世界が固唾を呑んだ衝撃作―
ラース・フォン・トリアーの遺伝子を継ぐ鬼才が放つ北欧ホラー日本上陸!
少女の“恐ろしい力”は封印されたはずだった。
彼女が初めての恋におちるまでは──
ノルウェーの人里離れた田舎町で、信仰心が深く抑圧的な両親のもとに育った少女テルマ。なぜか彼女には、幼少期の記憶がない。
オスロの大学に通うため一人暮らしを始めたテルマは、同級生のアンニャと初めての恋におちる。
募る欲望と罪の意識に引き裂かれながらも、奔放な彼女に強く惹かれていくテルマ。
だが、それは封印されたはずの“恐ろしい力”を解放するスイッチだった―。
テルマは不可解な発作に襲われるようになり、その度に周りで不気味な出来事が起こる。
そんな中、アンニャが忽然と姿を消してしまう。果たして、テルマの発作とアンニャ失踪の関係は?
両親が隠し続けてきたテルマの悲しき過去が明かされる時、自分すら知らない“本当の自分”が目覚め始める―。
ノルウェーの雪深い森。
幼い少女と父が狩りに訪れたその地で彼がライフルを向けるその先はー
冒頭の真っ白く美しい雪景色は不穏さも併せ持つ。
父 トロン(ヘンリク・ラファエルソン)の苦悩を垣間見る事となる衝撃的なシーンだ。
成長し大学生になり1人暮らしを開始したテルマ(エイリ・ハーボー)
田舎から出てきた内気で真面目な彼女は過干渉とも思える両親からの毎日の電話にも対応する。
テルマは年頃の娘とは違い、父親であるトロンに様々な事を相談する暮らしをしてきている。
変わった事などが無かったかの”報告”ともとれるような会話だ。
ある日、慣れない学校生活でテルマの身体に突如異変が起こりその場に居合わせた同級生アンニャ(カヤ・ウィルキンス)との友情が芽生える。
アンニャとの出会いにより楽しい事もあるが、夜遊び・恋愛などいくつもの背徳感が彼女の心を重くしていく。
信仰深い彼女が懺悔するシーンが観ていて苦しい。
この作品はただのホラー映画では無い。
観る人の捉え方次第でラブストーリーとも青春物語とも家族の話とも病気との向き合い方とも取れるのが魅力である。
特殊能力を扱った映画や小説は今までも数多くあるが、理性と本能と狂気とのバランスが絶妙。
個人的には特殊能力の中でも興味のある”パイロキネシス(自然発火能力)”が出てくるのも良かった。
景色や生き物の撮影方法も印象的だ。
ヨアキム・トリアー監督がイメージしたという”閉所恐怖症的でありつつ、壮大な映像”はこの作品の中で実現されていた。
ダークなエンディングなのか、ハッピーエンドなのか。
好き嫌いはあるかもしれないが、それぞれ違う解釈が出来るという深みのある作品だった。
「テルマ」10月20日から全国順次公開中
ディノスシネマズ札幌劇場にて11/17より公開
監督 :ヨアキム・トリアー
キャスト:エイリ・ハーボー/カヤ・ウィルキンス/ヘンリク・ラファエルソン/エレン・ドリト・ピーターセン
上映時間:116分
製作国 :ノルウェー・フランス・デンマーク・スウェーデン
2017年製作
配給会社 ギャガ・プラス
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公式サイト
PG12
©PaalAudestad/Motlys