「怪盗グルー」シリーズや「ミニオンズ」など、数々の人気アニメを生み出すアニメーションスタジオのイルミネーション・エンターテインメントが、2000年にジム・キャリー主演で実写映画化もされたドクター・スースの名作絵本に登場するアメリカの国民的キャラクター「グリンチ」を、新たにアニメ映画化!!
幼い頃はつぶらな瞳が愛らしかったが、成長してすっかりひねくれてしまったグリンチ。洞窟の中で暮らす彼は、愛犬マックスの献身的な愛にもぶっきらぼうに対応し、山麓の村人たちに意地悪ばかりして楽しんでいた。いつも不機嫌で孤独なグリンチは、村人たちが大好きな「クリスマス」を盗んでしまおうと思いつくが……。
のっけからクリスマスを待ちわびた村のカラフルでスピード感あふれる映像に心が踊らされる。
加えて人里離れた洞窟でのグリンチの暮らしぶりもかなり楽しめる。
アイディアに溢れた家具家電の仕掛けが目白押しである。
不遇な幼少期を過ごしすっかりひねくれ者と成り下がったクリスマスが大嫌いなグリンチ。
明るく朗らかな村の人達に何かと意地悪するが不思議と憎めない。
そのグリンチに献身的に尽くし頼りになる愛犬マックス。
私はこのマックスに終始心を打たれていた。
家の中ではまるで家政婦のようにグリンチの身の回りの世話をし、外では悪事をはたらくグリンチを絶妙にサポート(?)し、とにかく常にグリンチの味方でいる。
後半のピンチでマックスが底力を見せたときは涙が出そうになった。マックスが凄すぎて。
そんなマックスに支えられているグリンチだから憎めないのかもしれない。
ただ実際ひねくれているだけで根はとても優しいことが随所に見受けられるのも確か。
そんなグリンチが企てた「クリスマスを盗む」という大胆な作戦。
単純にプレゼントを盗むのではなく、ツリーから装飾までクリスマスに関する物を根こそぎ盗んでしまうというもの。
どんだけクリスマスを憎むの?と思うが、グリンチは盗まれた村人たちの反応に驚き、後悔し、反省し、改心する。
本作は半世紀以上も前に発刊された絵本が原作だが、この村人たちの豊かな心こそが作者の願いなのではないかと思った。
本作で描かれている村人に「怒り」は全く登場しない。
「怒り」という感情が無くなるとどれだけ生きやすい世の中になるだろうと想像するが、「怒り」があるからこその人間らしさもあるわけで、そう単純なものでもないのかもしれない。
さて、吹き替えでは大泉洋がグリンチに扮しているが、おしゃべりなひねくれ者に彼の声はとてもマッチしているように思う。
お母さん思いの少女シンディ・ルーは「義母と娘のブルース」で話題になった子役の横溝菜帆ちゃん。
子供の声を子供が担当すると本当に可愛いなと思う。
シンディ・ルーが声を発するたびにメロメロになってしまった。
これからの時期にピッタリな家族で観たいクリスマス映画グリンチ。
例年以上にクリスマスが楽しみになることは間違いない。
「グリンチ」12月14日(金)札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌 他で公開
監督:スコット・モシャ― ヤーロウ・チェイニー
プロデューサー:クリス・メレダンドリ
原作:ドクター・スース
英語版声優: ベネディクト・カンバーバッチ
日本語吹替え:大泉洋、杏、秋山竜次(ロバート)、横溝菜帆、宮野真守
配給:東宝東和
原題:THE GRINCH
製作年:2018年
製作国:アメリカ
上映時間:86分
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