渡辺一史の原作を大泉洋×高畑充希×三浦春馬のキャストで映画化した『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の先行上映舞台挨拶が2018年11月20日に札幌シネマフロンティアで行われた。
幼少の頃から難病の筋ジストロフィーを患い体で動かせるのは首と手だけという札幌在住の鹿野靖明さんと、ボランティアの仲間達が過ごした日々が詰まったこの作品。
主人公・鹿野靖明を演じた大泉洋さん(以下:大)、鹿野に反発しつつも夢や目標に向かう鹿野の人間力に次第に惹かれていく安堂美咲役の高畑充希さん(以下:高)、美咲の恋人の高スペック医大生 田中久を演じた三浦春馬さん(以下:三)、前田哲監督(以下:監)をお迎えしての豪華舞台挨拶と言う事で劇場内は大盛況。
車椅子でご来場されている方の姿も多く見受けられた。
登壇の際に司会から”北海道が生んだ大スター・大泉洋”と紹介された事を受け、「北海道が生んだ大スターなんてね、毎回毎回本当の事ばかり言われまして…」と早速大泉節炸裂。
少し緊張感のあった場内の空気も一気に和らぎ、終始楽しい舞台挨拶となった。
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司会:映画が完成し、鹿野さんが実際に暮らしていた札幌に戻ってきた感想をお聞かせ下さい。
大:鹿野靖明さんという人を演じられた、そしてその方が北海道で生活なされてたというのは不思議な縁を感じました。
司会:どんな事を心がけて撮影に臨みましたか?
大:鹿野さんは色々な不安があって夜寝られなかったと聞いていました。
鹿野さんはやはりパッと見我儘に見える。私自身も何故そんなに我儘な方がボランティアを集めて沢山の人に支持して貰えたのだろうという所に疑問を持って興味を持って演じたんですけども、演じてみて思うのは鹿野さんが言っていた事はただの我儘ではないんだと。一生懸命生きたかったし普通の人と同じように生活がしたかったんだなと。
ただ、映画として観た時に我儘に見えないと成立しないのでそこの兼ね合いをつけるのが難しい所でした。
司会:高畑さん、三浦さん、監督は北海道での撮影で特に思い出に残っている事は何でしょうか。
三:毎日が本当に楽しかったです。
大泉さんがセッティングして下さって監督も含めて共演者の皆さんとご飯を食べる事も出来て。
そこでギュッと出来たような気がします。
監:現場の話だと美瑛で何度も皆にすごく走って貰いましたね、朝。
高:凄く眠たくて景色が綺麗な事だけを心の支えに撮影したラストシーンがあったんですけど、映画を観たら全く(そのシーンが)無くて。
「本当にこの監督は…」と思いました。
監:撮影中、大泉さんは「俺は何度でも出来るよ」とポジティブなんですよ。
大:僕は正直、動けない役なので何往復でも出来るんですよ。電動車椅子でバンバン行くだけ。
ついてこないといけないこの子は本当に可哀想で(笑)
高:そうなんですよ!しかもちょっと坂だったんですね。結構大変で。
三:そこ、丸々カットですからね!(笑)
司会:ちなみに、大泉さんは高畑さん・三浦さんと初共演という事になるんですよね。
監:最初から3人のコンビネーションは凄く良かったですよ。
大:そんなに気を使わなくて済む人達でしたね。
放っておいてもいいし、話したい時に話せばいいという気楽な方達でした。
充希ちゃんなんか、放っておいたらずーっと編み物して遊んでくれてますし。
高:そうですね、北海道で編み物をずっとやってて。メイクさんにヘアバンド編んだりだとか。
編み物から始まる会話というのも色々あったので、コミュニケーションを取れた編み物には感謝しています。萩原聖人さんにも編みました(笑)
司:それでは最後に、主演の大泉さんからご挨拶を頂いてもよろしいでしょうか。
大:いつもは楽しんで貰えればいいや、と思うだけなんですけども。
この映画に関して言いますと、鹿野さんのような障害を持った方達がより良い環境で住めればそれは素晴らしい事だなと思います。
彼等が求めてる事というのは「僕たちも普通の人と変わらないから、普通の人のように生活出来ると良いんだけどね」と仰っておられました。
この映画を機会に、こういう風に生きてる方達がいるんだなと思って知って頂けるといいなという思いです。
この映画は堅苦しく無くて、ゲラゲラ笑って観ている内に終わっていくような映画です。
我々が面白いと言ってもそれは当たり前なワケで誰も信用しないんです。
映画を観て面白かったなと思う方がいらっしゃいましたら、どうやってこの映画を広めると1番観て貰えるのかそれぞれの人に考えて頂きたい。一人一人が映画のプロデューサーでございます!皆さんがこの映画を大いに広めていくという気持ちでSNS上に書き込んで頂ければと思います!!
どうぞ皆さん、そういう事を全て忘れて楽しんで帰って下さい!!!ありがとうございました(笑)
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最後のトークでも大泉さんらしさが溢れ出ており割れんばかりの拍手と笑いに包まれながら舞台挨拶が終了。
ここ数年病気を題材にしたものは泣けるラブストーリーに注力している作品が多く感じていたが、今回のように社会的な部分を掘り下げ 尚且つユーモアもある温かい作品に出会えた事は嬉しく思える。
各所で感じるいくつもの感情の丁寧な描写。これこそが邦画ならではの良さではないだろうか。
ロケの合間には3人でランニングしていたという話も聞けキャスト同士の和気あいあいとした現場の雰囲気が垣間見えた。
そのあたりの自然な空気感もスクリーンから感じられたように思う。
公開日は2018年12月28日とまだ少し先ではあるが、全国各地の多くの人に そして北海道の方には尚更観て頂きたい。
主題歌はポルノグラフィティ「フラワー」
映画同様、強さと優しさが感じられる楽曲となっている。
劇中では、道産子バンド 爆弾ジョニーが歌唱するシーンもあるのでそこにも注目して鑑賞して欲しい。
「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」札幌シネマフロンティア、ユナイテッド・シネマ札幌 他 2018年12月28日から公開
撮影/ フォトグラファーA-Co
札幌在住の女性プロフォトグラファー、物件写真、スチール撮影、ライブ撮影、CDジャケット撮影、商品撮影、フード撮影など様々な分野で活躍中。ファッション写真を撮影するのが得意のため、女性を更に美しく撮ります。
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下記画像、本記事ライター兼平ゆきえ撮影