・マン」は実話ベースの物語でダンスシーンは少なめ。

妻が月経中ベランダに隔離され清潔ではない布で月経の処理しているのが気になり、妻と世の女性たちのサニタリーライフを応援したいと、試行錯誤を繰り返すラクシュミだった。しかし家族や世間からは変人扱いされ、さらには村人たちも激怒する大変な騒動が起きてしまう。

困難に負けないラクシュミが様々な方法で外国製の生理用ナプキンに近い物を開発し、ナプキン製造マシンなるものを発明するがその努力と根性と過程に驚く。

インド人もビックリのこの発明。ナプキン製造機と知った途端、ナプキンは不浄の物扱いという月経に対しての偏見が凄まじい。

貧しくてもプライドが高く、恥や世間体を重んじる国民性にも驚愕だ。あまりにも日本と文化が違う。インターネットは普及し始めても、月経に対する無知さの方が恥ずかしいと怒りを感じた。

ラクシュミの発明が、自分の利益優先ではないところに感心する。すべては妻のためインドと世界の女性のため。

志の高い社会貢献が運命の出会いとチャンスを生み、失敗し遠回りしても結果的に成功を引き寄せた。

予告動画

パッドマン 5億人の女性を救った男

監督・脚本:R.バールキ
出演:アクシャイ・クマール/ソーナム・カプール/ラーディカー・アープテ
2018年/インド映画/2時間17分
原題:Padman
公式HP:padman.jp

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投稿者プロフィール

佐藤 友美
2013年にHokkaido Movie Review・新作映画の最速レビューサイトを立ち上げ『映画レビューサッポロ from HMR』として2017年10月にwebを一新。
旅好きで映画ロケ地のツアー取材が得意。FMラジオでの映画紹介を経てからの映画ライターと本Webサイトのデザインを担当。
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